プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は『2歳戦は「なぜ、人気がないのか?」からのアプローチが有効』です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
9月24日阪神11R・神戸新聞杯(芝2400m)
神戸新聞杯は阪神芝2400mで施行。初角となる1コーナーまで約330mなので、先行争いにおいて内外の不利は大きくありません。
登録13頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはサヴォーナ、シーズンリッチ、ロードデルレイの3頭。先行馬占有率23%なので、展開的には前に行く馬が有利になりそう。
ただ、今年のメンバーをみると、一概に先行有利とも言い切れません。というのも、サスツルギやナイトインロンドンなど、2勝クラス勝ち組が、自力で動く強い内容で勝ってきており、加えて、1番人気が想定されるハーツコンチェルトもダービーで16→14→6→6から3着と捲る競馬。強い捲り馬が複数揃ったことで、ハイレベル、かつ消耗度の高いレースになる可能性は否定できません。
捲りが入って激しい競馬になった際、浮上するのは、道中でしっかり脚をためられる馬。京都新聞杯で5-5-8-8から5着だったマイネルラウレアは、その有力候補となりそうです。このタイプは、淡々と流れてしまうとお呼びでなくなってしまうので、展開想定の確率とオッズのバランス次第。9番人気想定でこのメンバー構成なら、勝負する価値はありそうです。
2勝クラス勝ちからのステップの馬が多い中、3勝クラスで0.6秒差、0.4秒差の戦いを演じているのがビキニボーイ。この馬も道中で脚をためられるタイプです。2勝クラスを勝った上で3勝クラス善戦というのが理想(この馬は地方からの再転入)でしたが、想定12番人気の88倍は、ナメられ過ぎに感じます。
バールデュヴァンは昇級となった前走のHTB賞(2勝クラス)を0.6秒差の4着。条件クラス敗退からのステップは、特に重賞では実力以上に人気を落とすパターンで、3列目には入れておきたいところ。思えば、昨年12番人気2着だったヤマニンゼストも、1勝クラス勝ち→2勝クラス敗退(0.7秒差)というローテーションでした。
捲り合いになれば、強いハーツコンチェルトが切り拓いた道をなぞれる馬が楽ですが、問題は、賞金を持っているこの馬が、消耗の激しい捲りという選択を取るのか、という点。このように、自分で動ける馬が揃うと、展開想定の難易度はアップします。
捲り合いになれば、無理せず乗られる春の実績馬が恵まれる可能性もあるし、並び次第では逃げ馬の隣をシンプルに狙うのが得策というケースもあるでしょう。
考える要素が多く頭を悩ませますが、だからこそ、丁寧に予想することで大きな見返りが得られるともいえます。実際、神戸新聞杯は昨年、3連複12点で703.3倍を的中できた相性のいいレース。今年も、皆さんと喜びを分かち合えるよう、しっかり予想したいと思います。
【枠順確定後注目馬】
1 サスツルギ
2 ショウナンバシット
3 サトノグランツ
4 ロードデルレイ
7 ファントムシーフ
10 ナイトインロンドン
13 ハーツコンチェルト
自在性のある馬が揃っておりペースが読みづらいレース。菊花賞への権利を取る為に勝ちに行く競馬をすれば乱ペースになり春の実績上位馬が崩れる場面も想定される。
前に行ける馬か、自ら動ける馬がここでは狙い目。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言98
『2歳戦は「なぜ、人気がないのか?」からのアプローチが有効』
★ピックアップレース★
9月2日札幌11R・札幌2歳S(芝1800m稍)
◎4セットアップ
○3マーゴットソラーレ
▲8パワーホール
△5トレミニョン
☆7ギャンブルルーム
注6ウールデュボヌール
[参考買い目]
単勝 4
ワイド 4-3.8.5
馬連 4-3.8.5.7.6
3連複 4-3.8.5-3.8.5.7.6
