プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「初芝の馬は芝スタートでの走りをチェックせよ」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
4月30日京都11R・天皇賞春(芝3200m)
天皇賞春は京都芝3200mで施行。2020年以来の京都競馬場での天皇賞春になります。初角となる3コーナーまでは400m以上あり、先行争いにおける有利不利はありません。
京都の天皇賞春といえば、2周目3コーナーの坂の下りでは内で脚をため、バラけた直線の内を突いて伸びてくる“ユタカマジック”の印象が強く、騎手の技量も問われるコース。ただ、私の予想スタンスとしては、騎手を見るのではなく、そのポジションを取れそうな馬を考えるだけです。
登録17頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはアフリカンゴールド、ジャスティンパレス、タイトルホルダー、ディープボンド、ディープモンスター、ディアスティマ、ボルドグフーシュ、マテンロウレオの8頭。この距離で先行馬の割合47%は相当高く、タフな競馬になるでしょう。バラけた隊列になりそうなので、まさに直線で内を捌いて伸びてくる馬が狙い目になりそうです。
そのポジションにハマりそうなのはサンレイポケット、シルヴァーソニック、ヒュミドールあたりでしょうか。サンレイポケットは阪神大賞典が0.6秒差の6着といかにも期待値の取れそうな負け方。後者2頭は、ステイヤーズS、ダイヤモンドSでそれぞれ道中しっかり脚をためて好走しています。
阪神大賞典で5番手から3着したブレークアップも、いかにもバラけた内を伸びてきそうなタイプではあります。人気どころで差せるタイプならボルドグフーシュ。
タイトルホルダーの前走は圧巻でした。G2で1.3秒差というのはなかなかお目に掛かれるものではありません。この馬が頑張る流れだと他の先行馬は苦しいので、相手はやはり差せる穴馬になるでしょう。
タイトルホルダーが潰れるようなタフな流れになったら、スタミナお化けのディープボンドの出番があるかもしれません。
ディアスティマは前走でタイトルホルダーに1.4秒差をつけられましたが、道中でハナをタイトルホルダーに奪われる厳しい競馬でした。想定9番人気となっていますが、人気以上に能力は高い馬です。
いずれにせよタイトルホルダーの扱いが鍵を握る1戦で、予想家の立場としては結論の出し方が難しいのですが、その分、考え甲斐があります。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
[枠順確定後注目馬]
1ジャスティンパレス
3タイトルホルダー
7ディープボンド
12ブレークアップ
13ボルドグフーシュ
14マテンロウレオ
タイトルホルダーが2枠3番と良い枠に入り波乱要素は減ったが、17頭立てで1倍台なら他の馬の逆転に賭けても良い。
タイトルホルダーが負ける展開となると、他の逃げ馬に長く絡まれペースが上がった時。狙うのは内で脚を溜めてスタミナを温存できる馬。
■みねたの金言77
『初芝の馬は芝スタートでの走りをチェックせよ』
★ピックアップレース★
4月16日阪神9R・蓬莱峡特別(芝1800m稍)
注目馬:11シェイリーン
──先週に引き続き、『亀谷競馬サロン』リモート出演回の的中について伺っていきましょう。阪神9Rの◎11シェイリーンは盛り上がったみたいですねぇ。
みねた: このレースは『11シェイリーンか4ストップザタイムのどちらかでしょう』とお伝えしたのですが、高いほうがきてよかったです。確かに、11シェイリーンがArrogateの産駒であることは全く意識していませんでした(笑)。
──Arrogate産駒はこれまで芝未勝利で、これがJRAの芝での初勝利となりました。そもそも2022年も出走機会46回のうちダートで43走ですから、関係者もほぼダート向きと判断しているということですよね。
みねた: 芝替わり、ダート替わりの際は、普段よりも血統を意識するファンが多いかと思います。その結果、適性がありそうな馬が実績以上に売れ過ぎてしまうケースも少なくありません。結局、血統というツールを使って推定好走率を割り出した後は、どのオッズで買うかという判断になります。最終判断はオッズに委ねられるわけで、11シェイリーンの場合も、単勝オッズ26.4倍の8番人気なら、この後に説明する買い材料と照らし合わせれば、十分に期待値を取れると考えました。
──金言6『揺らぐな。得意ファクターを貫け』で初ダートの扱い方を教えてもらいましたが、その時のように、普段通り、並びや隊列重視で良いということですね?
みねた: そういうことです。このレースで前走の通過順に3番手以内があったのは、3オオキニ、6クリオミニーズ、10セグレドスペリオルの3頭。そして私が注目馬に挙げた2頭はいずれも先行馬の外側という、隊列面で恵まれる可能性の高い馬でした。なにも特別なことはしていません。しかも、11シェイリーンは金言34『少頭数の大外枠』にも当てはまっています。
──まさに『揺らぐな。得意ファクターを貫け』ですね。道中で外を回らずに、大外枠の揉まれないメリットだけ享受できるから、『少頭数の大外枠』は期待値が高いという考え方でした。
みねた: すぐ内の10セグレドスペリオルが捲っていけば道が拓けるし、先行してくれれば、そこについていく形で前に行ける可能性が高まります。言うなれば10セグレドスペリオルをペースメーカー代わりに使えるので、11シェイリーンはかなり並び的には恵まれていましたね。
▼参考記事
【第6回】揺らぐな。得意ファクターを貫け~初ダートの扱い方~/馬券師・みねたの金言
【第34回】宝塚記念展望&初ダートの大外枠、少頭数の大外枠/馬券師・みねたの金言
──それにしても、ハナを奪って上がりもメンバー最速。完璧な内容でした。
みねた: 強かったですね。結果的に10セグレドスペリオルは全く前に行けず、ハナを切れたのは嬉しい誤算でした。ただ、全く想定外というわけではなくて、この馬のダート時代の戦歴をしっかり紐解けば、ある程度、予見することは可能です。
──前走は今回と同距離のダート1800mで5-6-4-4という内容だったので、この激変は想像しにくいです…。
みねた: ポイントはスタート位置の芝ダートです。ダートから芝替わりの場合、芝スタートのダートコースでのレースぶりをチェックするのは必須です。
──芝スタートのダートコースは、福島1150m、新潟1200m、中山1200m、京都1400m、中京1400m、東京1600m、阪神1400m、阪神2000mの合計8コースですね。
みねた: 11シェイリーンの芝スタートのダートコースの戦績をチェックしてみてください。
──デビューから9戦全てダートのレースで、芝スタートのコースは…2走前の阪神2000mと3走前の東京1600mだけですね。
みねた: 2走前は阪神2000mで2-2-2-1から0.9秒差の3着、3走前は東京1600mで2-2から、こちらも0.9秒差の3着です。前走の中京1800mは5-6-4-4から12着、4走前は小倉1700mで9-9-9-10から11着。芝スタートの2戦は初角で2番手を取る行き脚を見せており、むしろダートスタートでは行き脚がついていません。
Arrogateの産駒成績はともかく、少なくとも過去の内容を見れば、芝でも走れる、むしろ芝の走りはいいなと感じ取れました。ダート向きという血統のイメージでナメられるなら、これはシメたものです。
──今まで、初ダートの芝馬を芝スタートの外枠で狙うことばかり考えていましたが、逆パターンもしっかり意識しておきます。