プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“馬の強さ(弱さ)を量る指標”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
7月27日 新潟7R 関屋記念 芝1600m
関屋記念は新潟芝1600m外回りで施行。向正面直線からのスタートで、初角となる3コーナーまでは548m。スタートから初角までたっぷり距離があるので、先行争いにおける内外の有利不利はありません。
登録19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは4頭。マイル重賞ですがそれほど先行馬は多くありません。瞬発力勝負が濃厚なので、ある程度の位置は取っておきたいところです。
1番人気想定はボンドガール。5着→16着という臨戦過程でありながら、またも人気に支持されるのですから、「持ち人気の高いタイプだなぁ」というのが第一感。ですが、出走予定馬を見渡すと、戦ってきたメンバーが違い過ぎるので人気になるのも納得です。単勝で期待値があるとは言えませんが、危険な人気馬とも言えません。
2番人気想定のカナテープは、府中牝馬Sで0.2秒差の2着。4-6-4と前目で脚をためる競馬をできているので瞬発力勝負にも対応できるでしょう。鞍上は先週の函館2歳Sで早速存在感をみせつけたキング騎手。減点材料は少ないですね。
3番人気想定のフォーチュンタイムは阪急杯1番人気5着からの臨戦。メンバー構成的に距離延長自体はプラスですが、メンバーレベル的には1400m路線よりもマイル路線の方が強いことが多く、差し引きゼロといったところでしょうか。この馬自身はマイルで3-1-0-0と実績を残しているので適距離に戻る形になります。とはいえ、G3通用の実績があるわけではありません。
レガーロデルシエロは新潟大賞典1番人気10着からの臨戦。フォーチュンタイムとは対照的に、一般的にメンバーレベルの高い中距離からの転戦となります。1番人気での大敗というのも期待値を高める要素。ただ、近走を見る限り、ちょっと位置取りが後ろ過ぎるかなという印象は否めません。
イミグラントソングは今年のニュージーランドTの勝ち馬。前走のNHKマイルCは2番人気11着と動けませんでしたが、それでも着差は0.7秒。期待値の積まれそうな敗戦でした。想定5番人気・9.5倍は甘いので、この人気なら◎候補。
前走G1組ではオフトレイルにも注目。ラジオNIKKEI賞勝ちに加え、スワンS、阪神Cで2着3着がある実績馬です。前走で芝1200mのG1(高松宮記念)を経由したここは、これまでより行き脚がつくはずで、想定12番人気・33倍なら。
ダイシンヤマトは前走のしらさぎSを0.4秒差・4着。重賞通用のメドを立てました。そこから斤量1キロ減で前進が期待できそうです。
リフレーミングは1番人気に応えて小倉記念を勝っている馬です。初のマイルになりますが、期待値のありそうな中距離路線からのローテーション。15番人気・72.6倍は舐められ過ぎなのでは。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言191
馬の強さ(弱さ)を量る指標
★ピックアップレース★
6月29日函館6R 3歳未勝利 芝1800m良
◎8サクラアドリア
高○9ヤマノインパクト
穴▲3ベールドインパクト
穴△1ココモナカ
穴☆13レーヌドフルール
注5キントラダンサー
注12コスモマガラニカ
―今回は6月29日の函館6Rを取り上げます。◎→○→注の決着で馬連2,620円、馬単3,510円、3連単は23,530円でした。結果はハナ差2着だったのですが、見解文で9番人気だった対抗のヤマノインパクトについて「対抗だが単複をもっておく」と書かれていたのが面白かったです。
みねた)このレースのメンバー構成は面白かったですよ。出馬表をみてください。出走馬の前走をみて、何か気付きませんか?
―えーと、地味ですね。3着以内の馬が1頭もいない。
みねた)そうですね。前走馬券内の馬がいない=メンバーレベルは高くない、ということが読み取れますよね。では、メンバーレベルが高くないレースでは、どういう馬を狙えばいいか?ということですが、脚質的な話でいうと、先行馬か捲れる馬が狙い目になります。
―それは、後ろから差す脚を持っている馬がいないからですか?
みねた)脚力もそうですが、それ以上に気持ちの問題が大きいかもしれませんね。本来、中央競馬に競走馬登録されている馬同士ですから、そこまで競走能力に差はないはず。じゃあどこで差が生じるかというと、「競馬が上手」「人を乗せて走るのが得意」みたいな部分だと思うんです。そしてその最たるものが、前を行く馬を捕らえようとする気持ちの有無。
―あー、なるほど。前を行く馬を捕らえることを理解して走っているか、みたいな。
みねた)理解しているというより、本能的な部分かもしれませんけどね。いずれにせよ、弱い馬=前を捕らえようとする気持ちが薄い馬、というのは1つの側面としてあると思います。そして後方から差す脚を持つ馬がいなければ道中の位置取りのままゴールするので先行馬が狙い目になる。ただ…。
―ただ…?
みねた)このレースの出走馬を改めて見返してみてください。
―(みねたさんの定義で先行馬とカウントする)道中の通過順位に3番手以内がある馬は…いない!?
みねた)そうなんですよ。このレースは前走3着以内の馬がいない上に、前走で道中3番手以内を走っていた馬もいないのです。そうなると先行馬を狙うという策は取れないので、道中で捲れる馬が狙い目。必然的に、3走続けて道中動いており、前走で13-12-10-7から4着という行き脚をみせたサクラアドリアが浮上します。
―なぜ、弱い相手だと捲れる馬が狙い目になるのでしょうか?
みねた)強い馬相手に捲るとロスが大きいからです。内で抵抗する馬に脚力があると捲るのも大変ですし、そもそも捲ること自体がエネルギーを使います。捲った自身を目標に脚力のある馬に差してこられると抵抗できません。その点、相手が弱ければ、外から気持ちよく他馬を抜いていけるし、そこから差してくる馬もいませんよね。
また、そもそも論として、この時期の3歳未勝利ともなると、前述した通り、前の馬を抜いてやるという気持ちを持った馬が少ないわけですが、捲る脚があるということは、前を捕らえてやるという強い気持ちを持っている証左でもあります。
―対抗のヤマノインパクトに高期待値を表す「高」マークが付いていました。見解文にあった「対抗だが単複をもっておく」の意味を教えてください。
みねた)一番の理由はオッズが甘かったことに尽きます。前走が10-10-13-13からの5着で、金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」に該当していました。道さえ開けば好走するタイプですが、すぐ内にいるサクラアドリアが切り開いた道を通れることが確定的なここは、その可能性がかなり高い。2.2倍のサクラアドリアはオッズ切りで買っていない(編注:◎が3倍未満の場合は単勝を購入しないというみねた氏独自のルール)ので、差し切ってくれたら嬉しかったのですが(笑)。
―ちなみに、ヤマノインパクトへのコメントの熱量を考えると、こちらを◎にする手もあったのでは?
みねた)そこは「組み合わせからの逆算」ですよね。ヤマノインパクトが好走する時は、道を切り開いたサクラアドリアも必ず好走しているはずなんです。そうなると、ヤマノインパクトから「穴」を付けた3頭への馬券はあまり期待値がない。サクラアドリアから「穴」への馬券は期待値があるので、やはり◎にふさわしいのはサクラアドリアということになりますね。