プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は競馬は「大きく変わる要素を持つ馬を探すゲーム」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
8月31日 新潟11R 新潟記念 芝2000m
新潟記念は新潟芝2000mで施行。初角となる3コーナーまでは900m以上とたっぷり距離があるので、先行争いにおける内外の有利不利はありません。
先週の競馬は外が伸びていましたが今週からBコース替わり。現段階では内外フラットと考えて予想を展開したいと思います。
登録17頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはコスモフリーゲン、ナムラエイハブ、バレエマスターの3頭。先行占有率は低く、前へ行ける馬には注意を払いたいところで、特に前走で七夕賞を逃げ切ったコスモフリーゲンは格的にも足りるので有力候補の1頭でしょう。
1番人気想定は3戦3勝のエネルジコ。この馬に限らず無敗馬というのは実力以上の人気になっていることが多く、基本的に期待値を取りにくい存在です。マピュースにパンジャタワーと3歳馬が重賞戦線でも活躍しており世代レベルは高そうにも映りますが、何ともいえないというのが正直な印象です。
2番人気想定クイーンズウォークはヴィクトリアマイルでタイム差無しの2着からの臨戦。その前には金鯱賞を制しており、当然、格負けはありません。2番人気という評価も妥当でしょう。人気を吸っているとは思いませんが、期待値が積まれているという印象もありません。
3番人気想定シランケドはヴィクトリアマイルでタイム差無しの3着。となると、クイーンズウォークが人気を背負うなら、この馬が人気になるのも納得です。前走は4角17番手からの素晴らしい追い込みでした。3番人気評価も妥当でしょう。
上位人気3頭に対して、明らか甘く映るのが4番人気想定のブレイディヴェーグです。23年のエリザベス女王杯の勝ち馬で2000mは適距離。不向きに思えるマイル戦を中心に使われて馬柱の見栄えは良くありませんが、本来の実力はこんなものではないでしょう。直近4走の4着、7着、4着、4着という結果は、いかにも期待値を積みそうな戦歴です。今回ももちろん狙えると思いますし、仮にここで凡走しても、過去5走から好走歴が消えた次走は一層、期待値が積み上がりそう。今走と次走のセットで考えても、非常に魅力的な存在です。
冒頭で触れたコスモフリーゲンが5番人気想定。展開は向きそうですが、期待値だけ考えれば前走敗戦が理想だったでしょうか。もし七夕賞4着からの臨戦であれば、想定10番人気ぐらいまで落ち、より買いやすい状況だったような気がします。
北海道で重賞を2戦使われたヴェローチェエラも参戦予定。能力は高い馬ですが、自力で捲るタイプなので弱い相手に強いタイプなので、ここ2戦と比較してメンバーが揃った感はあります。
相手関係で見逃せないのがダノンベルーガ。直近6走連続でG1レース、そして直近12走中11走がG1レースと王道を歩んできた馬です。前走の有馬記念でも0.7秒差の9着。メンバー最速の上がりを使っており、大きく衰えた印象はありません。別定G3で57キロ。想定21.7倍の7番人気はかなり舐められているのではないでしょうか。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言196
競馬は「大きく変わる要素を持つ馬を探すゲーム」
★ピックアップレース★
8月9日 札幌6R 3歳未勝利 芝2000m稍
◎10アリスメティーク
高○4ビジュードネージュ
穴▲15エオアリイ
穴△5ラッキーロジータ
穴☆12バルデラマ
穴☆14ラースアルアイン
注1メイショウキンタイ
―前回に続いて8月9日札幌6Rを取り上げます。◎→▲→☆で決着して馬連42.7倍、馬単55.0倍、3連複335.6倍、3連単1116.6倍となったレースです。◎10アリスメティークの理由については前回たっぷり伺ったので、今回は対抗以下の穴馬について教えてください。○から☆まで「高」や「穴」のフラグが付いていて、魅力的な穴馬が多いのだなと感じました。
みねた)そうですね。このレースの3番人気ドゥラエテルノや4番人気ブルースバローズなどは、評価を下げたというよりも、魅力的な穴馬が多過ぎて印が回らなかった、というのが正直なところですね。
―2着▲15エオアリイ(7番人気)、3着☆14ラースアルアイン(6番人気)とともに印を回した穴馬が入線しましたが、ここは印順で、○4ビジュードネージュから伺っていきましょうか。
みねた)4ビジュードネージュは、キング騎手なのに5番人気・18.7倍というだけで買えますよね(笑)。ではなぜそんなに甘いオッズになっていたかというと、おそらく2走前のダートでの大敗の影響でしょう。2.2秒負けという数字のインパクトでファンの心象が悪くなったとでも言いますか。芝に比べてダートの方が着差が広がりやすいので、結果として近走ダートが挟まると期待値を積みやすいと言えます。
―2着15エオアリイも前走ダートでした。
みねた)それでわかりやすく期待値が積まれましたね。こちらは前走でダートを使われて2.1秒負け。やはりファンからみたら「2秒超負け」はインパクトがあるのでしょう。ダートを挟んだ馬が芝に戻って巻き返すというのは非常によくあるパターンです。もし、馬柱の前走欄を隠してみたらどうなりますか?
―東京芝2400mの未勝利戦を逃げて7着からの臨戦、となります。
みねた)逃げられるということ自体、能力の証明です。東京芝2400mという表開催での3番人気という履歴からも、ファンの評価が高いこともわかります。もし前走のダートでの大敗がなければ、「この短縮は狙い目!」という感じで3~4番人気になっていたはずですよ。この馬に関しては大外枠もよかったですね。最内枠と大外枠は基本的に有利になりやすいので、期待値のありそうな馬が入った場合は評価を上げることをオススメします。
―3着だった☆14ラースアルアインについてはいかがでしょうか?
みめた)これは「逃げハサミ」ですから。そして前走は7-8-11-9から5着と金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」に該当していました。ですから買い材料は期待値+並び、ですね。この馬の9番人気23.9倍もかなり甘いと思います。
―△5ラッキーロジータ、☆12バルデラマについても一言ずつお願いします。
みねた)どちらも(芝2600m)からの距離短縮です。これもダート→芝の話に通じるのですが、距離が長くなるほど着差が広がりやすい、要するにボロ負けしやすいんですよね。その大敗の影響でオッズが甘くなるわけです。
―14ラースアルアイン以外の穴評価4頭は、いずれも「近走ダート使用」か「大幅距離短縮」という要素を持っていたということか。
みねた)金言194で、競馬は「変わり身のある馬をみつけるゲーム」だと言いました。どの馬も多少の変わり身の要素は持っていると思うので、もっと言えば、競馬は「大きく変わる要素を持つ馬を探すゲーム」だというのがより正確な表現になります。そして大きく変わる要素の最たるものが「近走ダート使用」であり「大幅距離短縮」なのです。
―なるほど。このレースの1番人気1メイショウキンタイや3番人気3ドゥラエテルノなどは、ずっと安定した成績を残していますが、それは「大きく変わる要素に乏しい」ことの裏返しでもあると。
みねた)馬主目線でいえば素晴らしい馬ですけどね。ただ馬券は別で、常に頑張る優等生よりも、たまに頑張るヤンキーを探した方が儲かります(笑)。1メイショウキンタイや3ドゥラエテルノの戦績は、「大きな変わり身を見せた馬に負け続けた結果」という言い方もできるでしょうね。
―中学時代、急に頑張り始めたヤンキーに対する教師の評価が爆上がりした経験を持つ私としては容認しがたい話ですが(笑)、馬券で勝つために肝に銘じておきます。