プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“適性差が大きいほど勝ちやすく、期待値も取りやすい”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
※今回が2025年最後の更新です。次回の更新は1/7(水)になります。
▼今週の重賞ピックアップ
12月28日 中山11R 有馬記念 芝2500m
いよいよ2025年の中央競馬もフィナーレ。今年は有馬記念での締めくくりとなりますね。その有馬記念は中山芝2500mでの施行。初角までの距離は200mを切っており、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。まだ出走馬が確定しておらず流動的ですが、先行馬占有率は50%前後になりそう。この距離にしては先行志向の強い馬が揃いました。
1番人気想定は昨年の覇者レガレイラ。一部で京都コースへの適性が疑問視されていた前走のエリザベス女王杯も1頭だけ次元の違う脚を使って勝利。格の違いを見せつけました。そのエリザベス女王杯が9-10-10-8と脚をためる競馬だったので、今回、先行馬が揃っているのもプラス材料。戸崎騎手と相性がいいのは確かですが、ルメール騎手への乗り替わりがマイナスであろうはずはなく、減点材料はほとんど見当たりません。1番人気にふさわしい存在といっていいでしょう。
2番人気想定はミュージアムマイル。先週の阪神JFでも鮮やかな手綱捌きをみせたC.デムーロ騎手が手綱を取ります。春先から能力の高さを評価している馬で、古馬相手の天皇賞(秋)での好走も納得。道中9番手から差してきたレース内容も価値があります。ジャパンCの結果からも、今年の3歳トップクラスはレベルが高く、言うまでもなくその一角を担っているのがこの馬。1番人気でもおかしくない存在で、想定4.9倍なら期待値がありそう。
3番人気想定はダノンデサイル。今年のドバイシーマクラシックの勝ち馬で、昨年の有馬記念は逃げて3着でした。前走のジャパンCは0.5秒差の3着。各馬が力を出し切るG1においての0.5秒差は、けっして小さいとはいえません。ただ、8-8-10-9と道中で脚をためた競馬をしているのは悪くなく、自在な脚質も魅力。想定5.1倍となっていますが、もう少しオッズがもらえるようなら。馬券的な話は置いておいて、心情的にはこの馬が勝利して、勝利騎手インタビューで戸崎騎手が「ベリーベリー」を披露するのが幸せな結末だと思っています(笑)。
メイショウタバルは今年の宝塚記念優勝馬。日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の流れを汲むなら、この馬の勝利がドラマティックですよね。典型的な肉を切らせて骨を断つ逃げ馬で、個人的に好きなタイプでもあるのですが、ファンの人気が高く、大敗しても大きく人気を落としません。今回も想定4番人気・10.1倍では買いにくい印象はあります。
ジャスティンパレスは今回が引退レース。G1レースばかり、いつも大崩れせずに走る馬主孝行の馬です。今なお、馬券に絡む力は十分に持っており、渾身の仕上げで臨むラストランで、もう一押しがあるかもしれません。想定17倍なら期待値はありそうです。ディープ直仔がラストランを飾る、これもまたドラマです。
タスティエーラも有馬記念がラストラン。馬券的にもお世話になりました。今年も香港でG1を勝っており、天皇賞(秋)でも一旦先頭の場面。まだまだ衰えはありません。想定8番人気・20.9倍は舐められ過ぎという印象です。
今年の象徴という意味では、藤田オーナー×矢作調教師×坂井騎手の最強チームでしょう。シンエンペラーは昨年のジャパンCでタイム差無しの2着と高い能力を示しています。海外遠征で馬柱の見栄えはよくありませんが、久しぶりとなる日本での連戦で上積みは十分。想定9番人気・25.2倍なら狙ってみる手もありそうです。
ファンの夢を乗せたドリームレースの有馬記念。ドラマティックな幕切れを期待して夢を買うのも楽しいですよね。今年も悔いのない馬券を買って、レースを楽しみましょう。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言213
適性差が大きいほど勝ちやすく、期待値も取りやすい
★ピックアップレース★
