プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは“波乱決着の弥生賞は皐月賞に繋がるのか?”です。
なお、『競馬放送局』では双馬氏の推奨レース(予想)、特選リストを公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
双馬:今回は弥生賞についてお話ししたいと思います。
──1、2番人気が飛んで波乱の決着になりましたね。
双馬:いかにも波乱が起きそうなオッズになっていて、荒れるべくして荒れたレースだったと思います。僕は『競馬放送局』の予想でこのような印を打ちました。
馬連、3連複は的中しましたが、コスモキュランダを評価できなかったのが反省点です。
──では、どのように予想していったか解説をお願いします。
双馬:まず、1番人気に推されたトロヴァトーレは、新馬戦の段階で「過剰人気する可能性がある」、「レイデオロ産駒の中では素軽く出たタイプ」、「追走が速くなったらパフォーマンスを落とす」と言っていた馬です。だから半信半疑でした。
葉牡丹賞はタイミング的にコラムで回顧できていなかったんですけど、僕は低レベルレースにしていました。世間では評価されているようですが、新馬戦で3着だったマイネルフランツが2着に来ているだけですからね。
しかも、冷静に考えたら、2着がゴールドシップ産駒(マイネルフランツ)、3着がキレ味型ではない標準的なレイデオロ産駒(レイデラルース)、4着がゴールドシップ産駒(コスモブッドレア)なんです。開幕週のキレ味勝負なのに、キレ味型ではない馬が2~4着に来ているんです。
つまり、このメンバーにキレ味で圧勝したところで能力の裏付けにはなりません。少なくとも弥生賞で1番人気になるぐらいの能力は見せていないんです。
──確かに、トロヴァトーレ以外は上がり3Fが34秒以上かかっていますね。
双馬:さらに、トロヴァトーレはキレ味型に出ている分、本来レイデオロ産駒が得意とするタフな馬場は苦手だと思っていました。初めて経験するタフな馬場はツラいだろうなと。前日段階では馬場がどれだけ回復するか読めなかったので5番手にはしましたけど、馬場が乾かなかったら良いことはひとつもありません。
──当日の8Rには良馬場になりましたけど、時計はかかっていましたもんね。
双馬:トロヴァトーレの新馬戦の時に「素軽く出たタイプですが、硬さはある」と言いましたが、硬さがある馬って緩い馬場だとバランスを崩しやすいんです。
例えば、アメリカの馬はスパイクも履くし滑ることがあまりないので硬く作っても大丈夫です。一方で、ヨーロッパの馬は緩い馬場で走れるように柔らかく作っています。そういう理由もあって、ヨーロッパ血統よりアメリカ血統の馬のほうが緩い馬場が苦手なんだと思います。
──それは面白い話ですね。
双馬:あとはペースの心配もありました。母父のエンパイアメーカーというのは前走より追走が速くなるのが苦手ですから。実際に、葉牡丹賞は1000m通過61秒7で、弥生賞は60秒4秒になりましたから、ペースも向きませんでした。
──2番人気のダノンエアズロックはアイビーSの回顧で「次走は狙いづらい」と明言していましたね。