プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「出馬表“だけ”で予想する」という訓練”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
11月30日 東京12R ジャパンカップ 芝2400m
ジャパンカップは東京芝2400mで施行。初角までの距離は350mほどで、先行争いにおいて内外の有利不利はありません。登録19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。この距離にしては先行馬が揃った印象です。
1番人気想定は3歳の身で天皇賞(秋)を制したマスカレードボール。この事実からも能力の高さは疑いようがありません。ジャパンカップもそうですが、3歳馬は斤量面での恩恵があります。あと1か月も経てば同斤量になるものが、2キロ減で戦えるのですから、有利なのは道理です。ということでここも好走率は高そうですが、豪華な顔ぶれとなったここで2.2倍という想定オッズが見合っているかは微妙でしょう。
2番人気想定も同じく3歳馬で、この世代のダービー馬クロワデュノール。皐月賞、ダービーではともにマスカレードボールに先着しています。想定オッズ5.3倍にとどまっているのは海外での大敗後であるが大きく、調教の動きも不安視されているようです。とはいえ一流の競走馬はデキが一息でも走れることが多く、対マスカレードボールでのオッズ比較なら期待値はこちらが上とみます。
3番人気想定は4歳世代のダービー馬ダノンデサイル。こちらも海外帰りですね。有馬記念3着、そしてドバイシーマクラシックではカランダガンを降して勝利。間違いなく現役最強クラスの実績を誇っています。上位3頭横並びのオッズになっても食指が動くレベルの馬なので、想定7.0倍は魅力的。
今年のジャパンカップを盛り上げる大きな要因の1つがカランダガンの参戦。現在レーティング世界1位を誇る欧州の年度代表馬です。戦隊モノのキャラクターのような馬名もいいですね(笑)。ただ、外国馬の勝利は20年前のアルカセットまで遡るように、基本的にジャパンカップは外国馬が苦戦するレース。また、日本で外国馬を狙うなら実績馬よりも「何者だ!?」という人気薄を狙うのがセオリーでもあります。その条件には当てはまりませんが、押しも押されもせぬ世界最強クラスの馬が想定7.4倍なら、実績を考えると◎という選択肢も十分にアリ。馬券的にも鍵を握る存在です。
現5歳世代のダービー馬がタスティエーラ。天皇賞(秋)では伸びを欠きましたが、それでも0.4秒差の8着と負けていません。この敗戦で想定5番人気まで落とすあたり、持ち人気の低いタイプなのでしょう。それは当然、馬券を買う上では好都合。この相手でも狙う価値は十分にあります。
天皇賞(秋)で脚をためて伸びてきたジャスティンパレス(4-6-6→3着)、セイウンハーデス(9-12-11→7着)などはここでも穴候補になりそう。着差はそれぞれ0.2秒、0.4秒しかありませんでした。マスカレードボールを逆転することは可能な差ですし、それを思うと、やはりマスカレードボールの人気が過剰にも映りますね。
3世代のダービー馬、欧州年度代表馬、そして天皇賞馬と豪華なメンバーが揃いました。どんなオッズになるかで狙いが大きく変わることになるでしょう。熱戦を期待しつつ、しっかり馬券も当てたいですね。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言209
「出馬表“だけ”で予想する」という訓練
★ピックアップレース★
11月8日 京都11R 室町S ダート1200m 良
◎4スターターン
穴○6ペプチドヤマト
穴▲15ナナオ
高△3エートラックス
☆1メイショウホウレン
注10キタノズエッジ
注16ボナンザ

―今回取り上げるのは11月8日京都11Rの室町S。◎4スターターンが3着同着で3連複86.1倍、ワイド19.1倍が的中となりました。
みねた)ゴールした瞬間は3着かなと思ったのですが、スローでみると怪しくて(笑)。負けたかなと思ったので3着なら「ラッキー」という感じでした。
―とはいえ勝ち馬ペプチドヤマトが最低人気の16番人気だったので、この2、3着が入れ替わっていたら3連単6→4→1は2787.9倍でした。タラレバでメンタルにきたりしませんか?
