プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「なぜ、この戦績で人気が上がる」という視点”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
10月22日京都11R・菊花賞(芝3000m)
菊花賞は京都芝3000mで施行。初角まで300mを切っている「コースパターンA」(コースパターンの詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』をご覧ください)なので、先行争いにおいては内枠が有利。ただ、後述の通り、先行馬の割合が大きく距離も長いので、道中でバラける可能性が高いので外枠でも極端に割り引く必要はないでしょう。
登録17頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。先行馬占有率は41%なので、中団から差せるタイプに展開は向きそうです。
先行馬の中では、2勝クラス勝ちから神戸新聞杯を経由しているというローテが過去の好走馬と重なるサヴォーナに注目。前走で3-3-3-4と脚をためる競馬をしているので、バテ合いになって、前の組からこの馬だけが残るシーンもあるのでは。前走でタイム差無しの接戦を演じたサトノグランツが単勝5倍前後想定、この馬が17倍前後なら、こちらに期待値があるように思えます。
京都新聞杯でサトノグランツとタイム差無しの3着だったのがリビアングラス。しっかり2勝クラスを勝ち切っての参戦となります。こちらも想定オッズ20倍なら、狙ってみる手はあるでしょう。
23年ぶりに皐月賞馬とダービー馬が直接対決する菊花賞。皐月賞馬ソールオリエンスは、後方から進める脚質ではありますが、馬群がバラける可能性が高い今回はスムーズに捌けそう。菊花賞と相性の良い皐月賞馬で、能力はいうまでもなく世代トップクラス。有力でしょう。
一方のダービー馬タスティエーラも先行馬を見る絶好のポジションに収まれそう。ともに能力は出しきれそうなので、このクラシックホース2頭の対決は楽しみですね。
馬券的に現段階で最も注目しているのはノッキングポイント。先週のドゥーラもそうですが、やはり3歳夏の段階で、古馬相手に重賞を勝つというのは並大抵のことではありません。6-7-9-9から0.2秒差の5着まで差を詰めたダービーの内容は上位陣ともヒケを取らず、ラスト一冠奪取の可能性は十分。
同様に、札幌記念で古馬相手に2着したトップナイフも穴馬の資質アリ。道中で動いていける競馬の上手なタイプで、3~4コーナーで下る京都コースが向きそうです。
ドゥレッツァは4連勝と目立つ戦績でルメール騎手。過小評価されて期待値があるタイプとはいえませんが、3勝クラスを差し切り勝ちという実績は、ここでも十分に足りるもの。長丁場・G1のルメール騎手というのもなんとも不気味で、馬券的に無視はできない存在です。
「強い馬が勝つ」と言われる菊花賞。実際に、ヒシミラクルやキタサンブラックなど、結果的に後々活躍する強い馬が勝っている三冠の最終戦に相応しいレースです。果たして、今年はどんなドラマが待っているのでしょうか。
【枠順確定後注目馬】
1 トップナイフ
7 タスティエーラ
9 ノッキングポイント
11 サトノグランツ
14 ソールオリエンス
15 ファントムシーフ
17 ドゥレッツァ
皐月賞馬とダービー馬の激突や、3勝クラスを差し切っての参戦、古馬スーパーG2を2着や古馬重賞を勝利しての参戦など多士済々なメンツが揃い先の事を考えてもかなり面白い一戦。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言102
『「なぜ、この戦績で人気が上がる」という視点』
★ピックアップレース★
9月9日阪神11R・エニフS(ダート1400m良)
◎2ベルダーイメル
○1シゲルホサヤク
▲5スマートフォルス
△8オーヴァーネクサス
☆6ジレトール
[参考買い目]
単勝 2 2000円
ワイド 2-1.5.8 各1000円
馬連 2-1.5.8.6 各600円
