プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“実績上位馬に対して懐疑的に捉えるトレンド 後編”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
10月12日 東京11R アイルランドT 芝1800m
今週は3日間開催で各日に1レースずつ重賞が行われます。これはこれで集中できていいですね(笑)。日曜日に行われるのはアイルランドT。レースの性質としては府中牝馬Sを引き継ぐ形になります。
そのアイルランドTは東京芝1800mで施行。初角となる3コーナーまで300m以下という「コースパターンA」の形態なので、先行争いにおいては内枠が有利です。
登録17頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。そこそこペースは流れるでしょう。これだけ先行馬がいれば、並びによる有利不利が発生しそうで、並びが非常に重要です。
1番人気想定はアドマイヤマツリ。福島牝馬S(G3)勝ちから前走のG1ヴィクトリアマイルは0.3秒差の7着。今回はG2とはいえG1級の出走はないので、能力上位の存在です。想定3.4倍なら悪くありません。◎を打つかはわかりませんが、先行力・機動力を兼ね備えた人気馬で、この馬を起点に予想することになりそうです。
2番人気想定は現役最強の1勝馬(?)のボンドガール。G1を含む重賞で6度の2着があります。ただ、人気に支持されながら勝てていないのも事実で、今回も上位人気の想定。単の期待値は低いと言わざるを得ません。こういうタイプは得てして人気を落としたタイミングで勝ち切るので、この馬が単勝7~8倍ぐらいまで人気を落としたところで仕留められたら気持ちいいでしょうね。
3番人気想定のカナテープは3走前にアドマイヤマツリに先着しており、前走の関屋記念で重賞初制覇。5.5倍の想定オッズなら悪くありません。ただ6歳牝馬だけに、レコード勝ちの反動が気になるところではあります。
セキトバイーストは8番人気、5番人気でリステッド、G3を連勝。前走の府中牝馬Sは通過順位6-2-3からの抜け出しという強い内容でした。想定4番人気・5.7倍ですが、この内容ならもっと売れてもおかしくないので、期待値はありそうです。戦績的に掴みところがなく、非常に扱いが悩ましい存在ですね。
ラヴァンダは3勝クラス勝ちからの昇級戦ですが、今年に入ってからだけでも阪神牝馬Sと府中牝馬Sで3着の実績あり。陣営が重賞級の評価をしていることが伝わってきます。格上挑戦の府中牝馬Sでも2番人気に推されていたほどなので、想定5番人気・15.1倍は悪くありません。
前走の京成杯AHで大穴(13番人気1着)を決めたホウオウラスカーズは今回も想定9番人気。期待値はありそうです。後追いとなるので心理的には買いづらいところですが…。
積極的に狙いたい馬が見当たらず、非常に難解な一戦。期待値のある馬自体は多いと思うので、枠と並びを考慮して結論を出したいと思います。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言202
実績上位馬に対して懐疑的に捉えるトレンド 後編
★ピックアップレース★
9月21日 中山11R オールカマー 芝2200m 良
◎4レガレイラ
穴○3クロミナンス
▲9ドゥラドーレス
△5ホーエリート
☆7ヨーホーレイク
注10フェアエールング
―前回のコラムから引き続いて「明らかな実績上位馬に対して懐疑的に捉えるトレンド」について、オールカマーをサンプルに考えていきます。◎→▲→☆の決着で3連複19.7倍、3連単77.4倍的中となりましたが、この◎レガレイラが甘かったですよね?
みねた)そうなんです。期待値を考える上で「実績的に○倍ぐらいが妥当だろう」という視点が重要だと前回もお伝えしましたが、このレースにおけるレガレイラの立場をまとめると、
・前年の有馬記念を5番人気で捲り勝ち
・前年のエリザベス女王杯でも1番人気
・今回、11頭立てのG2
という状況。「秋のG1戦線で人気になっておりファンから評価されていた」「有馬記念は恵まれたものではなく自力で動いての強い内容」「有馬記念と比較してレースの格もメンバーレベルも大きく落ちる」ことを考えると、それこそ1倍台でも妥当に思えます。しかし、予想段階での単勝オッズは4倍前後(確定3.3倍)。これだけでも「明らかな実績上位馬に対して懐疑的に捉えるトレンド」の裏付けになりますが、他の出走馬と比較するとより一層、甘さが際立ちます。
―2番人気はレガレイラの2歳上のお兄さんにあたるドゥラドーレスで、単勝オッズは3.5倍でした。
みねた)ドゥラドーレスは重賞未勝利馬で直近はG3で2着2着という戦績。この馬が3.5倍でレガレイラが3.3倍です。この2頭の勝率の差がオッズにして0.2倍程度のものだと思えますか?
―ほぼ並びの評価ですもんね。
みねた)正直、出馬表を見渡したら、誰がみてもレガレイラが甘いと思うはずなんですよ。競馬を長くやってきている人ほど、レガレイラを買えなくなっているのかな…。
―ひと昔前のWINSにいるオッチャンなら、「前年のグランプリホースがオールカマーに登場!」なんて言われたら、迷わず飛びついていたような気はします。だからこそ過剰人気の裏をつけたのでしょうが…。
みねた)「実績馬を疑う」という姿勢は大事です。ただ、1番人気として一括りにしてはダメで、オッズ次第なんですよ。何度やっても6割勝つという馬はほとんどいないので1倍台であれば期待値は取れません。ですが勝率33%、つまり3回に1回は勝つだろうという馬はいるので、3倍ならば期待値を取れるケースは十分にあり得ます。ちなみにこれはオープン以上に限った話です。
―クラスで分けられていないからですか?
みねた)そうです。条件クラスと違ってオープン以上になるとメンバー間の能力差が大きくなるので、抜けた存在が出てきます。その結果、2.5倍以上つけば期待値は取れるような馬は混じってきますが、条件クラスは基本的に勝ったり負けたりのメンバーなので、そこまで抜けた存在になることはほぼありません。唯一あるとしたら連勝してオープンまで駆け上がっていく過程にある馬が「後から考えたら期待値あったね」というケース。ただ、それにしても大半の連勝馬は売れ過ぎているので、条件クラスで2.5倍以下でも期待値があることはほぼないと考えていいでしょう。
―オールカマーと同日の中山7Rでみねたさんの◎メリークリスマスでしたが、このレースで1.5倍の断然人気に推されていたのがダート替わり初戦を圧勝していたリザードアイランドでした。
みねた)この馬が将来ダートG1を勝つような馬なら1.5倍でも妥当なのですが、あまりにも裏付けが無さ過ぎますよね。2着ですから悪くないのですが、それでも1.5倍は見合っていなかったということです。
―重賞+明らかな実績上位馬に対して懐疑的に捉えるトレンドによって、レガレイラの甘いオッズが生まれたということですね。
みねた)同日に行われた重賞・神戸新聞杯との比較もわかりやすいですよ。このレースを勝ったエリキングの単勝オッズは2.7倍でしたが、エリキングはG1勝ちの実績も無いし、そもそも2歳時しか勝っていません。期待値馬券で勝っていきたいのであれば、この馬の2.7倍とレガレイラの3.3倍を比較して、後者を選び続けられる意識を持つのは重要だと思います。