プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「絶対に前に行かない差し馬」の外”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください！
★今週の重賞ピックアップ★
11月19日京都11R・マイルCS(芝1600m)
マイルCSは京都芝1600mで施行。初角まで十分に距離があるので、先行争いにおいて内外の有利不利はありません。ただ、先週のエリザベス女王杯も内の3頭での決着であった通り、トップレベルで競い合うG1戦、そしてコース形態的に直線入り口でインが空きやすいことから、外を回すタイプよりは内で脚をためられるタイプがベターではあります。
登録16頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはエエヤン、セルバーグ、ソウルラッシュ、ビーアストニッシドの4頭。しかもそのうちの2頭は1800mからの距離短縮ですから、先行争いは落ち着く可能性が高く、シンプルに前の組が恵まれそう。差し馬はかなりの末脚が要求されそうです。
先行馬4頭のなかではやはりソウルラッシュに目がいきます。昨年は僅差の4着で、前走重賞勝ちと、実績も勢いもあります。展開的にアドバンテージがある上にモレイラ騎手騎乗ですから、想定通り6倍前後なら期待値は高そうですね。
4連勝のエルトンバローズの想定5番人気も注目に値します。先行馬は速い上がりを使うわけではないので、どうしても地味に見えますが、それは期待値的には好都合。3歳で毎日王冠を勝つのは並大抵のことではありません。展開的にも恵まれそうです。
前走で富士Sを勝利したナミュールは、その前走が16着大敗後にもかかわらず1番人気。そこを勝って臨む今回が4番人気想定。これは、昨年、富士Sを1番人気で勝ちながら、マイルCSで6番人気まで人気を下げて勝利したセリフォスに酷似しています。昨年はセリフォスに◎を打ち会心の的中を手にすることができましたが、今年も同じアプローチがハマる可能性もあるのでは。
札幌記念で強敵相手に道中押し上げて3着だったのがソーヴァリアント。少し、恵まれるポジションよりは後ろになるでしょうが、ここも手頃な人気に落ち着きそうです。
1番人気想定はセリフォス。安田記念で4番手が取れており、好位で運べそう。能力の高さも疑いようがありません。ただ昨年は6番人気で、今年は安田記念以来の直行ローテで1番人気というのが見合うかどうか。
2番人気のシュネルマイスターもまた、現役最強クラスのマイラー。ただ、極端な差し脚質かつ短縮ローテとなると、展開が向くとは思えません。絶好調のルメール騎手、そして能力の高さでどこまで差してくるか。
大穴なら、先行候補の残りの3頭、エエヤン、セルバーグ、ビーアストニッシドに賭ける手もアリ。どの馬にも買い材料はあります。
全体的には中穴候補に面白そうな馬が揃った印象。今秋はとにかく1番人気馬がそのまま強い競馬をする流れになっているので、そろそろこの辺で荒れて欲しいですね。
【枠順確定後注目馬】
1 ソウルラッシュ
2 ビーアストニッシド
6 ダノンザキッド
7 エルトンバローズ
9 シュネルマイスター
11 セリフォス
13 セルバーグ
週中の見解通り前に行ける馬が有利で考える。少ない先行馬が内に並んで入り一頭離れて入った13セルバーグは大穴で面白そう。最内のソウルラッシュなど展開利ある馬が好枠引けて波乱もある。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言106
「絶対に前に行かない差し馬」の外
★ピックアップレース★
10月15日東京10R・テレビ静岡賞(ダート1400m不良)
◎11レオノーレ
○9ウラヤ
▲12シャンブル
△6レイニーデイ
☆1スプラウティング
注10ウナギノボリ
[参考買い目]
単勝 11 2000円
ワイド 11-9.12.6 各1000円
馬連 11-9.12.6.1.10 各500円
3連複 11-9.12.6-9.12.6.1.10 各300円