11月24日 福島6R 2歳未勝利 芝1200m良
◎2ジャスパールビー
高○15ミスターマーボー
高▲12キトゥンズシルバー
穴△14カンレイスター
☆10セイカユウヒ
注1ニルマーネル
注5カレンデュラ
注8リラベガ

―前回に引き続き11月24日福島6Rの2歳未勝利について伺います。◎→高○→注で決着し、単勝6.5倍、馬連23.6倍、馬単43.7倍、3連複81.0倍、3連単381.8倍的中だった一戦で、前回は「先行馬が揃ったレースの狙い方」について、改めて丁寧に説明していただきました。今回はこのレースの個別解説をお願いします。
みねた)前回のコラムで先行馬が揃った一戦では
(1)内枠
(2)距離短縮
(3)行き切れそうな馬
(4)位置取りを下げながら巻き返した(差し)馬
に注目すると言いました。このレースは
1着 2ジャスパールビー(内枠+距離短縮)
2着 15ミスターマーボー(距離短縮)
3着 1ニルマーネル(内枠+距離短縮)
ですから、まさに理論通りの決着ですね。
―どのように印上位馬の序列を決めたのか教えてください。というのも、私は1ニルマーネルを◎にしていたので。
みねた)気持ちはわかりますよ。私もこの2頭は◎候補としてかなり迷いました。1ニルマーネルの評価を下げた最大の理由はもっと人気になると思ったからです。配当妙味という点ですね。それから斤量。先行馬が揃ってテンのダッシュ力が問われる一戦だけに斤量も重要。52キロ→55キロに増えるのはマイナスです。ましてやこの馬はデビュー戦が410キロと小柄な馬なので、なおさら堪えるだろうと考えました。
―結果は6番人気(9.8倍)ながらハナ、クビ差の3着でした。
みねた)ですから、斤量が52キロのままだったら、この馬が勝っていたかもしれません。思ったより人気にならなかったのは、おそらくマイナス20キロが嫌われたのでしょう。
―迷った末に◎評価したジャスパールビーが見事、逃げ切り。こちらを評価した理由も教えてください。
みねた)前提として内枠+距離短縮だったこと。その上で、期待値の取りやすい要素を備えていたからです。この馬は、新馬戦(ダート1400m)で8.1秒差の大敗を喫し、2戦目の未勝利戦(芝1400m)を14番人気ながら果敢に逃げて0.3秒差の2着と一変しました。10月京都でデビューするぐらいですからそれなりに調教で動けていて、陣営も期待していたと考えられます。そんな馬が8秒負けたら、これは能力ではなく、ただ回ってきただけと考えるのが妥当。ノーカウントで問題ありません。続く2戦目に芝に替えてパフォーマンスを劇的に上げたということは、芝向きと考えて良いでしょう。引き続き、芝なら好勝負必至です。
―レース回顧勢の見解によると、デビュー戦は芝とダートの切れ目に驚いて、そこからレースにならなかったとか。
みねた)私の手法で2戦目の変わり身を見抜くのは難しいです。気性面などの問題で2戦目も8秒負ける馬かもしれませんから。惨敗のデビュー戦→芝で一変した2戦目というセットで、はじめて3戦目の今回、狙うことができる。もちろん、2戦目で狙えた方は素晴らしいですが、2戦みた上で、今回の単勝6.5倍が当てられるなら十分でしょう。
―私は1枠の2択で、どうしても新馬戦の8秒負けが気になってしまいました。
みねた)だからこその6.5倍ですよね。新馬戦も2着だったら、今回は断然の1番人気になっているでしょうから。多くの方が同じように、馬柱に残る「新馬戦 8.1秒差・16着」をみて、「前回の激走はフロックかも」と考えたからこそ、オッズがもらえたのです。競走馬が勝ち上がるため、そして馬券ファンが期待値を取るためには、適性差が大きいのが望ましいです。安定して走る才能よりも、ダートは全くダメだけど芝は走る、1600mは全くダメだけど1200mなら走るというタイプの方が1勝しやすく、オッズも甘くなりやすいのです。
―最後に2着のミスターマーボーについても一言お願いします。
みねた)◎を展開面も加味して決めたので、対抗以下は期待値重視ですね。外枠でも好走できたのは距離短縮が大きかったと思います。直近2戦が4着4着というのは金言32「競馬で勝ちたければ、4と6を意識しろ」で触れた通り、期待値を取りやすい臨戦過程でもあります。しかもその2戦が0.4秒差、0.4秒差と僅差だったのに、「4」着のイメージで甘くなるのも好都合。内枠だったら差し切っていたかもしれませんね。
