プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「先行馬占有率」と狙い方(2)”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
5月26日 東京11R 日本ダービー 芝2400m
ダービーは東京芝2400mで施行。初角となる1コーナーまでは約350mで、先行争いによる内外の有利不利はそれほど大きくありません。とはいえ、トップクラスの馬たちが争うG1レースなので、基本的にはロスの少ない内枠有利と考えてよいでしょう。
出走予定の18頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはシックスペンス、ジューンテイク、メイショウタバルの3頭。先行馬占有率17%にとどまっています。
先行しそうな3頭はいずれも期待値的に面白そうな存在。メイショウタバルは皐月賞の大敗で想定通りに4番人気→10番人気に落とすようなら、いわゆる「ナメられ逃げ」のパターンに該当します。
前哨戦の京都新聞杯を制したジューンテイクも14番人気なら期待値はありそう。朝日杯FSでジャンタルマンタルと0.2秒差という実績があり、前走はフロックではありません。おそらく格上のレースで能力を発揮できるタイプなのでしょう。
3戦無敗で川田騎手を鞍上に迎えたシックスペンスも4番人気10.8倍もらえるなら妙味あり。先行馬が少ないメンバーなので距離延長も悪くありません。国枝調教師は悲願のダービー制覇なるでしょうか。
1番人気想定のジャスティンミラノは強力ですね。前走の皐月賞が5-5-4-4から1着。先行馬の直後に付けられる脚があり、かつ道中で動いていける機動力も兼備。能力面だけでなく、脚質面、戦術面でも死角がありません。ただし無敗の皐月賞馬でオッズが甘くなることもあり得ません。ユーザーの方からの期待を考えると、G1で私がこの馬に◎を打つことはないと思いますが、2列目以降からは絶対に消せないでしょう。
2番人気想定のレガレイラはデビューから4戦全てで上がり最速を記録。いかにもダービーの舞台が向きそうなタイプです。ホープフルS、皐月賞でも道中で位置を上げており、この馬も確たる消し要素は見当たりません。ただ、人気の盲点になるようなタイプではなく、そうはいってもルメール&木村哲也厩舎という強力タッグでもあり…非常に扱いが難しいですね。
機動力という点では、弥生賞で9-7-2-2と捲り上げ、皐月賞では9-8-9-8と道中で2回動きながら2着に迫ったコスモキュランダの操縦性の高さは注目に値します。
アーバンシックは皐月賞で13-13-13-10から4着。ハイペースでロングスパートをかけにくい展開だったことを思えば、数字以上に価値があります。同じく皐月賞で8-8-7-6から5着だったシンエンペラーも見限れません。
期待値という点ではダノンの二騎。まだ底をみせていないダノンエアズロックの8番人気、皐月賞除外で人気急落しそうなダノンデサイルに妙味がありそうです。
ついに迎える競馬の祭典。全人馬の無事を願いつつ、しっかり馬券も仕留めたいですね。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言131
「先行馬占有率」と狙い方(2)
★ピックアップレース★
4月20日 福島11R 福島牝馬S 芝1800m
◎1コスタボニータ
○2エリカヴィータ
▲16グランベルナデット
△14フィールシンパシー
☆9エミュー
注10キミノナハマリア
注11タガノパッション
[参考買い目]
単勝 1
ワイド 1-2.16.14
馬連 1-2.16.14.9.10.11
3連複 1-2.16.14-2.16.14.9.10.11
―前回取り上げた4月21日福島12Rから1日さかのぼって、4月20日福島11Rの福島牝馬Sについて伺います。◎1コスタボニータ→△14フィールシンパシーで決着し、単勝4.4倍、ワイド11.1倍、馬連32.4倍の的中となりました。前回のラストで予告した通り、「先行馬占有率の高いレース」のサンプルですね。
みねた)前出の福島12Rが9頭立ての実質「逃げイチ」のような状態だったのに対して、福島牝馬Sは16頭中9頭までもが、前走の通過順位に3番手以内がありました。先行馬占有率は56%。中距離戦であることを考えると、かなり先行馬が揃っている一戦です。先行馬が揃うと、レースはどうなりましたっけ?
―「ペースが上がる」ですか…?
みねた)そうです。先行馬が揃うとポジション争いが激しくなってタイムトライアルになるという話ですね。タイムトライアル=極限の争いですから、道中で外を回るロスが大きくなるため、物理的に外枠の不利が大きくなります。このレースは外から5頭が先行馬で、そこには2番人気馬、3番人気馬も含まれていました。
―外枠の先行勢がかなりポジション争いでロスするのは想像できますね。
みねた)一方で1番人気の◎1コスタボニータは最内枠。並び的には相当有利で、1番人気とはいえ単勝4.4倍なら期待値は十分に見合っていたといえるでしょう。もちろん、いくら有利な並びをもらったとはいっても、能力が足りていなければ狙えませんが、1コスタボニータは近7走内に重賞3着の実績が3回もあり、ここ2戦は重賞で0.2秒差、0.3秒差。2走前の愛知杯は1.58.1で3着と速い時計の裏付けもあります。前走の通過順5-5-6(5着)というのも、激しくなった先行争いの直後で脚をためられそうで、脚質面でもアドバンテージがありました。
まとめると、「先行馬占有率の高いレース」では「内でロスなく乗れる」「能力(時計)の裏付けある」「末脚確かな馬」狙いが良いでしょう。
―前回お話を伺った「逃げイチ」の4月21日福島12Rとは予想の思考がずいぶん異なりますね。
みねた)そうですね。「強い逃げ馬」がいるレースであれば、その馬が1.50.0で走ったのなら、それを目標にして1.49.9で走れば勝ちです。一方、先行馬が揃って1.45.0で決まるレースだと、そもそも1.45.0で走れるかどうかが問題になります。先行馬が少なく1.50.0かかるレースであれば、外を回って道中押し上げる馬も台頭可能ですが、タイムトライアルになると、そのロスの分、物理的に届きません。外を回ると最後に脚があがってしまいます。
―4月21日福島12Rは逃げる○3スマートハンターをどの馬が差すか?という隊列の映像が明確に浮かんでいますが、福島牝馬Sは、具体的な隊列のイメージがあるというよりも「先行馬9頭」「先行馬占有率は56%」という事実として捉えている印象です。
みねた)そうですね。例えば、福島牝馬Sの場合、前走でコスタボニータに先着していながら14.9倍の8番人気に甘んじていた14フィールシンパシーを本命にするという考えも頭をよぎりましたが、「先行馬9頭」「外枠かつ先行馬並びの真ん中」はさすがに厳しいと考え△にとどめました。これは並びというよりもオッズ妙味で打った印です。このレースでは、9 頭いた先行馬のうち、8ウインピクシスが逃げて3着に残ったため3連複は届きませんでした。先行馬が揃ってペースが上がっても、逃げた馬だけは残るパターンがあるというお話をしたことがありましたよね。もしこの馬が逃げると読み切れていたら印を回せた可能性は十分にありますが、それは現実的ではありません。
―1コスタボニータが粘る14フィールシンパシーを差し切って単勝4.4倍、ワイド11.1倍、馬連32.4倍的中。
みねた)4月21日福島12Rは隊列のイメージに基づく予想なので、逃げる馬とそれを差す馬という2頭に対して自信がありました。福島牝馬Sの場合は、「先行馬占有率」と「並び」から1コスタボニータに対しては自信があるという予想ですね。「先行馬のカウント」を起点にして、「先行馬占有率」に応じてその先の予想の思考がどう変わっていくのか、前回と今回のコラムでご理解いただけたのではないでしょうか。