プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“3歳戦で発生する過剰人気と過小人気”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
2月18日 東京11R フェブラリーS ダート1600m
フェブラリーSは東京ダート1600mでの施行。初角まで距離があるコースパターンFのコースで、芝スタートでもあるため、先行争いにおいては外枠が有利です。
登録27頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは9頭。最終的な出走メンバー次第ではありますが、短距離でガンガン行くようなタイプも少ないため、先行有利で捉えるのが基本線になりそうです。
1番人気想定のオメガギネスが現状では除外対象、地方から参戦する馬が3頭、さらに初ダートや久しぶりのダート出走となる芝の実績馬も多数参戦とあって、非常に難解な一戦です。
出走が確定しているメンバーで、出馬表をみわたして目についたのはドゥラエレーデ。過小評価されやすいタイプであまり人気になりませんが、ダートでは一度も馬券内を外していません。芝スタートのコースなので、芝実績があるのも心強く、想定オッズ通りの10倍程度なら期待値は取れそうです。
東京大賞典の敗戦で人気を落とすなら、キングズソードも面白そう。その東京大賞典も0.4秒差なら悲観するものではありません。距離短縮が有利に働きそうなレースというわけではありませんが、13倍前後のオッズがもらえるなら、今回が「買い時」という印象です。
タガノビューティーは人気で嫌って、人気薄で狙いたいタイプ。こちらも根岸Sの大敗で一気に人気を落とすようならば、展開のハマり待ちで狙ってみる手はあるでしょう。
昨年、◎の期待に応えてくれたレッドルゼルが今年も参戦。かつては常に人気で狙いにくいタイプでしたが、ここ最近は、それとは逆に人気になりにくいタイプに変わってきました。前走の武蔵野Sも実績を思えば、5番人気は美味しかったですよね。ここも人気次第では狙い目に入ってくるでしょう。脚質的にも外枠が欲しいところです。
オメガギネスは出走が叶えば、当然、有力候補ではありますが、過剰人気になりやすいタイプで、除外睨みでの調整を強いられている点も不安材料ではあります。
ウィルソンテソーロは東京ダート1600mの実績もあり、舞台設定に問題はありません。ここもしっかり走ってくれるでしょうが、連続2着後なので期待値が見合うかどうか。
不確定要素の多い一戦だけに、最終的な出走メンバーとその並び、枠の内外、そしてオッズが鍵になるでしょう。要するに、「どのオッズなら買えるのか」の判断ですね。
当日オッズまで見極めて、しっかりと正解に辿り着きたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言117
3歳戦で発生する過剰人気と過小人気
★ピックアップレース★
2月11日 東京11R 共同通信杯 芝1800m
◎9ジャンタルマンタル
○1ベラジオボンド
▲10エンヤラヴフェイス
△8ジャスティンミラノ
☆7パワーホール
注4ミスタージーティー
[参考買い目]
単勝 9
ワイド 9-1.10.8
馬連 9-1.10.8.7.4
3連複 9-1.10.8-1.10.8.7.4
―今週は別のレースで原稿を準備していたのですが、予定を変更して先週の共同通信杯を取り上げたいと思います。◎9ジャンタルマンタルで、参考買い目はワイド4.3倍、馬連10.5倍、3連複203.7倍の的中となりました。「軸は堅いが紐は荒れる要素有り、紐荒れ狙いで馬券は組みたい」という見解文通りの結果でしたね。
みねた)ありがとうございます。今年に入って重賞は堅く収まっていますが、その中で波乱になった京成杯と今回の共同通信杯をしっかり当てられたのは嬉しいですね。
―今挙げられたのはともに3歳重賞ですが、3歳重賞で穴馬を当てられる理由というか、メカニズムというのが存在しているのでしょうか?
みねた)たくさんレースを使っていない馬が集まっているというのは、一つの理由でしょうね。その結果、突然、思わぬ変わり身をみせる馬もいますし、本当の能力を知られていないケースもあるでしょう。そして、今回もそうですが、3歳戦で特に感じるのは、「一度の敗退で人気を落とし過ぎる馬が多い」という点です。今回、単勝100倍超の大穴ながら評価した▲10エンヤラヴフェイスも☆7パワーホールも当てはまっています。
―10エンヤラヴフェイスは2走前にデイリー杯2歳Sを2着した後、朝日杯FSで13着に敗れ、今回、単勝178.6倍の10番人気。7パワーホールは2走前に札幌2歳Sを2着した後、京都2歳Sで12着に敗れ、今回、単勝151.2倍の9番人気でした。
みねた)10エンヤラヴフェイスの前走はG1レースで、2桁着順とはいえジャンタルマンタルから0.9秒差。7パワーホールも新馬戦では後のOP馬キャプテンシーに0.7秒差の圧勝を収めており、前走の京都2歳Sは過去2戦とは違って5→7→9という先行できない苦しい競馬。それでも道中で押し上げていく脚をみせており、こちらもまた12着という着順=能力とは言い切れない敗戦です。
―例えば、ダートで連続好走した馬が、芝での大敗を一戦挟んでダートに戻した場合、ここまで人気を下げないですよね。
みねた)過小評価される馬がいる裏側には、過剰評価されている馬が存在します。3歳戦の場合、POGや一口馬主による情報の偏りがありますし、未知の部分が多いため、情報によって過剰人気が生まれやすいという側面はあるでしょうね。
―「未知の部分」の最たる存在が、1戦1勝馬です。このレースでは、2頭いた1戦1勝馬(ベラジオボンド、ジャスティンミラノ)をそれぞれ○と△と高評価されていました。ともに、新馬戦は3番手以内からの先行抜け出しで、昇級戦では買いにくいタイプかなと思ったのですが。
みねた)昇級馬を買いにくい最大の理由は「人気になりやすいから」です。前走1着という馬は見逃されにくいということですね。前走先行での昇級馬だから好走率が下がるということではなくて、その好走率に見合わない人気になりやすいので嫌うことが多いわけです。そこで、先ほどの「情報によって過剰人気が生まれやすい」という話ですが、感覚的にベラジオボンドみたいな馬が1番人気になっているケースも多いと思いませんか?
―新馬戦の段階で1番人気、好位からメンバー最速の上がり33.9秒を繰り出して0.5秒差の圧勝…確かにいそうですね。ルメール騎手の騎乗馬だったり、サンデーレーシングの馬に多そうなイメージです。
みねた)ですよね。そしてルメール騎手が強気なコメントでも出そうものなら、「素質が違う」「この馬で断然」みたいな空気が醸成されることもあります。実際には、ベラジオボンドは単勝オッズ7.3倍の5番人気でした。このレースは、10頭中、前走の通過順に3番手以内があった馬は3頭。先行馬占有率30%という先行有利が予想される一戦です。そして施行コースは東京芝1800m。
―初角まで160m弱しかない「コースパターンA」のコースで、内枠が断然有利ですね(コースパターンの詳細は単行本「競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法」参照)。
みねた)先行有利が見込まれるレースの先行馬で、コース形態的にも最も有利な最内枠を引き当てたベラジオボンドが5番人気なら、十分に期待値が取れる存在だと考えて対抗評価しました。もう一頭のジャスティンミラノは単勝6.6倍の4番人気で、期待値が十分あるかは微妙なラインでしたが、こちらは並びや印の整合性からの評価ですね。これらの解説も含めた、「オッズの答え合わせ」については、次回に回しましょう。