★今週の重賞ピックアップ★
11月6日阪神11R みやこS(ダート1800m)
今週はGIレースが一休み。それでも見所ある4重賞が行われます。ここで取り上げるみやこSは阪神ダート1800mで施行。初角となる1コーナーまで300mほどで、先行争いにおいてはやや内が有利なコースです。
今年の登録メンバーで、前走の通過順位に3番手以内があるのは9頭。登録18頭の半分が前走で先行しており、厳しい流れになるでしょう。タフな争いになるので、差し脚質、距離短縮、格下がりなどの馬が有利です。
1番人気が見込まれるオメガパフュームは、前走4角7番手からの差し、2000mからの距離短縮、そしてGI・帝王賞からの臨戦。これらの条件を全て満たしており、好走確率はかなり高そうです。強いていえば59キロを背負う点ですが、アンタレスSで克服しており、大きな死角とはならないでしょう。
差し馬で面白そうなのがハギノアレグリアスです。前走はオープンの太秦Sを1番人気に応えて差し切り勝ち。通過順位5-6-7-6が示す通り、道中でしっかり脚をためられている点に、相手強化でも通用する下地を感じます。6番人気前後にとどまるなら、馬券妙味は十分。
除外対象ではありますが、大穴でサクラアリュールにも注目。道中の通過順位が二桁という典型的な追い込み馬ですが、プロキオンS・3着、シリウスS・5着と差のない競馬を続けています。100回に1回は勝てる見込みがありそうなので、単勝100倍超のナメられた評価になるようなら、期待値は取れるでしょう。
シリウスSで2着と古馬相手に通用する力をみせたハピも有力。今回、展開的にも恵まれるでしょう。
同じ3歳馬のタイセイドレフォンは、なんとも評価の難しい一頭。差し有利の流れにうまく乗った印象が強いレパードSの内容は特筆すべきものではありませんが、2走前の古馬混合2勝クラスでの1.3秒差勝ちは、能力がなければできない芸当です。先の天皇賞・秋でも3歳馬が1、3着しましたが、世代レベルが高いと踏むのであれば、当然、有力候補となります。
穴の差し馬を軸に取ると、2列目で先行馬の取捨選択が必要。先行馬を軸に取るのであれば、穴の差し馬を2列目に並べることが可能。どちらを選ぶのか、あるいは第三の選択肢があるのか。馬券の組み方も大きなポイントとなりそうです。
【枠順確定後注目馬】
3オメガパフューム
4アイオライト
6メイショウフンジン
9タイセイドレフォン
10ブリッツファング
12ハギノアレグリアス
16ヒストリーメイカー
3オメガパヒュームは内から抜け出すのが難しそうな枠で週中のコラムより評価は少し下げる。
今回は本命は差しに置いて先行馬に流す。
なお、最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
★みねたの金言53★
パリミュチュエル方式の本質
──3回にわたって、みねたさんに資金管理についてお聞きしたのですが、とても評判がよくて。そこで今回も、個別のレースについてではなく、ギャンブルの考え方に関してお聞かせいただこうと思います。読者の方から、「みねたさんは的中率についてどうお考えですか?」という質問が届いているのですが。
みねた: 的中率と回収率のどちらが重要か、どちらを意識すべきかと問われたら、言うまでもなく回収率です。もちろん、同じ回収率ならば的中率が高い方がいいに決まっているのですが、現実的ではありません。
──「現実的ではない」とは、「存在しない」ということでしょうか?
