プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「馬券を買うタイミングと起こり得るリスク」について”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
チャンピオンズカップは中京ダート1800mで施行。初角までの距離は300mを切っており、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。
登録19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは12頭。ズラリと先行馬が揃いました。これだけ先行馬が揃えばペースは上がり、タイムトライアルの様相を呈してくることになるので、いかに道中ロスなく運べるかが重要になってきます。特に外枠の先行馬は厳しくなりそうですね。
また、先行馬が揃ったことで消耗戦が見込まれるため、距離短縮ローテーションに分があるとみます。1番人気想定はレモンポップ。逃げ脚質かつ1600mからの距離延長と、2つの超えるべき課題があります。とはいえ、前走は2着に2.0秒差をつける圧巻の内容で、その2着馬は次走でJBCスプリントを制するイグナイター。能力の高さは疑いようがありません。この馬を負かす馬探しが、予想の起点となりそうです。
差し脚質、距離短縮と条件に合致しているのがハギノアレグリアス。6-8-7-6と道中でしっかり脚をためて差し切ったシリウスSの内容は素晴らしく、そこから0.5キロ斤量が軽くなるのも好材料。どこの枠に入るのか、注目ですね。
2番人気想定のセラフィックコールは、前走で他馬が止まって見える豪脚を披露しました。重賞レベルでは滅多にお目にかかれない走りで無傷の5連勝。いわゆる“怪物候補”です。連勝馬は目立つので期待値的には狙いづらいのですが、レモンポップが人気を吸う状況ならば、脚質的にこの馬を◎にする手は十分に考えられます。
期待値を取りやすそうなのは、距離短縮となるJBCクラシック敗退組でしょうか。テーオーケインズの4番人気は非常に魅力的に映ります。何せ、2年前のこのレースで1.0秒差の圧勝歴がある馬。この条件が合わないはずはありません。
帝王賞の覇者メイショウハリオの巻き返しにも注目。血統なのか名前なのか、人気になりにくいタイプですが、能力の高さは折り紙付き。差し馬が狙えるレースなら、当然、上位争いに加わってくるとみます。
触れることができなかった馬たちにも魅力的な馬が揃っており、素晴らしいメンバーになりました。馬券的にも面白い一戦です。これだけ先行馬が揃えば、並びはかなり重要になってくるので、しっかり吟味したいと思います。
【枠順確定後注目馬】
2 メイショウハリオ
4 テーオーケインズ
6 グロリアムンディ
9 クラウンプライド
11 ハギノアレグリアス
14 アイコンテーラー
15 レモンポップ
前走先行した馬が多い組み合わせで消耗戦が予想される。メンバー構成的にかなりハイレベルな中で、人気所が外枠を引き波乱確率は高い。
レベルの高い一戦では少しのロスが大きく響くので内目の枠で力のある馬から馬券は組みたい。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言108
馬券を買うタイミングと起こり得るリスク
──前回のラストが「いつ馬券を買うべきか」というお話でした。ジェラルディーナがパドックで発汗していたのがわかっても、前売りで馬券を買ってしまっていたらどうしようもありません。マイルCSのナミュールのムーア騎手から藤岡康太騎手への乗り替わりも同様です。
みねた:ナミュールを「ムーア騎手だから」という理由で買っていた人からしたら、前提条件が変わっているわけですもんね。ただ、そのぶんオッズが10倍ぐらいから17倍になって、しかも勝ってしまったから話がややこしい(笑)。
──私は前売りで買っていなかったので、当日、乗り替わりが発表されたのを聞いた時、「前売りで買わなかったボーナスだ!」と思って、喜んで消してしまったんですよ。
みねた:騎手のファクターが予想に入っていたのであれば、そのスタンスで正しいと思いますよ。結局、ファクターによりますよね。ムーア騎手だから買おうと思っていたのなら、この乗り替わりが発表になったら買えないですし、別のファクターでナミュールを買おうと思っていたなら関係ないわけですし。
──「大外枠のハービンジャー狙い」みたいな人にとっては関係ないと。
みねた:そうです。むしろ、その人にとっては乗り替わりでオッズがつくならプラスですよね。「大外枠のハービンジャー狙いで買いたいけど10倍では足りない」と思っていた人なら、17倍になったことで買いに転じる場合もあるでしょう。今回は乗り替わったうえに勝ったので「(ムーアでなかったら買うつもりのなかった)前売りで勝った人はラッキー」という結末になりましたが、本来は、早めに馬券を買えば買うほど、プラスにする難易度は上がります。
──まさに、この乗り替わりも「早めに買うリスク」ですよね。
みねた:天皇賞(秋)のドウデュースもレース当日の乗り替わりでしたよね。ナミュールの場合は、ムーア騎手であろうと藤岡康太騎手であろうと今回がテン乗りでしたが、ドウデュースの場合はデビューからの10戦すべてで手綱を取っていた武豊騎手からの乗り替わりだから、より影響度は大きかったはず。乗り替わりを知って、買い目を変更したファンの方も少なくないのでは?
──たしかにそうですね。他に「早めに買うリスク」としてはどんな要素がありますか?
みねた:最大のリスクはオッズ変動ですよね。今までにも何度もお話ししてきた通り、期待値を追うというのは見合ったオッズの馬を買う行為ですから、最終オッズに近いタイミングのほうが正確です。あとは、例えば出走取消が一頭出ただけでも、本来は「逃げハサミ」だった馬がそうでなくなり、別の馬が「逃げハサミ」になるとか、「逃げ馬の外」だから恵まれると思っていた馬の恩恵が無くなってしまったり、というのはありますよね。
──馬券を買うのは「遅ければ遅いほどよい」が正着になりそうです。
みねた:それだけ情報が増えるということですからね。例えば、パドックや返し馬をファクターとして取り入れているのであれば、早く買うことは不可能です。ただ、パドックで暴れていた馬のデータを取って、その馬の評価を下げることで回収率が上がることが立証されれば、それを取り入れることでプラス回収が近づきます。前売りで買うということは、こうしたファクターを放棄するということですから。
──楽して勝つことはできないという本質に行き着く感じですね(笑)。ただ、あまりギリギリに買うと「買い逃し」のリスクもありそうです。
みねた:締め切り30分ぐらい前に買うのが現実的な線でしょうか。最近はAIの影響もあって、直前オッズが甘いと一気に買いが入る傾向があるので、この時間帯にまとめて買うことで、AIを欺けるのでは?なんて考えることもあります。
──「馬券を買うタイミング」の話だけでかなりのボリュームになってしまいました。今回取り上げる予定だったデイリー杯2歳Sは次回に回したいと思います。◎エンヤラヴフェイスの思考から、2歳戦全般についてお聞きしたいので、よろしくお願いします。