プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“あと1m掘り続けることができるか”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
10月26日 京都11R 菊花賞 芝3000m
菊花賞は京都芝3000mで施行。初角まで300mを切っている「コースパターンA」(コースパターンの詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』をご覧ください)なので、先行争いにおいては内枠が有利です。
登録20頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは11頭。先行馬占有率が高くなるのは間違いなく、タフなレースになりそう。コース形態も考慮すると内枠が大きなアドバンテージになるでしょう。内枠の先行馬、あるいは末脚のしっかりしたタイプが◎候補になりそうです。
1番人気想定はエリキング。前走の神戸新聞杯は7-7-7-7からの差し切りと操縦性が高く、想定される展開も向きそうです。戦績的にはG1以外全勝で、裏を返せばG1での実績はありません。2歳秋に骨折歴があり、それがトップレベルでの戦いで影響しているのかもしれません。1番人気・4.0倍が見合うかは微妙なラインでしょうか。
2番人気想定はエネルジコ。秋華賞でも見事な騎乗をみせたルメール騎手が騎乗します。今年の中距離戦線での3歳馬のレベルは正直疑問もありますが、この馬はハイレベルなメンバーが揃った新潟記念で2着。能力的に世代トップクラスであるのは疑いようがありません。順調に使いこめていないので、あとは状態面だけでしょう。4.3倍の2番人気なら期待値はあるのでは。
3番人気想定はショウヘイ。春に京都新聞杯を制し、その後はダービー3着、神戸新聞杯2着ですから、こちらも世代トップグループの一角といえるでしょう。ただ、安定している反面、ここ2戦とも勝ち切れていないのは事実で、枠や並びの後押し、あるいは岩田望騎手の一工夫が欲しいところ。
ゲルチュタールは2勝クラス、3勝クラスと連勝。十分に菊花賞で勝ち負けする実力を備えていることがわかる戦歴です。先行脚質である点はやや不安で、狙うにはもう少しオッズが欲しいですね(想定4番人気・9.3倍)。
期待値だけなら想定16番人気・81.8倍のエキサイトバイオに目がいきます。前走はG3のラジオNIKKEI賞勝ち。7-8-7-7としっかり脚をためて差し切った内容もよく、不当な低評価に思えます。このオッズなら単勝だけでも押さえておく価値があるでしょう。
レクスノヴァスは芝2600mで連勝。前走は先行とはいえ、2-3-3-3と脚をためており中身も伴っています。スタミナ豊富なタイプで、ヒシミラクルのような雰囲気を感じますね。想定12番人気・34.8倍なら楽しみです。
ヤマニンブークリエも面白そう。前走のセントライト記念は0.1秒差の2着でしたが、勝ち馬ミュージアムマイルは世代トップクラスの実力馬。5-5-6-6と脚をためて伸びた内容も良く、想定11番人気・29.3倍は食指が動きます。
人気どころではエネルジコが良さそうですが、伏兵陣に期待値のある馬も多数。馬券的な楽しみも大きな一戦です。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言204
あと1m掘り続けることができるか
★ピックアップレース★
10月5日 東京11R 毎日王冠 芝1800m良
◎9レーベンスティール
○8ホウオウビスケッツ
▲10サトノシャイニング
△2エルトンバローズ
☆6チェルヴィニア
注1ロングラン
―前回、◎→○→▲の大本線決着だった道頓堀Sを取り上げましたが、この毎日王冠も美しい◎○▲決着でしたね。5番人気の単勝が7.7倍で6番人気が26.4倍というオッズに断層ができていたレースで、5番人気のレーベンスティール◎というのは会心の予想だったのでは?
みねた)そうですね。レーベンスティールとエルトンバローズ、どちらを◎にするかかなり迷ったので、正解を選べてよかったです。
―それはなんとなく分かります。コースや並びを考えて、私もみねたさんはエルトンバローズに◎を打つのではないかと予測していましたから。エルトンバローズを選ばなかった理由やエルトンバローズを◎にしていた世界線の話などは後ほど伺うとして、レーベンスティールを狙った理由から教えていただけますか?
みねた)最大の理由は並びですよね。7番8番10番11番が先行馬という並びにおける9番枠ですからどんな馬でも狙いの候補として目がいきます。そしてレーベンスティール自身も非常に狙いやすい状況でした。
―天皇賞秋→8着、AJCC→12着、しらさぎS→7着と直近3走は掲示板を外していました。
みねた)ただ、天皇賞秋は8-11-11から0.5秒差の8着、(東京芝2000mで)不利な14番枠であったことも考慮するとまったく悲観する内容ではありません。優勝したエプソムCの通過順位が5-7-7、オールカマーが3-3-4-4で、道中でしっかり脚をためて伸びてくるタイプであるのは明白です。こういうタイプはペースが緩んで前が楽をして残る競馬では脚を余してしまうため、強敵相手で良さが出る特徴があります。
―骨っぽいメンバー構成でしたが、馬自身の走りやすさという意味ではむしろプラスだったわけですね。
みねた)正直、2走前のAJCCは原因不明の大敗でしたが、前走のしらさぎSは0.5秒差。600mの大幅な距離短縮で初マイルという厳しい臨戦過程を鑑みると、これもまた悲観する内容ではありませんでした。能力減退は考えにくく、走れる条件さえ整えば巻き返しの条件は整っていたのです。そしてデビュー以来最低となる5番人気評価。まさに買い時でした。
―このレースの前まで13戦していて、前出の天皇賞秋だけ3番人気でしたが、残りの12戦は全て1~2番人気に推されていたんですよね。
みねた)そうなんです。しかもローカルG3の新潟大賞典で11着の大敗を喫した次走でも、エプソムCで1番人気に支持されているように、むしろ「持ち人気」のあるタイプ。12着大敗を喫したAJCCの次走しらさぎSでもチェルヴィニアにつぐ2番人気だったのに、ここで5番人気に評価を落としました。
―経験則ですが、こういうずっと人気だった馬が一気に評価を落としたタイミングって、不思議と馬券に絡みますよね。
みねた)100m掘ってきて、「あと1m掘れば金脈にあたるのに」というタイミングで掘るのをやめてしまう人が本当に多いですよね。大敗後も買った人は、人気が落ちた時こそ、なおさら買わなければいけないのですが…。
―多くの人が「もう、どれだけ掘ってもここに金脈はないのではないか」と思ってしまうタイミングが同じなのかもしれませんね。今回で言えば、「G3でもダメならさすがに復活はないのではないか」みたいな。
みねた)何度もお話ししている通り、パリミュチュエル方式においては人間心理の逆を突くことが大事ですから。
―そして、絶好の逃げハサミ。
みねた)しかも自身のすぐ内が“強い”逃げ馬であるホウオウビスケッツだった点も重要なポイントです。逃げハサミの優位性というのは、道中の進路取りのしやすさに加えて、両脇の馬を目標に乗れるという点にあります。その場合、目標となる馬は強いに越したことはありません。目標が残り300mの地点でバテてしまったら困ってしまいますよね。
―確かに、早めに先頭に立つとソラを使ってしまったり、そこから差されるリスクもあります。強い逃げ馬が目標であれば、その馬をゴール前で交わせばいいだけですからね。
みねた)実はこの毎日王冠、凱旋門賞と全く同じ構図なんですよ。ゲート番号2→1→3の決着でしたが、強い1ミニーホークが早めに抜け出し、それをハサミの2ダリズが差し切り、3着に3ソジーでした。
―強い8ホウオウビスケッツをハサミの9レーベンスティールが差し切り、3着にもう一頭の実力馬10サトノシャイニング…本当ですね。
(次回に続く)