プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“組み合わせの期待値について改めて考える(後編)”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
12月14日 阪神11R 阪神ジュベナイルフィリーズ 芝1600m
阪神ジュベナイルフィリーズは阪神芝1600mで施行。初角までの距離は400m以上あるので、先行争いにおける内外の有利不利は少ないコースです。
登録馬が26頭。獲得賞金400万円組が15分の7の抽選となっています。メンバーが確定していないので現時点で展開面は読めませんが、2歳戦なので差し経験は重要。また、2戦続けて逃げているなど戦法が固まっているタイプも悪くありません。
想定1番人気はアランカール。将来を見越した1800mデビュー、2戦目の野路菊Sは6-5からの差し切りと、馬柱に隙がありません。強いて言えば2戦ともに少頭数だった点ぐらいでしょうか。前走の差して後続に0.6秒差は素晴らしいパフォーマンスで、非凡な瞬発力を感じます。脚質的な前詰まりのリスクに対して2倍台のオッズをどう取るか?でしょうが、重賞勝ち馬が相次いで回避した今年のメンバーであれば、見合っているようにも思えます。
想定2番人気はマーゴットラヴミー。こちらもデビュー2連勝ですね。アランカールとの違いは、こちらは前走が逃げ切りであるという点です。ただ、デビュー2戦ともに前に行けており、スタートの安定感は確か。それだけに内枠がベターでしょう。この馬を目標に競馬できるタイプに展開が向きそうで、このレースの展開面での鍵を握る存在です。
想定3番人気はアルバンヌ。ア行に有力馬が並ぶのは、画的にちょっと面白いですね(笑)。こちらはデビュー戦2着の後に2連勝。新馬戦の敗退は能力面以外の要素が影響することも多いので、全く気になりません。馬柱に敗戦歴が入るのは、期待値的にはむしろプラスです。また、2歳戦においてキャリアの多さは武器になる(体質面の丈夫さの担保にもなる)ので、有力2騎より1戦でもキャリアを積んでいる点にも好感が持てます。前走のサフラン賞の内容も悪くありません。あとはアランカールとの比較。勝率を考えると、もう少しオッズが欲しいか。
スターアニスは新馬戦5着で前走は重賞の中京2歳S2着。期待値が積まれていそうな臨戦過程です。1200mデビューなので、1600mへの距離延長は課題になるでしょう。想定オッズは約10倍。「10回に1回勝てるかどうか」と考えたら、期待値は足りているように思えます。
期待値的にはタイセイボーグも良さそう。キャリア4戦、既に重賞を2回経験しているのは大きな強みといえるでしょう。前走のアルテミスSでも期待しましたが、4コーナー9番手から外が伸びる馬場で内を突いての3着ですから、評価を下げる必要はありません。
抽選組では芝1800mデビュー組に注目。スタニングレディは東京芝1800mの新馬戦を7番手から差し切り勝ちと、「短縮ローテ」「差し経験」という2歳戦で有利に働く要素を2つクリアしています。新馬→未勝利と1800mを使われているギャラボーグも出走が叶えばチャンスはあるでしょう。
ヒズマスターピースは芝2000mでデビューし、マイルに距離を縮めて連勝。新馬戦はいかにも距離が長かったという戦歴です。3戦全てでハナを奪っており、戦法が固まっているのも良く、穴候補の1頭です。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言211
組み合わせの期待値について改めて考える(後編)
★ピックアップレース★
11月15日 京都9R 深草特別 ダート1200m良
◎11ビッグドリーム
高○13ジェネラーレ
穴▲9ハリウッドブルース
穴△4スペシャルナンバー
穴☆15ヨシノヤッタルデー
注3エルサトアナ
注5ズバットマサムネ

―前回に引き続き、11月15日京都9Rの深草特別について伺います。高○→◎→穴△という決着で3連複131.6倍、3連単494.9倍的中となりました。前回のラストで、「3連単の配当は494.9倍でしたが、仮にビッグドリーム→ジェネラーレ→スペシャルナンバーだったとしても376.0倍だったんですよ」とおっしゃっていましたね。
みねた)ビッグドリームの単勝が1.9倍、ジェネラーレの単勝が7.8倍と両者は4倍程度の差があります。それなら3連単でももっと差がついていても良さそうなものですが、実際は376.0倍と494.9倍と1.3倍程度の差しかついていませんでした。ただこれは、13→11→4の494.9倍が安過ぎるということではなくて、11→13→4でもオッズがもらえている、という解釈するのが正解です。
―もう少し詳しく教えていただけますか?
