毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・イクシードなど注目新馬の振り返り
・エリ女、武蔵野S出走馬最新情報
・今週末デビュー予定の2歳馬情報
イクイノックス全妹イクシードなど注目新馬の振り返り
――今回は注目新馬の振り返りからお願いします。まず10/11(土)の東京芝1600m戦ですが、1番人気のボニープリンスが4着、4番人気サントマーレが9着でした。
木實谷:ボニープリンスは1800m、2000mを予定していたのですが、大竹調教師から折り合いに不安があるということで1600mにしました。レースではそのあたりの不安も感じさせなかったですし、最後の直線で追い出すまでのロスはありましたが、先に繋がる良い競馬だったと思います。
血統的にも馬体を見ても、距離は延びた方が良いと思いますので、心身のバランスが取れるようになってくれば、自ずと距離は延びると思います。
サントマーレは前週の1400mを除外になってしまい、1600mでは最後バッタリ止まってしまいました。1400mでもちょっと長いかなという感じでしたので、距離を詰めればチャンスはあると思います。
――翌12日(日)の東京芝2000m戦では、イクイノックスの全妹イクシードが完勝。1頭だけ違う脚でしたが、レース後に骨折が判明してしまいました。
木實谷:レースはスタートだけ内側の馬を見て、ちょっと外に行ってしまいましたが、折り合いも良かったですし、終いの伸びも良かったですね。初戦としては申し分のない内容だったと思います。レース後に骨折が判明してしまいましたが、しっかり治して、また力を発揮できるように進めていきたいと思います。
――13日(月)の東京芝1800m戦では1番人気に推されたアラクランが12着に敗れてしまいました。
木實谷:調教を見てもあんなに負ける馬ではないのですが、今回は色々と噛み合わなかった部分があったということだと思います。
――同日の東京芝1600m戦ではノーザンタイタンが1着、バルボアパークが4着でした。
木實谷:ノーザンタイタンは調教の感触通り、スタートから手応え良く好位を進めて、優等生の競馬だったと思います。
バルボアパークはちょっと調教不足で、それは田中博康調教師も分かっていたので、良くも悪くも答え合わせができたかなと。次は良いと思いますよ。
――10/18(土)の東京芝1600m戦はスペルーチェが2着、ハニージョーが3着、ジュナベーラが4着という結果でした。
木實谷:スペルーチェはちょっと勿体なかったですね。もう少し収まって走れれば勝てたと思うのですが。
ハニージョーは喉の手術をしているのですが、スタートをうまく切って、最後まで頑張っていたと思います。調教の時計が詰まってくれば、すぐに勝てると思いますよ。
ジュナベーラはレースでの進路取りが早ければ、楽に3着はあったのかなと。左手前に戻ってから伸びたように、まだ左右のバランス感に課題があります。ちょっと成長待ちですね。この3頭はすぐに勝ち上がれると思います。
――ハニージョーですが、喉の影響は感じさせなかったですか?
木實谷:ジョッキーは鳴っていると言っていました。ただ、これぐらい走れれば大丈夫だと思います。
――翌19日(日)の東京ダート1600m戦は1番人気のティルベリーが4着、カーマインジュエルが11着でした。
木實谷:ティルベリーは上手に競馬ができていましたので、最後まで走れるだけの体力がつけばという感じですね。
カーマインジュエルはダート1400mを除外されて、1ハロン延びたのですが、それにしてもという負け方でした。普段見ている限りはこんなに負ける馬ではないので、次に期待しています。
――同日の東京芝1800m戦でも1番人気に推されたランズダウンロードが6着、アンヴデットが9着という結果でした。
木實谷:アンヴデットはずっと北海道で調整していたので、向こうのスタッフに任せていました。ランズダウンロードは道中の走りですね。この馬は調教が難しくて、ずっと単走でしか調教できていませんでした。
――ランズダウンロードはレース前の当欄で、口向きの難しさを見せていて、まずはごちゃつかない頭数が少なくなる想定のレースで、とのことでしたが、まさかのフルゲートで。
木實谷:私の読みが甘くて情けない限りです(苦笑)。レースでも馬の間に挟まって完全に頭を上げてしまっていたので。ただ、それでも6着だったので、力はありますね。
エリザベス女王杯、武蔵野S出走馬最新情報
――ここからは今週末の重賞出走馬について伺います。まず武蔵野Sにはコスタノヴァが出走を予定しています。6月末のさきたま杯11着以来となりますが。
