プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「逃げハサミ」は◎を選ぶための手法である”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
1月21日京都11R 東海S ダート1800m
今年の東海Sは京都ダート1800mでの施行。初角となる1コーナーまで286mと短く、先行争いにおいては内枠が有利なコースです。
登録17頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭。先行馬占有率は高くないので、内枠をひいた先行馬にはアドバンテージがありそうです。
先行馬に注目すると、前走で先行して勝ち切っている馬が多く、期待値という点では微妙。また、今回はG2ですが、先行馬の前走がリステッドであったり、芝であったりする点も、難解さに拍車をかけています。
オメガギネスは前走でリステッド競走を快勝。まだ底をみせていません。明け4歳勢がダート戦線で苦戦している点は気がかりですが、この馬個体としては、大きな減点材料はなく、今後のダート戦線を占う意味でもレースぶりには注目しておきたい存在です。
同じく明け4歳のキリンジは前走のシリウスSを[4-3-6-11]から12着。負け過ぎの印象はありますが、その分、かなりの人気薄が見込めます。すんなり先行なら変わる可能性はあり、大穴なら。
先行集団の直後につけられそうなのはタイセイドレフォン。前走は道中で一旦動いた後に下がってしまっており、能力を出し切っていません。この馬もまた、前走の大敗で大きく人気を落とすようなら、狙ってみる価値はあるでしょう。
ペプチドナイルはベテルギウスSを[3-3-3-5]から差し切り勝ち。新味が出た好内容でした。先行馬が少ないメンバーなので、脚をためる競馬自体が今回有利に働くわけではありませんが、想定オッズ12倍なら面白そう。
道中動けるタイプならウィリアムバローズ。何度か◎にしている個人的に好きなタイプです(笑)。こちらも中団から差した前走に進境が窺え、[7-5-7-4]と道中で2回動く厳しい競馬だっただけに、3着という着順以上に濃い内容だといえます。あとは想定オッズ5倍が見合うかどうか。
同じ捲りタイプからは、前走動いて0.2秒差のオーロイプラータ、[10-10-9-5]と捲って脚を無くしたビヨンドザファザーあたりも穴候補。初ダートで鮮やかな捲り勝ちを決めたヴィクティファルスも想定通りの14倍前後なら妙味がありそうです。
【当日注目馬】
3 ヴィクティファルス
4 キリンジ
6 ペプチドナイル
7 サンライズウルス
10 オメガギネス
11 タイセイドレフォン
14 ウィリアムバローズ
強い馬が順当に評価されていて大きく荒れる要素はないが不良馬場のフルゲートなら取りこぼしもあるとみて穴馬から攻める。前走重賞組が過小評価されている印象で大敗からの巻き返しに賭けたい。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言113
「逃げハサミ」は◎を選ぶための手法である
★ピックアップレース★
12月9日 阪神10R 赤穂特別 ダート1800m
◎8ワンダフルトゥデイ
○5テーオーサンドニ
▲10サンライズジャスト
△12ヒノデテイオー
☆9ワンダーブレット
注13エアメテオラ
[参考買い目]
単勝 8 2000円
ワイド 8-5.10.12 各1000円
馬連 8-5.10.12.9.13 各500円
3連複 8-5.10.12-5.10.12.9.13 各300円
―前回に引き続き、ワイド8.8倍&28.5倍、馬連38.2倍、3連複240.2倍を見事に的中し、参考買い目で128460円の払い戻しになった12月9日の阪神10Rを取り上げます。「逃げハサミ」と「逃げ横」の比較のお話でした。
みねた)このレースの場合、「逃げ横」の◎8ワンダフルトゥデイの内側に、4頭も先行馬が並んでいたんですよね。また、「逃げハサミ」の2頭(3トウキチロウ、14ラブスピール)の前走が、それぞれ1.5秒差、1.6秒差と期待値を取りにくいゾーンだったこともあり、◎8ワンダフルトゥデイという結論になりました。
―ユーザーの方から「単行本やコラムを読んで◎は選べるようになってきたけれど、相手選びが難しい」という質問がたくさん届いています。このレースの場合も、「逃げハサミ」の2頭は無印でした。☆や注ぐらいは回してもいいのではと思ったのですが、その辺りの意図について教えていただけますか?
みねた)そもそも「逃げハサミ」というのは、◎を選ぶための手法で、あまり相手選びに活用するものではないんですよね。ハマった時に突き抜けやすいのが「逃げハサミ」の特徴なので、◎にするかどうかなんです。
―以前、みねたさんが「予想を公開する立場でなければ、馬券のベースは単複にする」とおっしゃっていたのを思い出しました。つまり、1着になった時に美味しい馬を選んでいると。
みねた)そうですね。ハマって突き抜けた時にオッズがつくタイプといいますか。「逃げハサミ」がハマると思うなら、その馬を◎にして、両脇の馬も上位評価する方が予想は簡単です。ですが、期待値があると踏んで他の馬を◎にしているのであれば、「逃げハサミ」を理由に相手に入れるというのは整合性がありませんよね。
―ちなみに、予想段階の思考として、「逃げハサミ」の2頭を◎候補として考える瞬間はありましたか?
みねた)もちろん精査はしますが、今回は「逃げハサミ」の馬に+αで期待値を取れる要素がなかったので、勝負レースの◎とはなりようがなかったです。個人的に馬券を買うのであれば、前走3着にもかかわらず単勝153.4倍だった14ラブスピールには期待値はあったと思いますよ。ただ、このオッズだと150回に1回勝てばいいわけで、場合によっては1500連敗することも覚悟しなければいけませんが。
―「逃げハサミ」に印を回さなかった理由はわかりました。この流れで、対抗以下についても教えてください。○の5テーオーサンドニは、先行馬4頭並びの真ん中という苦しい並びでしたが…?
みねた)これは何度もお伝えしていますが、基本的には「先行馬総崩れ」はあまり起こりません。先行馬が揃った場合、一番強い先行馬が他の先行馬を潰して、そこに差し馬が飛んでくるというパターンが多いのです。だから、このレースで◎を5テーオーサンドニにして、そこから差し馬へ流した方がいらっしゃったとしたら、馬券は外れですが、発想としては間違いではないと思います。
―9番人気の12ヒノデテイオーに△を打てたことが大きな回収に繋がったと思いますが、こちらについてはいかがでしょうか。
みねた)これは金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」ですね。今回は先行馬が15頭中7頭と揃っていたので、道中で動いていけるタイプの差し馬よりも、道中で脚をためるタイプの差し馬の方に分がありました。
―そして、単勝1.5倍の圧倒的1番人気に推されたエアメテオラは注まで。
みねた)これが、勝負レースに据えられた最大のポイントですよね。「前走先行して勝ち上がった昇級戦」という、分かりやすい危険なパターンに該当しています。そこに「休み明け」「今回の先行馬占有率が高い(=ペースが上がりやすい)」という条件も加わっていました。
―論理的に評価を下げられる「危険な人気馬」がいたから、勝負レースになったということですね。
みねた)もちろん能力の高さは間違いなく、好走率は高いでしょうから、「危険」というよりも、「オッズに見合わない人気馬」という表現が妥当でしょうか。芝の新馬戦でベラジオオペラとタイム差なしの接戦であったり、初ダートで0.9秒差の圧勝であったりと、とても魅力的な馬柱をしているのですが、それだけに、人気が人気を呼ぶような状況になってしまいました。今回は心房細動による大敗でしたが、実際に差し馬が上位独占するような厳しい流れだったので、好走確率は低かったのではないでしょうか。