みねた)3連単で人気馬を頭にした買い目のオッズが甘くなる要因は複数考えられます。一つには、こういった2着続きの馬は「それなら2着付けで買ってみよう」というファンも多いので、結果的に3連単のオッズが単勝ほど辛くならないという側面はありますよね。また、3連単はマルチ買いなどで無駄な買い目まで押さえてしまう人が多いというのもあるでしょう。
―下手な人がたくさん買う、ということですか?
みねた)下手というより、点数を減らして外れるのを恐れる人が多い、ということです。一方、単勝で2点3点押さえる概念を持った人が3連単より少ない為、オッズが辛くなりやすい。
―確かに、(単勝オッズ7.8倍の)ジェネラーレが7回に1回勝つかどうか?というのはイメージがしやすいかも。
みねた)そこがまさに、単体の期待値と組み合わせの期待値の違いですよね。期待値のある穴馬を単独でみつける能力を持つ人は増えてきていると思いますが、そういう人が飛ばない人気馬、堅軸馬を見抜く力に長けているとは限りません。むしろ、そういう人は穴→穴の馬券に振り切ってしまうケースの方が多いでしょう。このレースでいえば、ジェネラーレを◎にしてもビッグドリームを軽視して、組み合わせないということですね。私の強みは、その双方を見抜いた上で、組み合わせの期待値で勝負できるという点です。1.9倍のビッグドリームに単勝で期待値は取れませんが、高期待値の穴馬と組み合わせることで期待値を取っていく。19万馬券を的中した10月19日の西湖特別もまさにそのパターンです。
―単勝1.7倍のサノノワンダーが◎でしたもんね。組み合わせの期待値を考えるというのはよくわかりましたが、3連単なら期待値があるかどうかを、判断するコツってありますか?
みねた)そこは合成オッズを見るのがわかりやすいでしょうね。
―合成オッズとは「複数の買い目を購入する際に、全ての買い目の回収額が同じになるように賭けた場合のオッズのこと」ですね。
みねた)このレースの推奨買い目(◎頭1頭軸ながし+〇▲△穴→◎→印)の3連単の合成オッズは10.2倍でした。10回に1回以上の的中率はあると考えられるので、この数字からも◎ビッグドリームにして、この馬が1着の目も含めて全て買うというのが正解だったことがわかります。◎が2着で払戻額が大きくなったのは、あくまで結果に過ぎません。大まかな目安として、合成オッズで5倍以上あれば、3連単を買ってもいいのではないでしょうか。逆に合成オッズが2倍程度しかなければ、3連単自体、買わなくていいです。
―最後に11番人気で3着だったスペシャルナンバーを評価できた理由も教えてください。
みねた)「逃げハサミ」です(笑)。しかもここ2走15→16→10着、9→10→6着という、金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」にも該当しています。スペシャルナンバーは一貫してメンバー上位の上がりを使っていて、「何かもう一押しあれば」いつでも圏内に突入できそうな走りをしていました。「逃げハサミ」がまさに「もう一押し」になりましたね。
―結果的に高めとなる組み合わせで入線して「ベストの当たり方」となりましたが、内容的にも「組み合わせの期待値」「逃げハサミ」と、みねた理論の真骨頂ともいうべき的中だったのですね。
