プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は競馬は“出馬表にダート履歴がある馬は期待値を取りやすい”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
9月7日 阪神11R セントウルS 芝1200m
セントウルSは阪神芝1200mで施行。初角までの距離が300mを切っており、先行争いにおいては内枠が有利。登録17頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭とスプリント重賞にしては先行占有率は高くありません。
コース形態、メンバー構成、そして開幕週という点を考慮すると、内枠・先行のアドバンテージが大きいのは間違いありません。
想定オッズをみると実績馬の上位2頭、トウシンマカオとママコチャが抜けています。1番人気想定のトウシンマカオは京王杯SCを勝利して以来の一戦。昨秋は中京施行のセントウルSを制し続くスプリンターズSでも2着と好走しました。そのスプリンターズSは7-6と道中で押し上げており、ある程度、展開面には対応できそうですが、2.2倍の想定オッズはやや売れ過ぎという印象です。
2番人気想定のママコチャは京王杯SC2着。トウシンマカオには0.2秒遅れを取りましたが、脚質的に今回はこちらに分がありそう。逆転の期待をかけても良いでしょう。そのためには内枠が欲しいところです。
3番人気想定はヨシノイースター。前走の北九州記念では5-7と脚をためる競馬で2着しており、強いメンバーで良さが出るタイプでしょう。ただ、実績的に3番人気は過剰人気感が否めません。
先行有利で取るなら、安定した先行力を誇るカルチャーデイは見逃せません。G3の直近2走も0.4秒差、0.3秒差と強い競馬をしています。想定15倍もらえるなら、内枠であれば本命候補の一頭になるでしょう。
カンチェンジュンガは基本的に人気になりにくいタイプ。そう考えると、今回の想定5番人気では食指はあまり動きません。この先、人気を落としたタイミングで狙い撃ちたいですね。
15番人気で葵Sを制したアブキールベイは続く北九州記念でも0.1秒差の3着。2走前がフロックではないことを示しました。能力は高そうです。ただ、展開面は向かないでしょうし、買い時という意味では前走が絶好の狙い目だったように思えます。
前残りに賭けるならテイエムスパーダという手も。1000mに適性がシフトしている感はありますが、阪神芝1200mは2年前のセントウルSを含む2勝。前走1番人気から今回想定11番人気なら“ナメられ逃げ”が発動する可能性も。
好走率に目を瞑って期待値だけを追うなら、前走のCBC賞で8-5と道中押し上げる競馬をしていたジャスティンスカイ(想定10番人気・29.0倍)、G1帰りのショウナンザナドゥ(想定7番人気・23.1倍)あたりも面白そうです。
とにかく枠と並びが鍵を握る一戦です。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言197
出馬表にダート履歴がある馬は期待値を取りやすい
★ピックアップレース★
8月17日 中京7R 中京記念 芝1600m良
◎1マピュース
穴○2トランキリテ
穴▲6ジューンオレンジ
穴△5シンフォーエバー
穴☆12メイショウシンタケ
注3エルトンバローズ
注8エコロヴァルツ
―今回は8月17日の的中を振り返ります。この日は中京記念、札幌記念、そして新潟のNST賞でも高配当が的中して、まさに「メイン3タテ」でしたね。
みねた)3タテというと3連敗のイメージがあるので、「メイングランドスラム」とでも呼んでください(笑)。
―「優勝のためには次の3連戦で3タテが必須条件だ」みたいな言い方をするので、3連勝する側に立つか、される側に立つかで意味合いが変わってきます。みねたさんは随分悲観的ですね(笑)。
みねた)今調べてみたところ、
「タテ」は助数詞で「立て続けに負ける回数」を示すとされています。しかし近年では、「3タテ」が「3連勝」の意味で使われることが増えています。
とあります。やはり本来は連敗を意味する言葉なんですよ。
―失礼しました。ではメイン3タテ改め、メイングランドスラムについて伺います。強烈だったのは◎→△→▲で決着し、3連複906.3倍、3連単3676.9倍となった中京記念ですね。
みねた)既に1月の京成杯で3連単172万円馬券を的中しているのでいわゆる“勝ち確”ではあるのですが、出玉が半分以上残っている状態でこうしてしっかり上乗せできたのは嬉しいですね。
―◎に推したのがマピュースでした。
みねた)これは枠順が大きかったですね。コースパターンAのコースでG1帰りのこの馬が5番人気・8.7倍というのはかなり甘かったと思います。コースパターンとこの馬が狙えた理由についてはnote「みねたの補講」でも触れているので、そちらもご覧ください。
―7番人気2着のシンフォーエバー、10番人気3着のジューンオレンジにもしっかり上位の印が回っているのが素晴らしかったです。
みねた)2頭ともシンプルですよ。シンフォーエバーは2頭しかいなかった先行馬(前走3番手以内馬)のうちの1頭。もう1頭のブルーミンデザインは先行昇級で9番枠、こちらはG3の関屋記念0.7秒差で5番枠。前残りを狙うならシンフォーエバー一択でしょう。
―改めて振り返ってみると関屋記念は10着とはいえ0.7秒差ですし、上位4頭の4コーナー通過順位が14番手、11番手、9番手、14番手。差し馬が上位を独占したレースでもありました。
みねた)そうなんですよね。ただ、それを知るためには、前走のレースを確認する必要があります。言うなればボタンを押さなければ得られない情報で、それを全頭分やるのは骨が折れますよね。レース回顧の重要性については多くの馬券ファンが自覚していると思いますが、やっぱり面倒臭い(笑)。だからまだレース回顧には優位性があるはずですよ。
―前残りに張るなら目がいきそうな馬なのに、どうして見逃してしまったのだろう…。
みねた)以前にもお話ししましたが、ダート使用の履歴がオッズに作用した可能性は高いと思います。どうしても日本の競馬では芝>ダートという潜在意識があるので、ダートを使っている=芝に限界を感じていると捉えてしまう。結果的に、出馬表にダート履歴がある馬は期待値を取りやすくなるということです。「競馬は心理戦である」の応用ですね。
―ジューンオレンジについてはいかがですか?
みねた)逃げ横(逃げ馬の外側。逃げ馬が進路を切り拓いてくれるため不利を受けにくい)ですから。シンフォーエバーが好走する流れなら、この馬もスムーズなレースができている可能性は高いですよね。
―結果から逆算する組み合わせの考え方ですね。
みねた)そういうことです。付け加えるとジューンオレンジの前走(福島牝馬S)は14-15-11-11からの7着で、ロスの多い競馬をしていました。一旦、脚をためたのに、2~3コーナーで上がっているのです。例えば、15-15-15-15から7着なら目一杯脚を溜めたと解釈できますし、15-15-15-11から7着なら捲り気味に動いたのだろうと推測できます。
―どれも「15番手から7着」ですが、4つの通過順位をみると内容の違いが浮かび上がってくる。
みねた)今回のジューンオレンジのような早めに動いているパターンはロスが大きいので、馬券的には美味しくなりやすいですよ。プラン通りに競馬ができず力を発揮しきれていないので、能力以上の大敗を喫している可能性があるからです。あとは人気ですよね。3番人気→4番人気→4番人気からの10番人気ですから。シンプルに買い時でしたね。
―理詰めでの3連単36万馬券、お見事でした。札幌記念、NST賞については次回伺いましょう。