プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「新馬戦を差して勝った素質馬」vs「脚質の定まっている逃げ馬」という構図”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
10月1日中山11R・スプリンターズS(芝1200m)
スプリンターズSは中山芝1200mで施行。初角となる3コーナーまで300m以下という「コースパターンA」の形態なので、先行争いにおいては内枠が有利です。
前走の通過順位に3番手以内があるのはジャスパークローネ、テイエムスパーダ、マッドクール、モズメイメイの4頭で、この4頭の回避がなければ、先行馬の占有率は25%。スプリント戦にしては割合は少なめです。
ただ、モズスーパーフレアやビアンフェといった徹底先行型のスプリンターが不在だった最近のスプリント戦に比べると、ジャスパークローネとテイエムスパーダが揃った今回は、久しぶりに「電撃の6ハロン戦」のコピーがしっくりくるレースとなりました。
逃げ馬2頭の両立は考えにくいですが、ハナを奪ったほうが残るパターンは十分にありそう。特にテイエムスパーダは1800mを挟んだのが良かったのか、前向きさを取り戻した印象で、想定通り10番人気前後にとどまるのであれば面白そう。
ジャスパークローネは7番人気→5番人気で逃げ切り連勝。さらに人気が上がるここで、期待値が取れるかどうか。
1番人気が見込まれるナムラクレアは、ほぼマイナス要素が見当たりません。前走で道中押し上げる機動力を見せた点も今回の流れを考えるとプラスで展開も向きそう。拮抗した混戦メンバーにおいて能力上位は間違いないので、あとは1番人気が見合うかという判断になります。
前走、12番手から上がり32.4秒で追い込んだアグリも強い内容でした。問題は後方から進めると差し損ねのリスクがあること、前走上がり1位・2着という期待値が取りにくい臨戦過程であることの2点です。
昨年の1番人気馬であり、今春の高松宮記念でも1番人気の支持を集めていたメイケイエールが想定8番人気。来る来ないはともかく、買い時はココかなと、いう印象。
前走アイビスサマーダッシュ勝ちながら15番人気想定というオールアットワンスも、想定通りなら延長ローテが嫌われ過ぎという感がありますし、ジャングロやジュビリーヘッドは前走僅差の6着という期待値が取りやすいパターン。オッズ次第では、ナランフレグやピクシーナイトといったG1勝ち馬の復活に賭ける手もあるでしょう。
混戦ムードで買えそうな穴馬が揃った秋のG1開幕戦。枠や並びもしっかり吟味して、最も期待値のある馬をチョイスしたいと思っています。
【枠順確定後注目馬】
1 ナムラクレア
2 テイエムスパーダ
6 ママコチャ
8 メイケイエール
9 アグリ
10 マッドクール
13 ジャスパークローネ
前走道中3番手以内の通過歴のある馬が並びで入らず、ポジション争いでは前目で競馬する馬が有利。
コース形態からは内目が有利に運びやすく内目の馬中心で予想は組み立てた。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言99
『「新馬戦を差して勝った素質馬」vs「脚質の定まっている逃げ馬」という構図』
★ピックアップレース★
9月2日札幌11R・札幌2歳S(芝1800m稍)
◎4セットアップ
○3マーゴットソラーレ
▲8パワーホール
△5トレミニョン
☆7ギャンブルルーム
注6ウールデュボヌール
[参考買い目]
単勝 4
ワイド 4-3.8.5
馬連 4-3.8.5.7.6
3連複 4-3.8.5-3.8.5.7.6
──前回から引き続いて、札幌2歳Sについてお話を伺います。◎4セットアップは、「なぜ、この馬が人気薄なのか?」というアプローチだとおっしゃっていましたよね?
みねた: 前回、1番人気のガイアメンテに対して、「コースパターンA」で不利な外枠である上に、持ち時計も遅く、人気になる理由の説明がつけられないとお話ししました。今度はその逆を考えるんです。セットアップは有利な内目の枠を引いた上に、何より、1800mの持ち時計はメンバー最速。
──確かに上位人気3頭の1800mの持ち時計を比較してみると
1番人気ガイアメンテ 1.52.4
2番人気ギャンブルルーム 1.48.8
3番人気セットアップ 1.48.5
となっていて、ガイアメンテ1番人気の異質さが浮かび上がります。
みねた: 10倍ぐらいつく想定だったので、3番人気6.8倍はかなり売れた印象はありますが、それでも期待値はあったと思います。
「持ち時計が速くて人気」「持ち時計が遅くて人気」「持ち時計が速くて人気薄」「持ち時計が遅くて人気薄」という4つのパターンなら、「持ち時計が速くて人気薄」が一番いいのは明白ですよね。そしてこの馬の場合は、「2走連続逃げ」だった点も大きな買い材料でした。
──確か、◎ビーアストニッシドでスプリングSを的中させた際、若駒戦は戦法が定まっているほうが有利、と聞きました。
みねた: まさにそのパターンで、私は結構、この狙い方で穴を当てていると思います。
セットアップはデビュー2戦ともに逃げており、やることが決まっていますよね。それに対して、新馬戦を逃げて勝った馬というのは、たまたま能力の違いでハナを切っていたり、勝つことを優先して逃げただけというケースもあって、まだ脚質が定まっているわけではありません。各馬が手探りの状態でレースに臨んだ結果、先行馬揃いのレースだったのに前が恵まれる、ということもあるのです。このパターンは、各馬が先を見据えている2歳戦やG1のトライアルレースでよく発生します。先ほどのビーアストニッシドもまさにそのパターンですね。
もちろん、事前に前が恵まれるかは読めないので、“結果的に前が恵まれた”ということなのですが、連続でハナを切っているような馬は、好走していても恵まれただけと捉えられるのか、おいしいオッズで買えることが多い印象もあります。
──ただ、前回のコラムでも「新馬戦は基本的に脚をためる競馬で勝っている馬がいい」とおっしゃっていましたよね?
みねた: そうですね。だから、2歳戦は、「新馬戦を差して勝った素質馬」vs「脚質の定まっている逃げ馬」という構図になることが多いです。
このレースでいえば、5番トレミニョン、7番ギャンブルルーム、10番ロジルーラー(この馬は前走未勝利戦を差し切り)vs4番セットアップ。前者の差しグループから◎を選ぶか、それとも後者の逃げ馬を選ぶかは、オッズ等を考慮して、ということになります。
例えば、札幌2歳Sの前週に行われた新潟2歳Sでの◎アスコリピチェーノは、シンプルに新馬戦での差し経験を評価したものですね。
──○以下の評価についても教えていただけますか?
みねた: 2列目にあたる◯▲△は期待値重視ですね。重賞は売上が多いのでオッズの急落が少ない分、穴を買いやすいので、2列目は期待値が取れる穴馬を入れることが多くなります。公開予想ではオッズの下落を考えて様々な券種を組み合わせていますが、もし、私が個人的に楽しむだけの立場であれば、単勝+ワイドの組み合わせをメインにしていると思います。そうであれば、なおさらワイドの相手にあたる2列目は穴にしたいですよね。
──◎候補でもあったギャンブルルームは☆。そして1番人気のガイアメンテは無印。
みねた: 1番人気馬は、いくら危険な要素があるといっても、2着や3着に来る確率は高いので、3列目に押さえるケースが多いのですが、このレースの場合は、もう1頭の人気馬ギャンブルルームが「買いたい人気馬」だったので、期待値の観点からガイアメンテは切りました。
──なるほど。◎候補の方向転換、そして相手選びとみねたさんの馬券力が遺憾無く発揮された一戦でしたね。