先週は東京で土曜、日曜と注目の3歳重賞が行われました。G3クイーンC、G3共同通信杯ともに過去には後のクラシックホースを輩出したこともあるだけに、しっかりと振り返っておきたいと思います。
土曜のクイーンCは先団の後ろで脚を溜めたハーパーが、直線もスムーズに馬群をさばいて差し切り勝ち。未勝利勝ち直後の身ながら一気に重賞ウイナーの仲間入りをはたしました。ただ、2着ドゥアイズとはわずかクビ差。同馬が昨年12月の阪神JFでリバティアイランドから2馬身半差遅れの3着に敗れていることを考えると、この勝利をもってハーパーが牝馬クラシックの主役に躍り出たとまでは言えないでしょう。
一方、先週の当欄で取り上げたモリアーナは3着。折り合い面の難しさを露呈した阪神JF(2番人気12着)からの反撃には成功しましたが、今回は上位2頭よりも外を回す形になったぶんクビ、ハナ差の3着まで。改めて力があることは示しましたが、賞金加算に失敗したことは今後のクラシック戦線を戦うにあたって暗い影を落としそうです。
日曜の共同通信杯はファントムシーフが2番手追走からきっちりと前をとらえてV。前走のホープフルSでは内で踏み遅れる形になって4着に敗れましたが、今回はスムーズな競馬で巻き返しました。スローの前残り決着や、あまりにスムーズなレース展開から、今後も乱戦になった際の不安は残りますが、脚力そのものは世代上位であることは確かでしょう。
2着タッチウッドは出遅れ→掛かり気味に途中からハナという大味な競馬。スローペースだったこともあり結果オーライの立ち回りでしたが、気性面やレース運びには大きな課題を残しました。今後はそのあたりの修正がカギになりそうです。
当コラムで取り上げたダノンザタイガーは3着まで。前日のハーパーと同じように道中は先団の後ろで手応え十分でしたが、直線では外に出すことができず、その後も前の馬の動きに翻弄される形になって消化不良に終わりました。『少しずつ動けるようになってきましたが、まだ動き切れないぶん、その都度、道が無くなってしまう感じで…』とは川田将雅騎手。戦前から同騎手が話していたように、現時点での完成度の差が明暗を分けました。前出モリアーナ同様に、こちらも賞金加算に失敗したのは痛恨。今後は皐月賞への道を探るのか、あるいはダービー1本に狙いを定めるのか…。その動向に注目です。
さて、今週は3歳重賞が行われないうえ、芝のオープン競走もありませんが、日曜東京ではダートのオープン・ヒヤシンスSが行われます。過去10年の勝ち馬を見てもゴールドドリームやエピカリス、カフェファラオなど、そうそうたる顔ぶれです。
2023/02/14 (火)
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藤井真俊
東京スポーツ新聞社・レース部記者。昭和55年4月8日生まれ、埼玉県出身。美浦トレセンで毎週取材を続け、蛯名正義調教師や三浦皇成騎手のコラムを担当するほか、週末には予想コラム「ザ・飲ンフィクション」を連載中。「BSイレブン競馬中継」「ラジオ日本 土曜競馬実況中継」解説者。そのほか雑誌「Number」やキャロットクラブ会報、netkeibaなど各種媒体で執筆中。
