プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「競馬は外れるものである」という境地”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
7月20日 小倉11R 小倉記念 芝2000m
小倉記念は小倉芝2000mで施行。初角となる1コーナーまでは400m以上あるので、先行争いによる内外の有利不利は考えなくてよいでしょう。
登録18頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは4頭。先行占有率は高くありません。前残りにも警戒が必要ですが、最終週の馬場やタイムトライアルにはならない状況を加味すると、外をスムーズに追い上げられる馬に展開は向きそうです。
1番人気想定はメリオーレム。前走のむらさき賞(3勝クラス)は6番手から脚をため、しっかり差し切りました。秘めた能力は高く2000mも向きますが、それがバレています。好走確率は高そうですが、少なくとも単勝の期待値は取れないのでは。
想定2番人気、3番人気は前走で対抗評価した2頭。ハピは、対抗評価に応えて新潟大賞典で10番人気3着と頑張ってくれました。芝2戦目ですが、しっかり差してきた内容に芝適性の高さも感じます。ただ、想定2番人気まで上がっていますので、やはり、買い時は前回だったという印象。
ディープモンスターは、対抗評価の目黒記念では13番人気・ハナ差4着と涙を飲みました。今回は13番人気→3番人気と大幅に人気が上がりますが、ハピとの違いは、G2→G3に格が下がること。夏競馬を苦にしない戦績でもあり、9.0倍なら期待値がありそうです。
ハピにしてもディープモンスターにしても、重賞で通用すると思っているからこそ高く評価しているので、結局、取捨はオッズ次第ということになりますね。
想定4番人気、5番人気は昇級勢。シェイクユアハートは前走捲り勝ちから3キロ減というのは悪くありませんが、想定9.7倍は辛いかなという印象。
ナムラエイハブは前走2番手からの抜け出しで、いわゆる「先行昇級」。先行馬占有率の低い一戦なので先行馬を狙うのは一つの手ですが、それなら前走で負けていて舐められそうなタイプを買いたいところ。前走逃げてシェイクユアハートと0.3秒差のスズカダブルは斤量1キロ貰いで前進が見込めますし、シュタールヴィントも前走から5キロ減で差は縮まるでしょう。
G1→G3のローテーションとなるグラティアスの想定16番人気は魅力。2走前にはG2マイラーズCで0.6秒差・5着という実績もあります。先行占有率の低いメンバーなので、距離延長ローテも悪くありません。
期待値という観点ならマイネルメモリーも一考。前走の函館記念が最低人気での激走でフロック視されているのか、ここも想定8番人気止まり。外枠からスムーズに追走できれば再度の好走があっても不思議ではありません。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言190
「競馬は外れるものである」という境地
★ピックアップレース★
6月22日阪神9R 高砂特別 芝2000m良
◎8イケイケドンドン
穴○9ホウオウサンデー
▲4ヴィスマール
△1ヤマニンループ
☆6アイキャンドウイッ
注3パンデアスカル
―前回に引き続き、6月22日阪神9Rの高砂特別を取り上げます。◎イケイケドンドンが勝って、◎→▲→△の決着。単勝11.8倍、馬単28.3倍、3連単96.7倍が的中したレースです。前回の最後に、見解文にあった「全く走らない可能性も高いがこのメンバー相手に4人気なら期待値はある」という一節の真意について尋ねたところ、「毎回、見解文に書き添えたいぐらい、当たり前に考えていること」という回答でした。どういうことでしょうか?
みねた)以前にもお話ししましたが、穴馬というのは0か100かで100の力を発揮できた時に穴をあけます。言い換えれば、そうならなかった時は、箸にも棒にもかからない可能性が高いということ。特にイケイケドンドンの場合、戦績的にもピンかパーというタイプなので、ハマらなければ大敗だと思っていました。
―なるほど。ただ、やっぱり心情的にボロ負けよりは4着の方が楽しめる気がするんですよね。
みねた)そういう心理が働くのは理解できますが、だからこそ、こういうピンかパーみたいなタイプは期待値が取れるとも言えます。そしてそういうタイプを狙うことも多いので、見解文にもその旨を書き添えたいということですね。
―ピンかパーかというタイプということは、買い目は単勝や馬単だけでもいい気がするのですが…?
みねた)1番人気を軸にして2列目に穴を据えるパターンを除けば、基本的に私は◎が1着になった時に大きく回収するという意識でいます。スロットでいえばBIG。ただ、15枚のスイカを取りこぼさなければもう5G回せて、それでピカる(大当たりをひく)可能性もあります。競馬は1着だと思っても2着になったり3着になったりと、思い通りにいかないものなので、長い目でみたら、3着でワイドだけ拾ったというのも大事ですよ。
―仮に◎がパーの方をひいてボロ負けしても構わない?
みねた)語弊があるかもしれませんが、外れるものと思って馬券を買っています。「全部当てるぞ!」「次は激アツ!」と思っている人たちがいるからこそ人気馬が作られ、その人気をみてさらに大金を投じる人が現れる。だからこそ競馬というギャンブルは成り立っています。そのマインドと正反対の位置に立っている方が競馬で勝ちやすいのは自明ですよね。
―ピンかパーかで狙ったタイプが後方まま、全く見せ場なしでも心は動きませんか?
みねた)「何やそれ」とは思いますが、それで心が動くことはありません。外れるものだと思っていますから(笑)。
―どうしたらその心境になれるのでしょう?
みねた)徳を積んでいるから…ではなくて、資金管理のおかけです。外れてイライラするのは、予算に見合わない不相応な額を賭けているから。5000円しか持たずにミリオンゴッドを打っていたら、その金額内で「当たってくれ!」と一喜一憂するじゃないですか。それが100万円持っていたら、設定さえ入っているのがわかっていたら淡々と打てる。競馬も同じで、資金管理のルールを作って運用していれば、仮に外れが続いても破綻しないことをわかっているのでイライラすることはありません。一つの方法として、1日36レースを1ブロックとみなし、全敗しても耐えられるぐらいの金額に分割して賭けるというのがいいかもしれません。いずれにせよ、これはメンタルの問題ではなく、テクニックなんですよ。
―修行して不動心を身につけている、とかではないと。
みねた)そうです。「資金管理が大事だ」「そのために、まずは資金を貯めよう」と強調しているのは、まさにこれ。「外れたくない!」という呪縛を解くために、一定の資金と確かな資金計画を立てる。これはメンタルを鍛えているのではなく、ブレないためのテクニックを身につけるということなんです。人間というのは弱いもので、恐怖に打ち克つために知恵を絞ったことで今の繁栄があります。予想においても、負けることを恐れ、そのために資金管理を磨く。その結果として「外れてもいい」という境地に立てるのです。