プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“クラスが上がって通用する馬、しない馬”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
9月14日 阪神11R ローズS 芝1800m
ローズSは阪神芝1800mで施行。初角まで十分に距離があり、先行争いによる内外の有利不利はありません。登録21頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは8頭。一定数の先行馬としっかり脚を使える差し馬がバランス良く揃ったメンバー構成で、レベルは高そうですね。
オークス馬のカムニャックがここから始動。もちろん想定1番人気となっています。確かな末脚でG2、G1を連勝して能力の高さは実証済みですが、オークスでそれはバレてしまっていますから、単勝での期待値はなさそう。しっかり脚をためるレースぶりは本番向きなので、ここで取りこぼしたとしても本番で巻き返してくるでしょう。
2番人気想定のパラディレーヌはオークス4着馬。戦績的にも妥当な人気で、期待値的には可もなく不可もなくといったところ。カムニャックが買われて、想定通りの6倍もらえるなら悪くはないでしょう。
3番人気想定のチェルビアットはNHKマイルC3着からの臨戦。そのNHKマイルCを制したパンジャタワーはキーンランドCで古馬を撃破しました。レースレベルは証明されましたが、一方でNHKマイルCではスプリンター寄りの適性が求められた可能性も高まりました。ここは1ハロンの延長が鍵を握るでしょう。ルメール騎手ならもたせてしまうのでは…という怖さを感じつつも、馬柱的には短距離向きの印象は否めません。
4番人気想定のミッキーマドンナはモレイラ騎手騎乗。正直、前走の1勝クラスでも取りこぼしており、馬柱の情報からは明らかに過剰人気と言えます。それでも馬券圏内にねじ込んでくるのがモレイラ騎手ではあるのですが…。なお、この馬は1勝馬で抽選対象です。
5番人気想定タガノアビーはオークス3着馬。前走の2勝クラス長久手特別を2着と取りこぼしたことで、評価を落としています。想定2~4番人気の馬たちと遜色ない、いやそれ以上の実績といえるので、この人気なら◎候補です。
3歳の牝馬限定戦なら古馬混合2勝クラスで戦えていれば、能力は足ります。そういう意味で前走2勝クラスの北海Hを0.6秒差楽勝のミッキージュエリーは注目に値しますが、3連勝と目立つ戦績なので売れ過ぎてしまいそう。
大穴なら前走2勝クラスのオールスターJ第4戦を0.2秒差4着だったウィルサヴァイブ。その前走は1番人気に支持されており、2走前オークスという点も含め、臨戦過程は紫苑Sで波乱を演出したケリフレッドアスクを想起させます。オークスでは0.7秒差・6着。想定通りの17番人気・90倍なら期待値はあるはずで、出走してくるようなら注目です。
オークス上位馬と上がり馬がぶつかる注目の一戦。枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言198
クラスが上がって通用する馬、しない馬
★ピックアップレース★
8月17日 札幌11R 札幌記念 芝2000m良
◎15ココナッツブラウン
○5ホウオウビスケッツ
高▲3シュトルーヴェ
穴△9トップナイフ
☆8ステレンボッシュ
注7ハヤテノフクノスケ
注10ヴェローチェエラ

―8月17日の「メイングランドスラム」(メインレース完全的中)について、順番は前後しますが札幌記念について伺っていきましょう。札幌記念は△→◎の決着で馬連71.4倍でした。まずはココナッツブラウンに◎を打った理由から教えてください。一見すると牝馬限定G3のクイーンSから牡馬混合G2の札幌記念ですから、ちょっと相手が強いなという印象なのですが…?
みねた)狙った理由は週中展望で書いた通りです。
ココナッツブラウンの前走、クイーンSは勝ちに等しい内容。大手サイトで騎手未定になっている点は気になりますが、12-12-13-11から2着という通過順位から、クラスが上がるほど良いタイプに見受けられます。
まず、前走のレースぶりですね。◎を打っていたので特に印象に残っていますが、直線では進路を探しながらの競馬で4コーナー11番手からアタマ差の2着。スムーズなら勝っていたでしょう。“牝馬限定戦でも2着止まりだった”というイメージでオッズが甘くなるなら幸いです。そして何よりも通過順位です。
―12-12-13-11。金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」ですね。
みねた)簡単に言えば、このタイプはクラスが上がっても通用することが多いです。下級条件の遅い流れで折り合いに専念すると位置を下げてしまい、その分、差し損ねもある。要するに「とりこぼし」ですね。それは、言い換えれば全能力を出していないということでもあります。前走は道中で位置を下げ、直線でもスムーズに捌き切れずと、二重で能力を出し切っていないので、能力の上限はまだ上にあると想定できました。
―クラスが上がったら苦しくなりやすい「先行昇級」(前走3番手以内での勝ち上がり)とは対極的な存在ですね。
みねた)そういうことです。先行昇級馬はクラスが上がってスピードが上がれば苦しくなるし、道中で位置取りを下げながら巻き返した馬は無理に抑えることなく追走できる。上のクラスが向くというよりは、この馬はいつも通りマイペースで走っていたら、周りが苦しくなるという表現が正しいかもしれませんね。
―10番人気1着で高配当を演出したのがトップナイフ。この馬は4番手の△評価でした。
みねた)実はこの馬について週中展望の段階から「期待値はありそう」と感じていました。ただ、この馬自身が持ち人気が低く、11着→10着という直近の着順から実力以上に舐められそうだと思っただけで、この馬に特段の推し材料があるわけではなかったので書かなかったのですが、失敗でした。
―萩Sが6番人気1着、ホープフルSが7番人気2着、3歳時の札幌記念で9番人気2着と幾度となく人気薄で好走していましたね。
みねた)(前走の)函館記念で4番人気に推されていたわけで、ここで買っていた人は、10番人気の今回も買うべき。自分の中で明確に買わなかった理由を言語化できるのなら話は別ですが、そうでないのであれば、着順や周囲の評価などに流されたと言わざるを得ません。函館記念は10着でしたが、元々、好走と凡走の差が激しいタイプで、自分のゾーンに入ったら頑張るような馬。金言196で挙げた急に頑張るヤンキーの話を思い出してください。
―馬券では、常に頑張る優等生よりも、たまに頑張るヤンキーを探した方が儲かるという話ですね。
みねた)例えばステレンボッシュはどんな条件でも頑張ってきましたが、今回で3戦連続の大敗。もしかしたら燃え尽きてしまったのかもしれません。一方、トップナイフは年に1回か2回だけ頑張るので、それが息の長い活躍につながっているとも言えるでしょう。
―札幌記念の日は想定外に雨量があり、各馬が内を空けて走る状態。その内をスルスルと進出する神騎乗で、2年前の札幌記念2着の時を思い出しました。その時は和生ジョッキーでしたが。
みねた)馬場がこの馬向きになったのは運の要素も大きいと思いますが、その舞台を得られたら激走する人馬であったことは間違いありません。だからこそ、繰り返しになりますが、函館記念で買っていた人は見限るべきではなかったのです。