──10月15日東京10Rのテレビ静岡賞は◎11レオノーレが1着。◎△の決着で、単勝2000円×7.8倍、ワイド1000円×15.1倍、馬連500円×39.2倍。50,300円の払い戻しとなりました。このレース、気になる穴馬が多かったと伺いましたが、見事に正解に辿り着きましたね。
みねた：前走の通過順位に3番手以内があるのは14頭中5アメリカンファクトと6レイニーデイの2頭だけ。先行馬占有率14％なら、素直にこの馬たちを狙う手もありますよね。実際に6レイニーデイは3番手追走から粘り込んで、7番人気2着と好走しました。
──素直に狙わなかった理由はどこにありますか？
みねた：そこは単純に「近走着順の割には人気だった」ということですね。この馬の近2走の成績は、4.6秒差の15着と4.3秒差の14着。この数字からは、最終オッズの単勝10.5倍というのは、少し安いなぁと感じませんか？
──そうですね。何なら100倍ぐらいついていても不思議ではないような。
みねた：前走二桁着順とか、4秒差以上の大敗というのは、実力を出し切らずに負けたケースが多いので、期待値自体は見込めるパターンです。この馬の場合、3走前に3勝クラスの3着がありますし、ここ2走でも3番人気、5番人気と評価されていました。前走は1700mと距離も異なります。巻き返しを狙う材料は揃っていたのですが、それでも近2走の負け方を考えると単勝オッズ30倍ぐらいは欲しい。
──オッズが見合っていなかったと。
みねた：その通りです。大敗後という期待値が取れるパターンで、先行有利が見込まれるレースの先行馬と展開も向く。オッズだけが足りなかったという感じですね。ただ、大敗後の巻き返しを狙うパターンは、そもそも馬の意欲が失われているなど馬柱からはわからない理由があることもありますし、的中率自体は下がるので、勝負レース向きではないのも確かです。
──みねたさんは、勝負レースについては的中率も重視すると、常々おっしゃっていますもんね。
みねた：はい。ですから、こういうタイプは勝負レースで◎にして軸にするというよりも、波乱と見込んだ際の単勝複数買いに含めたいですよね。
──なるほど。「走れば頭」に期待するということですね。そしてこのレースで本命に推したのが◎11レオノーレでした。
みねた：(予想段階で)8番人気14倍ならば、こちらが正着だったと思います。実際、レースの30分前ぐらいまでは12倍前後だったので、確定オッズの7.8倍には参りました(苦笑)。
──時系列オッズをみると、まさに締め切り寸前に急落していましたね。この馬を評価した理由については？
みねた：直近の敗因が明確だったという点がレイニーデイとの違いですね。この馬は3勝クラスに昇級後、2着、3着だったのですが、ここ3走は馬券外で評価を落としていました。ですが、精査してみると、3走前は出遅れ、2走前は初距離となる1600m戦、そして前走は芝。これだけハッキリとした理由があるので、適条件に戻る今回、巻き返す可能性は高いと判断できます。また、前走で芝を使っていたのも加点材料でしたし、枠の並びも良かったですね。
──どういうことでしょうか？
みねた：前走、芝で6番手を追走して、スピードレースを経験しています。ダートのほうがテンの速度は遅くなることが多いので、行き脚がついて前に行きやすくなりますよね。先行馬占有率14％のレースで、展開に恵まれる可能性が高まります。
また、この馬のすぐ内だった10ウナギノボリは直近9戦続けて初角を二桁順位で通過している、言わば「絶対に前に行かない差し馬」。「逃げ馬の外」が恵まれるのは、自身の内側にスペースが生じるからですが、「絶対に前に行かない差し馬」の外も同様の現象が起こります。実際に、ゲートが開いてすぐに10ウナギノボリは抑えたので、11レオノーレはすんなり前に行くことができました。
──読み通り、先行した◎11レオノーレと△6レイニーデイによる前残り決着で単勝、馬連、ワイドの的中。ただ、3着の7リンカーンテソーロは抜けてしまいましたね。
みねた：3走前に同条件1400mで3着という実績があり、馬柱をしっかり精査すれば拾える馬でした。みねたの思考的には印を回さないといけなかったですね。こういうのは、きっとAIが見逃さないのでしょう。そういう意味では、的中レースではありますが、人間みねたとして、一層、精進しなければという気持ちにさせてくれたレースでもありました。