3連複 2-1.5.8-1.5.8.6 各400円
──8月以降、重賞が絶好調なので、解説を伺いたいレースがたくさんあってなかなか追いつかないのですが、今回は9月9日のエニフSについて教えてください。◎→▲→△で決着し、単勝7.9倍、ワイド4.4倍と4.6倍、馬連12.8倍、3連複17.5倍の総獲りとなりました。
みねた: このレースで前走の通過順位に3番手以内があったのは2ベルダーイメルと9アドバンスドリームの2頭だけ。しかも9アドバンスドリームは2クラス下の2勝クラスからの格上挑戦、かつ短縮ローテということで、実質的な先行馬は2ベルダーイメルの1頭だけというメンバー構成でした。
2ベルダーイメルも距離短縮ローテではありましたが、16頭立てで3番手を取っており、ここも好位ぐらいは取れるだろうと考えていたので、最後方からぶっこ抜くというのは、正直、想定外でした(笑)。
──先行馬が5頭ぐらい並んで先行したことで、結果的に2着の5スマートフォルスや勝ち馬の2ベルダーイメルの周りには馬がいない形になりました。ある意味、「周りに馬がいなければいないほどスムーズでストレスなく走れる」というみねたさんの隊列論を証明するような結果ともいえます。
みねた: ただ、私は常に「前走3番手以内の馬のカウント」から予想を開始しているように、非常に重視しているファクターです。前走で3番手以内を取っているという事実は、それだけの脚力があることの証明なので、今回のように結果的に差してくるというケースもあるのでしょう。これは結果オーライですが、先行馬の占有率が低いレースで、前走3番手以内を取っている馬を狙うというシンプルなアプローチが功を奏したと言えるかもしれません。
──見解文にも「他人気馬が戦績の割に過剰評価気味で現状4人気なら期待値は高い」という表記がありましたが、1番人気6ジレトールは押さえの☆。3番人気7カセノダンサーは無印にして、5番人気1着の2ベルダーイメルに◎、2番人気2着の5スマートフォルスに▲、そして4番人気3着の8オーヴァーネクサスに△という取捨選択は完璧でしたね。この辺りの思考を知りたいのですが。
みねた: 至ってシンプルに、「なぜこの戦績でこの人気?」「なぜこの臨戦過程で人気が上がる?」に着想しただけですよ。1番人気の6ジレトールはG3とはいえ前走で2.8秒差の13着、2走前はOP2着でしたが5番人気で逃げてのもの。今回、1番人気2.7倍に人気が上がるのが見合っているようには思えません。3番人気の7カセノダンサーは前走OPを6番人気で3.5秒差・13着です。評価通りに大敗しただけなのに、今回4.5倍の3番人気に上がっているのは不思議ですよね?
──戦績を追うだけだとよくわかりませんね。コース適性なのか、陣営のコメントなのか、何か買い材料があったのだとは思うのですが。
みねた: 戦績以外の評価で買うなら人気薄でこそ、ですよね。7カセノダンサーの場合も、3番人気13着から今回6番人気なら狙ってみる価値がありますが、6番人気13着から今回3番人気では、敢えて狙う理由が見出せません。
──上位人気で唯一評価したのが5スマートフォルスでした。
みねた: こちらは世代限定とはいえ前走でOPを勝っていますし、それも10→5と自力で動いて勝ち切る濃い内容でした。そして◎の2ベルダーイメルは、前走の1700m戦こそ7着でしたが、2走前の天保山Sは今回と同じ阪神ダート1400mのOP戦で3着。こちらも10→7と自力で動いての3着だから価値があります。当時が7番人気で今回は5番人気ですが、天保山Sが16頭立て、今回が9頭立てであることを考えると、「人気が上がっている」とは言えず、むしろ7.9倍はかなり甘いオッズです。
──このレースは前走で掲示板に乗っている馬が5スマートフォルスだけという混戦だったのですが、「戦績と人気」に着目することで正解に辿り着けたわけですね。
みねた: 前走大敗馬が多い=連続好走できない馬ばかりということですよね。それだけ予想の難易度が上がり、オッズは割れます。そういうレースこそ、期待値判断に基づいた予想の力が問われるのではないでしょうか。