みねた)確かにこの2、3着で何帯も違っていますけど、それでメンタルが壊れることはないですよ。買い方で至らなかった点があれば反省しますが、結果に対しては「仕方ない」としか思いません。
―ここから本題です。なんといっても、最低人気馬に穴○6ペプチドヤマトを打っていたのが凄いなと。
みねた)驚きましたよね。これは激走に驚いたのではなく94.6倍ついたことに、です。
―人気なさ過ぎだろ、と。
みねた)そうです。だって、5走前に3勝クラスを勝ってから、オープンとリステッド競走で4走して、5着、3着、7着、8着ですよ。それぞれ着差が0.6秒、0.4秒、0.6秒、0.8秒。昇級後、ずっと差のない競馬を続けていて、実際に馬券に絡んだ経験もある。90倍もつく馬じゃないでしょう。
―なぜ、それほどまでに人気をしなかったのでしょうか?
みねた)それはもう、謎ですよね。ひとつ言えるのは昇級後の4走が10番人気、12番人気、9番人気、10番人気ですから、基本的に人気しにくいタイプなのでしょう。いわゆる「持ち人気」のないタイプです。あとは、「年齢的に大きく変わらない」という陣営コメントとかも関係あるのかなぁ。
―私の手元にある新聞では「昇級後も相手なりに走ってくれています」と書いてありますが。
みねた)媒体によって統一されていないということは、予想ファクターとしては心許ないですね。そもそも厩舎コメントというのは切り取り次第という側面があって、「年齢的に大きく変わらない」と「デキは変わらず安定」で言っていることは変わりませんが、受け取り手の感じ方は大きく違ってきます。そこに左右されるのではなく、出馬表から読み取れる情報から予測勝率を割り出し、期待値を考えるという作業をやった方が有効ですよ。
―例えばペプチドヤマトの場合は単勝94.6倍でしたが…。
みねた)出馬表を眺めてもらえばわかりますが、今回はそこまで戦歴的に抜けている馬がいませんでした。昇級後も僅差の競馬を続けているペプチドヤマトの勝率は、少なく見積もっても2%はあったはずです。オッズ90倍で勝率2%ならば期待値は180%ですから、90倍ついていたら期待値は突き抜けていましたね。50回に1回程度の的中頻度でも構わないのであれば、十分に◎にする価値はあります。実際に印を打った段階で90倍まではついていませんでしたが、それでも十分に期待値はあるだろうと考えて対抗評価にしました。もちろん、その段階で「最低人気だから」なんて考えは頭にありません。
―蓋を開けてみたら90倍まで跳ね上がり最低人気。
みねた)オススメしたいのは、「出馬表だけで予想する」ですね。新聞の印もそうですし、先ほどの厩舎コメントもみない。単純な成績だけが載っている主催者が出している出馬表だけで予想するのは、予想力を高める良い訓練になります。戦績だけを眺めて、勝ちそうだと思う順に順位づけをして、それぞれの予測勝率を考えてみるのです。試しに室町Sの出馬表“だけ”を眺めてみてください。
―1番人気のスターターンとてオープン以上での勝利経験がなく、2番人気のキタノズエッジも昇級後は4着、8着。結果的に2着だったとはいえメイショウホウレンは先行昇級だし、5番人気のアルテヴェローチェは初ダートで未知数…上位人気馬でも、そこまで決定的な実績を持っている馬はいませんね。
みねた)そうやって考えていくとペプチドヤマトが出走馬中16番目の評価になるような馬じゃないことがわかります。繰り返しになりますが、出馬表の客観的な戦績情報だけで予想して、それをオッズと比較することで、過小評価をみつける力が身に付きます。初心者の方はもちろん、予想に行き詰まりを感じている方は試してみてはいかがでしょうか。
