プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「文字通りの“同脚質”」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
8月13日 小倉11R・小倉記念(芝2000m)
小倉記念は小倉芝2000mで施行。初角となる1コーナーまでは十分に距離があり、先行争いにおいて内外の有利不利は少ないコースです。
登録16頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは、ククナ、ザイツィンガー、テーオーシリウス、マリアエレーナの4頭。占有率25%なので比較的、前が有利なレースになりそうです。
とはいえ、重賞なので先行してそのままというよりは、好位から差せるタイプが狙いやすいでしょう。その観点から面白そうなのは、スタッドリー。道中で捲っていく脚もあり、AJCCで0.5秒差と能力も足りています。ポジションを取る上で、距離短縮ローテはやや気になりますが、それでも7番人気なら。
極端な後方待機の馬も多いので、前走7番手のワンダフルタウンも相対的にポジションが良くなりそうです。
シンプルに前に行く組ならテーオーシリウス。オープン入り後もリステッド4着、オープン3着とそれなりの力は見せています。前走の4.2秒差・16着という大敗でナメられ逃げが発動する可能性があるここは、一発があるかもしれません。
前走の鳴尾記念で2番手から競馬を進めたのがマリアエレーナ。能力、コース適性は文句なく、今回は展開利も見込めるので、人気でも評価せざるを得ません。
単純に期待値だけならスカーフェイスも面白そう。大阪城Sが8番人気での勝利で、人気になりにくいタイプ。2走前の鳴尾記念は0.4秒差と重賞でも通用する力を秘めています。問題は、位置取りが後ろになり過ぎるのがどうか。
エニシノウタは前走から斤量が6キロ減の50キロ。2勝クラスからの臨戦とはいえ、これは相当に楽に感じられるはずです。
一方、トップハンデのカテドラルも要注目。常に人気にならないタイプですが、今春の小倉大賞典でも9番人気2着と激走を果たしており、7歳馬ながら衰えは感じられません。ペースが落ち着きそうなだけに捲る脚があるのも好感が持てます。直近のダート2走は度外視可能。トップハンデが嫌われることも含め、期待値はかなり積まれていそうな印象です。
マリアエレーナは強力ですが、先行タイプだけにマークされやすいという側面も。期待値のありそうな馬も多く、馬券的に楽しめそうな一戦です。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
[枠順確定後注目馬]
1カレンルシェルブル
2テーオーシリウス
3エヒト
4マリアエレーナ
9スタッドリー
10ククナ
12ザイツィンガー
ハンデ戦でもあり荒れそうなレース。前に行ける馬がばらけて入りオッズ的にも想定していたより被らなかった印象。差し馬から先行馬に流す予定だったがそのまま前残り狙いで良い配置。
■みねたの金言92
『文字通りの“同脚質”』
★ピックアップレース★
2023年7月8日 中京11R・マレーシアC(ダート1800m良)
◎12セイクリッドゲイズ
○5サンライズアリオン
▲8プリモスペランツァ
△11タガノエスコート
☆6テイエムマグマ
注3ラフストリーム
注7サンマルレジェンド
[参考買い目]
単勝 12 2000円
ワイド 12-5.8.11 各1000円
馬連 12-5.8.11.6.3.7 各400円
3連複 12-5.8.11-5.8.11.6.3.7 各200円
──7月8日のマレーシアCは7番人気2着のセイクリッドゲイズに◎で、ワイド10.1倍、馬連76.2倍、3連複81.5倍の的中でした。セイクリッドゲイズが道中イン、4コーナー外という、惚れ惚れとするレースぶりだったのが印象的だったのですが、このレースの思考を教えていただけますか?
みねた: このレースが行われた中京ダート1800mは、初角となる1コーナーまで300mを切っている「コースパターンD」(コースパターンの詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』をご参照ください)。初角までの距離が短いため、先行争いにおいては内枠が有利です。
コース形態的にはシンプルに内を狙うことが多く、特に下級条件の場合、「コースパターンD」で内枠にポツンと先行馬が配置されていたら、その馬をシンプルに狙うのが正解というケースが多いでしょう。
──このレースで、前走の通過順位に3番手以内があったのは、7サンマルレジェンド、8プリモスペランツァ、10ラルフ、11タガノエスコート、13ライオットガールの5頭。先行馬の占有率は16頭中5頭で31%です。
みねた: 先行馬占有率的には先行、差しイーブンといったところですが、問題は先行馬の枠と並びですよね。
──その“問題”について詳しく教えてください。
みねた: まず、本来であれば狙いやすい内枠に先行馬が入っていません。最も内を引いたサンマルレジェンドでも7番です。そして、そのサンマルレジェンドの隣に前走捲って4角3番手だった8プリモスペランツァが並んで入ってしまいました。
──金言7「先行馬の並びが展開を決定づける」ですね。先行馬が並んで入ると、ポジション争いで消耗しやすく、寄られる不利も受けやすくなるという。
みねた: その通りです。その観点からいうと、10ラルフと11タガノエスコートも並んで入っているので不利ですね。並びでない先行馬は13ライオットガールだけです。ただ、そもそも内枠が先行しやすいコースで7枠13番では先行できるか疑わしいですし、前走3番手から勝利しての昇級戦というのも期待値が取りにくいパターンで、食指は動きません。
──見解文にあった「並びからは内に前で競馬をしていた馬がおらず外の先行馬が入り難しい」という部分ですね。
みねた: 要するに「コース形態と有利な脚質の馬がミスマッチだよ」ということです。コース形態的には、内の先行馬を狙いやすいけれど、内枠に差し馬、外枠に先行馬という並びになっているという状態を「並びからは内に前で競馬をしていた馬がおらず外の先行馬が入り難しい」と表現しました。本来、有利になりやすい内枠の並びが悪く、しかもこのレースは特に内の馬にとって苦しい条件が揃っていました。
──それはどういうことでしょうか?
みねた: この並びだと、1~6番の馬は外から被せ気味に先行されるので、キックバックを受ける確率が極めて高いですよね。内のアドバンテージは、すんなり先行してキックバックを受けないことですから、そのアドバンテージが失われます。その上、1~6番は前走の道中の位置取りが似ていて、文字通りの“同脚質”なのです。
──1~6番の6頭の前走の通過順位は内から順に6-6、10-10-11-12、11-12、6-6-7-5、7-7-5-5、4-5-6-6ですね。
みねた: 6頭中4頭が6番手前後と似たような通過順位で、これをみると中団で内の馬がひしめき合う隊列になることが想像できます。これまでも何度もお話ししていますが、一番有利なのは周りに馬がいない状態で、すぐ近くに馬がいること自体が不利。1~6番の馬は、外枠から被される上に、押し込まれた道中でもポジション争いを強いられるという二重の不利を受けているわけです。
──なるほど。逃げハサミのカウントでは、道中3番手以内の有無しかチェックしていませんが、実際には道中4番手以下しかない馬の中でも、ポジション差はありますもんね。それこそ、金言88「後方占有率という視点」で触れた大沼Sのように、道中2桁通過順の馬ばかりが揃っているレースもありますし。
みねた: そういうレースであれば、道中6番手ぐらいだった馬が、相対的に前にいける確率が高まりますよね。実際、私は道中4番手以下=先行馬以外にも、道中の通過順に応じて「先行馬」「準先行馬」「準後方馬」「後方馬」の4つにわけてデータをチェックするようにしています。
──「先行馬の並び」についてのお話でかなりのボリュームになってしまったので、この続きと◎セイクリッドゲイズの理由については回を改めてお願いします。