──前回までお話を伺っていたエルムS、レパードSを皮切りに、とにかく重賞が絶好調です。今回はその的中の中から、札幌2歳Sについて伺いたいと思います。◎4セットアップで、単勝6.8倍、ワイド5.9倍、馬連20.6倍、3連複23.7倍を総獲りだったレースです。見解文では「2歳戦は差し馬から狙うことが多く並びも良い7ギャンブルルームは目立つ競馬で勝ち上がり、人気になっておりオッズとの兼ね合いを考えるとこの馬(セットアップ)」と書かれており、その思考を深掘りしたいなと。
みねた: これは面白いレースでした。前回のコラム「出馬表という上質のミステリー」じゃありませんが、是非、出馬表を眺めながら、このコラムを読んでいただきたいですね。
──「面白さ」というのは、先行馬(前走3番手以内馬)の並びでしょうか。このレースで前走3番手以内の通過順位があったのは、1番、2番、3番、4番、6番、8番、9番の7頭。10頭立てなので、先行馬の占有率は70%です。
みねた: 先行馬占有率70%となると、差し馬を狙いたくなりますよね。そして並びをみると、5番トレミニョン、7番ギャンブルルームが「逃げハサミ」。そして、すぐ内が先行馬で外側に馬がいない大外枠の10番ロジルーラーも実質的な「逃げハサミ」です。
──凄い。先行馬以外の3頭が「逃げハサミ」だ。
みねた: これまでにも、2歳戦では、新馬戦を差して勝ってきた馬を評価するというお話をしてきたと思います。新馬戦で脚をためる競馬を試みられること自体が陣営の期待度の証明で、それに応えて勝ってきた馬はそれだけ素質の担保があるからです。このレースでも、差し馬3頭から狙うのが定石で、実際に、最初は「◎ギャンブルルームにしようかな」と考えていました。
──実は私も枠順が出た時、宝塚記念デーのハイレベルな新馬戦を勝ったギャンブルルームが「逃げハサミ」の並びになったので「これは!」と思いました。その前の週は外差し傾向が出ていましたし。
みねた: 並び的にはそうですよね。1800mの持ち時計1.48.8もメンバー2位のもので悪くありません。ただ、週中から新聞などで、やたらとギャンブルルームにいいことが書いてある記事を目にしたんですよね。これでは期待値を取るのは難しいだろうと逃げた感じです(笑)。
──その方向転換の潔さが凄いです。ギャンブルルーム以外の馬から◎を探すとなると、シンプルに考えるなら、その他の差し馬2頭(5番トレミニョン、10番ロジルーラー)ですよね?
みねた: 5トレミニョンもいいですよね。「逃げハサミ」で逃げ馬の隣という絶好の並び。実際、期待値重視で、2列目に入れています。一旦、「並び」という概念を置いておいて、「競馬場」と「前走位置取り」という単行本のタイトルにしたファクターに目を向けてください。
──「競馬場」というのはコース形態ですよね。札幌芝1800mは初角となる1コーナーまでの距離が200m弱しかない「コースパターンA」。
みねた: 先行争いにおいて内が有利なコースなので、まずは「内枠」の「先行馬」に目をつけるべきコースです。そう考えると、内枠の先行馬は◎候補になるし、1番人気が「外枠」の「先行馬」であるのも気になるポイントですよね。
──1番人気のガイアメンテを無印にしている点も、お聞きしたいと思っていました。
みねた: 今、お話しした通り、「コースパターンA」のコースで、先行馬の中で最も外を引かされた時点で展開面はかなり厳しいです。そしてこの馬の場合、道悪だったとはいえ、前走の勝ち時計1.52.4は1800m経験馬のなかでは最も遅いタイム。「なんで、この人気なのか?」の説明が難しくないですか?
──そう言われるとそうですね。デビュー戦の後、武豊騎手がかなりこの馬のことを誉めていたので、それもオッズに影響したのかもしれません。
みねた: 基本的に騎手は騎乗馬のことを悪く言いません。もし、それが原因で人気になっているなら期待値は低いですよね。2歳戦という対戦比較や能力比較が難しい条件で、走法なりラップ分析なり、自分自身の判断で評価を下したのであれば構いませんが、「なぜ、この馬を買ったのか?」を説明できないのであれば、その馬を買うべきではありません。
──2歳戦は判断基準が少ないから、人気と実力の乖離が大きくなりやすい?
みねた: そうですね。ですから、2歳戦の場合は、「なぜ、人気がないのか?」という馬を探すのが一つのコツだと思います。今回◎の4セットアップもまさにそのアプローチでした。
──非常に興味深いです。その辺りについては次回、じっくりお話を聞かせてください。