競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「川田将雅研究(後編)&菊花賞展望」です。
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秋華賞は終わってみれば今年もルメール&武豊という決着でした。
エンブロイダリーは多少距離への不安もありましたが、2000mの内回りでルメール騎手ならなんてことなかったですね。
ジョッキーには「燃費」というものがあって、距離を持たせるのが上手い騎手と、苦手な騎手がいます。ルメール騎手、武豊騎手は燃費が良い代表格でもあります。昨年はチェルヴィニア&ボンドガールでワンツー、今年もワンツー。昨年も今年もマイル重賞実績馬の距離を持たせて1~2着というところも共通しています。
小回り2000mに対応しつつ距離を持たせるという点で、ジョッキー込みで上手くハマったのでしょう。
その観点からみて、あまり燃費が良くないのが川田騎手です。というわけで今回は川田研究の後編です。
~秋華賞はカムニャックで失速、その敗因とは?~
秋華賞はカムニャックで挑んだ川田騎手ですが、結果は単勝2.1倍で16着と惨敗でした。物事の原因には様々なことが絡んでいるので何か1つに断定することはできません。ただ、大きな要因のひとつはジョッキーだったと思います。
まず、川田騎手は基本的に早仕掛けです。これがローカルや急坂の阪神&中京2000mではプラスに働くのですが、京都芝2000mだと、最後に余力を残した馬にやられがちです。
加えて、今回はやはり前哨戦の反動があったように思えます。この点は先週触れたのでそちらを読んでいただきたいですが、トライアルでは多少リラックスする隙を与えないと、相手がさらに強くなる本番で反動が出がちです。
また、イレ込みもありました。川田騎手が継続騎乗する馬はどうしても気性がキツくなりがちです。様々な点で本番における上積みがなかったのが今回のカムニャックでした。
~古馬中距離以上の主要レースをまったく勝てていない~
ここまで書くと、まるで私が川田騎手に恨みでもあるのかと思われるかもしれませんが、その点については改めて否定しておきます。なぜなら例えば直近の南部杯では◎ウィルソンテソーロで勝たせてもらいましたし、富士Sでもジャンタルマンタルを本命にしていました(1番人気2着)。
ただ、やはり芝の中距離以上では信頼度が下がります。そのカギが「燃費」です。