大阪スポーツ・赤城真理子記者による栗東トレセンからのレポート。週末のレースを中心に、トレセンから旬な情報を届けていただきます。
今回はマイルCSに出走するアルナシーム陣営への取材レポートです。この中間で取り入れられた新たな調整など必見の内容です!
赤城真理子記者の最新記事や予想等はWebサイト「東スポ競馬」でご確認ください。
ジョッキーと馬との縁は、表面上出会いと別れを繰り返しているようで、馬の中では脈々と紡がれ、ずっと繋がっているもの。
馬の数より圧倒的にジョッキーの方が少ないわけですから、お手馬が同じレースに被ってしまい、片方を泣く泣く諦めなければならないことも多々あります。
でもそれは、どちらが捨てただとか、クビだとか、そういう事ではありません。競馬は点ではなく線だ…というホースマンにとっての約束とも言える言葉が、それを表しているのではないでしょうか。
アルナシームが実に3年ぶりにGIに挑戦できるようになったこと。彼のこれまでの奮闘の日々を思えば、本当に感慨深いです。
▲2021年朝日杯FS以来のGI出走となるアルナシーム
ここに向けての直接のきっかけと道筋を作ってくださったのは横山典弘騎手でした。アルナシームが色々な経験を経て、5歳で横山騎手に出会えて、本当に良かった。
ずっと彼を応援してきたファンのひとりとして、競馬の神様に感謝したくなるような出会いでした。
それくらい、今年の春からの彼の成長ぶりは著しかった。陣営とジョッキーが手を取り合い、同じ熱を持って馬の事を考え、競馬に取り組めた時。これほどまでに馬が応えてくれることがあるんだ、と近くで見ていて感じていました。
馬は裏切らない、とはこういう事なんだと心から分かった気がしました。
富士Sのあと、マイルCSも横山騎手と行けるものだと私は勝手に思ってしまっていたのですが、マテンロウスカイが天皇賞秋からここへ駒を進めることになりました。2歳の頃から横山典弘騎手が陣営と大切に育ててきた馬です(新馬戦のみ秋山真一郎騎手)。
アルナシーム陣営もそれは仕方がないと、すぐに藤岡佑介騎手に依頼されました。
この中間、藤岡騎手が跨った追い切りでも、アルナシームの中で確実に横山典弘騎手の教えが生きていることが感じられました。必死になりすぎず、ジョッキーの意思に従ってしっかり折り合える。
「典さんのおかげで、騎手のことを信頼している感じなんです。自分に苦しいことを強いてくるような人たちじゃないって、アルナシームが思っている感じがします」
とは担当の五十嵐助手。その信頼関係もあり、今回新たな調整もされています。