みねた: 的中率が高くて回収率が100%を超えるようなデータは、探せば見つかります。ただ、当たりやすいと買いやすいですよね。買いやすいということは、大金を賭けられるということなんです。そして、日本の競馬がパリミュチュエル方式を採用している以上、大金を張られてしまうと期待値を失っていってしまう。
──回収率が高くても、的中率の低いデータには、大金は賭けにくいですもんね。
みねた: 私は新潟牝馬Sのホウオウエミーズ(単勝21.5倍)に4万円賭けましたが、このオッズ帯の馬に何万円も張るのに抵抗がある人がほとんどだと思います。だからオッズが保たれ、期待値を取ることができる。これが単勝4倍ぐらいの馬だと、何万円も張る人がたくさん出てきて、オッズが下がってしまい、買えないデータになってしまうわけです。
──期待値を追求するみねたさんの考え方と「パリミュチュエル方式」は切っても切れない関係にあると思うので、ここで改めて解説していただいてもいいですか。ちなみに、ウィキペディアの言葉を借りると、「投票券の総売り上げをプールし、興行主はそこから一定割合を差し引き、残りの金額を勝ち投票券に配分する方法」とあります。
みねた: それだと分かりにくいと思うので、主催者の取り分などは考慮せず、単純化して話しますね。勝率50%、つまり2回に1回の確率で当たる馬のオッズを考えてみてください。
──控除率を考えないなら、確率通りだと2倍ですよね。
みねた: そうです。でも実際には、1.5倍の馬もいれば4倍の馬もいます。オッズを決めるのは多数決なので、多くの人がいいと思った馬は買われ過ぎて2倍よりもオッズは低くなるし、多くの人が過小評価した馬はオッズが高くなります。例えば前走が同じ0.2秒差でも、2着だった馬は売れやすいし、6着だった馬は実力よりも低く評価されて買われにくい。私がコラムで「単体で期待値が取れるパターン」と言っているのは、「過小評価されてオッズが甘くなりやすいパターン」と言い換えることもできます。
──確率(好走率)は同じなのに、オッズの方が変動しているということですね。
みねた: はい。さらに単純化して「勝率50%の馬の2頭立て」で考えると、パリミュチュエル方式の本質がより理解しやすくなります。オッズは総売り上げ÷その馬の売り上げで算出されるので、例えばAの売り上げが6000円、Bの売り上げが4000円だと、Aのオッズが1.67倍、Bのオッズが2.5倍になります。
──10000÷6000=1.67、10000÷4000=2.5ですね。
みねた: 2頭の実力が全く同じで1:1の確率で勝つとして、Aの方を著名な予想家やAIが推したことで買われて1.67倍になったら、Bのオッズは2.5倍に上がる。これがパリミュチュエル方式です。さらに、Aが売れているのをみて、それにつられてもう6000円買い増されたらどうなりますか?
──総売り上げ16000円に対してAが12000円なので16000÷12000でオッズが1.33倍、Bが16000÷4000でオッズが4倍…?
みねた: 正解。このように、確率は同じなのにオッズが変わっていくのです。ですから、実力とは異なるマイナス(に感じる)要素が多い方が、オッズがつくので期待値を取りやすくなりますよね。
──先週の天皇賞のオッズをみて、パリミュチュエル方式の面白さを実感したんです。パンサラッサのオッズが22.8倍(7番人気)もついていて。同年のドバイターフ勝ち馬が、小倉記念しか勝っていないマリアエレーナよりも人気がないなんて、戦歴の比較では考えにくいことじゃないですか。
みねた: さらに言えば、前走の札幌記念はパンサラッサが2番人気でジャックドールが3番人気。そこでタイム差無しの接戦だったのにも関わらず、今回はジャックドールが5.0倍の3番人気でした。
今回は世代間の比較という難しい要素もあったので、対ジャックドールでパンサラッサは先着できないと考えた人の多くが、ジャックドールと3歳世代の比較までしかせず、前走で0.0秒差だったパンサラッサと3歳世代の比較までいかなかった。3歳世代と古馬がGIで初対戦でなければ、ジャックドールとパンサラッサの対戦比較がもう少し慎重になされ、5倍と22.8倍ほどのオッズ差は出なかったかもしれません。
──今や、AI全盛の時代ですが、まだまだ、こういう人間の心の動きがオッズに反映されているのかと思うと面白いですし、オッズの歪みを突いて勝つ方法が残されているんだと感じました。
みねた: 馬券を買う側は結果には関与できません。確率は動かせないですが、買うオッズは選べます。少しでも有利なオッズを選ぶこと、それこそがパリミュチュエル方式で勝つための最善なのです。