プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回は牝馬クラシックの馬券に繋がるクイーンCの評価とその他の注目レースについて。
なお、『競馬放送局』では双馬氏の推奨レース(予想)、特選リストを公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
双馬:前回の予告通り、今回はクイーンCについて話したいと思います。このレースの評価は牝馬クラシックを予想する上でとても重要になりそうです。
──ここを勝ったクイーンズウォークは、アスコリピチェーノやチェルヴィニアと人気を分けそうですもんね。ぜひ評価を聞かせてください。
双馬:結論から言うと、クイーンCのレベルは高いです。このレベルの高いメンバーを相手に展開が向いたとはいえ、勝ったクイーンズウォークは評価すべきでしょう。
クイーンズウォークは第139回の当連載で「クラシック路線に加わりそうな有力候補」として取り上げましたが、新馬戦から高いパフォーマンスを見せています。その時に「スケール感があって、半兄のグレナディアガーズを見ていても短縮ローテの方が良いでしょうから、クイーンCに出走するなら注目」と言いましたが、その通りの結果になりました。
中内田厩舎で川田騎手が乗るでしょうし、今回のパフォーマンスも優秀となれば、桜花賞でも当然人気になると思います。ただ、短縮ローテで走った後で、しかも展開が向いた後ですから、本番に向けてはあまり良いローテとは言えません。
川田騎手が前哨戦で見せる「競馬を教えながら」という乗り方で結果を出せたので、一見万全のように見えるんですけど、短縮ローテで走った後というのはマイナスなんです。
──どんなに強くても、そのリスクがある以上、軸にするのは恐いですね。
双馬:僕はクイーンズウォークよりも2着のアルセナールの方を評価しています。エピファネイア産駒なのに2戦目で追走が速くなっても普通に走れましたし、外差し有利の中、内で唯一走れました。色々な面においてアルセナールの方が本番での可能性を感じます。この賞金で桜花賞に出られるかどうかは分かりませんが……。
──フィリーズレビューの結果次第という感じですね。アルセナールより賞金を持っている馬が優先出走権を取れば出走できそうです。
双馬:もし出走できたら母のサンブルエミューズは、ナミュール、ラヴェル、アルセナールと3年連続でクラシックに送り込むことになります。他にもヴェスターヴァルト(ファルコンS・3着馬)がいますし、ノヴェリスト、ハービンジャー、キタサンブラック、エピファネイアで重賞級を出しているわけです。本当に凄いお母さんですよね。
サンブルエミューズの仔はナミュールのように延長種牡馬をつけても短縮をこなせるので、エピファネイア産駒のアルセナールもどちら向きかまだ分かりませんが、桜花賞に関しては同距離ローテで反動がなく本番を迎えられることになります。
──少なくともクイーンズウォークより良いローテで臨めるということですね。
双馬:驚いたのは3着のルージュスエルテです。ここまで立て直してくるとは思いませんでした。前々走は短縮ローテで無理やり逃げて勝って、前走は1勝クラスとも呼べないような馬たちを相手に逃げて勝って、あまり良い内容じゃなかったんですけど、今回ここで普通に3着に来れたのは、立て直しが成功したということでしょう。
──ちょっと待ってください。立て直したと言いますけど、連勝してきているわけですよね?
双馬:1400mで逃げて連勝ですからね。クラシックを目指すならそんなレースをしていたらダメじゃないですか。しかも、前走の2着馬ナックジュピターはその後未勝利戦に出て8着なんですよ。3着馬も東京芝1400mで上がり33秒台のレースなのにパイロ産駒なんですよ。そんなレースだったので圧勝して当たり前。それを逃げて勝たせたら今後には繋がりません。
──なるほど。立て直したからこそ、クイーンCでは後方から末脚を伸ばす競馬ができるようになったわけですね。
双馬:新馬戦ではできていたんですけど、なんで2戦目で逃げちゃったんだろう?と思いました。ルメール騎手がそうしたということは、上手なレースはできないと思ったんでしょうね。レース前の段階で逃げそうなコメントをしていましたから。でも、今回はオークスで走ってもおかしくないようなパフォーマンスでしたから、今後が楽しみです。
あと、クイーンCで特筆すべきは、サクセスカラー、モリノレッドスターなど、4着以下の馬たちが弱い馬ではないということです。