プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“単勝1.7倍に◎でも「厳選勝負レース」になった理由”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
11月9日 京都11R みやこS ダート1800m
みやこSは京都ダート1800mで施行。初角までの距離が短く先行争いにおいては内枠が有利なコースです。
登録16頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。先行タイプが揃っており、先行馬は特に内枠が欲しいところです。
JBCの直後ですが、実績馬、上がり馬が入り乱れ、なかなか面白いメンバーになりました。実績最上位はアウトレンジ。2走前に平安Sを制し、前走の帝王賞ではミッキーファイトとタイム差無しの2着でした。4-4-5-4と道中でしっかり脚をためているレース振りにも好感が持てます。想定2番人気・4.7倍なら◎候補でしょう。
想定1番人気はダブルハートボンド。デビューから無傷の5連勝を果たし、初の重賞挑戦となった前走のブリーダーズGCは果敢に逃げを打って2着でした。戦績から4.0倍という想定オッズは妥当ではありますが、アウトレンジとの比較では辛く映ります。脚質的に内枠の後押しが欲しいですね。
3番人気想定のロードクロンヌはダートに転じて4連勝し、重賞でも3着、2着、2着。平安Sではアウトレンジに0.2秒遅れを取りましたが、この差なら逆転は可能でしょう。ただ、近走の馬柱の見栄えがいいだけに、オッズが甘くなるタイプとは思えません。
サイモンザナドゥは重賞初挑戦だった前走のシリウスSを9番人気2着。目下の充実ぶりを示す内容でした。先行馬が揃っているので距離短縮ローテもプラスに働くでしょう。想定4番人気・9.0倍に後追い感はありますが、果たして。
レヴォントゥレットは前走の日本テレビ盃でフォーエバーヤングの2着。これはもう、実質的に勝ちみたいなものですね(笑)。平安Sではアウトレンジと0.2秒差の実績もあり、想定5番人気・11.5倍は甘いといえそうです。先行型で脚質的に向いているわけではないので、やはり内枠が欲しいところ。
外枠の先行馬が被せていく形になれば差し馬に展開は向きます。その場合、休み明けの前走で10-10-8-4から3着だったスナークラファエロ、マーチSの勝ち馬で前走9-9-10-10から5着のブライアンセンス、海外中心のローテで目立ちませんが実績十分の差し馬ラムジェットあたりが面白そう。
内枠の先行馬から入るのが好走率と回収率のバランスが良いでしょうが、期待値に振るなら差し馬狙いも選択肢に入ります。馬券のセンスが問われる一戦になりそうですね。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言206
単勝1.7倍に◎でも「厳選勝負レース」になった理由
★ピックアップレース★
10月19日 東京10R 西湖特別 ダート1600m良
◎8サノノワンダー
高○9キングツェッペリン
穴▲3クールブロン
穴△1ハリウッドブルース
☆6スマートスピア
注10アイオリア
注13ヴォンフレ

―今回取り上げるのは10月19日東京10Rの西湖特別。▲→◎→☆の決着で馬連5,150円、3連複12,080円、3連単191,290円という特大ホームランになりました。
みねた)このレースは◎サノノワンダーが相当抜けていましたね。
―そこをお聞きしたかったんです。10番人気・57.5倍で勝利したクールブロンへの▲はお見事でしたが、◎のサノノワンダーは単勝1.7倍。常々、単勝で期待値が取れる馬を◎にできるのが最も理想的だとおっしゃっていたので、これは組み合わせで期待値を取りに行くパターンだと考えて良いでしょうか?
みねた)最終オッズは1.7倍だったのさすがに期待値は取れませんが、予想段階は2倍前後でした。2倍あれば単勝でも期待値が取れると考えていましたよ。
―推奨買い目としては3倍以下はオッズ切りになりますが、自信度的にはそれぐらいあったと。みねたさんはXで「中央競馬で単勝2倍はほぼ期待値が取れないけれど、地方競馬は単勝2倍あれば期待値が取れるパターンも多い」とポストされていますが、それに近い感覚ですかね。
みねた)そうです。地方競馬はクラス編成や転入馬の兼ね合いなどで、明らかに能力上位の馬が出走しているケースがあります。今回のサノノワンダーはG3のレパードSで0.6秒差の5着。前残りの展開を上がり最速で道中14番手から差していました。重賞級の能力があるのは明らかなパフォーマンスです。
―そして今回は2勝クラスへの出走。
みねた)G3からはリステッド→オープン→3勝クラスと間に3段階ある、いわゆる4段階降級みたいなものですよね。2勝クラスの身で格上挑戦して結果を残す必要があるので、これはかなりレアケースですよね。体感的に、中央競馬なら1ヶ月に1レースあるかないかぐらいじゃないかな。これだけ格上の存在が出走していること自体がレアなのに、さらに並びも恵まれましたから、さすがに抜けた1番人気馬への◎であっても「厳選勝負レース」に選んでいいだろうと判断しました。
―自身の内側バランスダンサーが距離延長ローテの逃げ馬、外側キングツェッペリンも前走2番手からの競馬をしており、いわゆる「逃げハサミ」でした。自身の内側が先行濃厚でしたから、かなりレースはしやすそうです。
みねた)だから、正直なところ、サノノワンダーが負けるという想像はしていませんでしたけどね(笑)。結局、「競馬に絶対はない」という当たり前の真理に行き着くんですよ。おそらく2回に1回は勝つと思いますが、今回は負ける方の1/2を引いたということです。
―結果的には推奨買い目の3連単2着付けがハマる形となりました。
みねた)ラッキーでしたね。ただ、この的中は単なる偶然でもないんですよ。ここには高期待値馬=単勝の期待値がありそうな馬が3頭出走していたことが大きくて、だからこそ「厳選勝負レース」に採用できたのです。
―高期待値馬とは、高と穴のフラグが付記されている○キングツェッペリン、穴▲クールブロン、穴△ハリウッドブルースのことですね。
みねた)もし高期待値馬がいなかったら、を考えてみてください。高期待値馬がいないということは、このレースにおける期待値はサノノワンダーに集中しているということになります。高期待値馬がいない=過小評価されている馬がいない=人気を吸っている馬がいない=各馬に適正なオッズがついていると考えると、おそらくサノノワンダーの単勝オッズは2.0倍ぐらいになるでしょう。そうであれば、サノノワンダー1着の馬券で101%ぐらいの期待値は取れるので、2着付けの馬券が不要になります。
―好走率が高くて期待値も100%を超えている。
みねた)楽しむ分には最高の馬券です。ただ、「厳選勝負レース」として考えると、当たる確率は高いけれど回収率的には物足りなさが残ります。ですが、このレースは明らかに期待値を持っている穴馬が3頭いるので、サノノワンダーと組み合わせることで101%を遥かに上回る期待値が見込める。これが「厳選勝負レース」に選んだ大きな理由です。
―高期待値馬が頭まで突き抜けたことで大ホームランになりましたが、その可能性があるからこそ「厳選勝負レース」になったともいえるわけですね。
(次回に続く)
