プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは「レイデオロのクセ」です。
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双馬:今回はレイデオロのクセについて話したいと思います。昨年、初年度産駒がデビューした時からレイデオロの特徴については語ってきましたが、1年経過して数字としても固まってきたので、改めて解説します(※データ集計期間は2023年6月~2024年8月11日)。
まず、大型で器用ではない馬が多いというのがレイデオロ産駒の基本的な特徴です。父のキングカメハメハは母方の特徴を引き出す種牡馬なので、母父のシンボリクリスエスと母母父のシーキングザゴールドの特徴を出せば、キレ味勝負は苦手になるんじゃないかと当初から言っていましたけど、実際にその通りの成績になっています。
ただ、走れる条件を理解すれば馬券的にはこれほど分かりやすい種牡馬はいないので、特徴を掘り下げれば稼ぐことができると思います。
★芝のローテ適性
双馬:まず芝のローテ別成績です。圧倒的に延長ローテが得意で、短縮ローテが苦手だと分かります。複勝回収率は倍近く違います。
レイデオロの場合、気性的な問題というよりも、スピードとスタミナのバランスの問題でこうなっていると思うんですよね。同じ延長が得意な種牡馬でも、エピファネイアみたいに前向きだけど急がせると良くないという種牡馬と、単純に距離不足で短縮が苦手という種牡馬がいて、レイデオロは距離不足のパターンに該当するというわけです。
芝の距離別成績を見てもらえば分かるんですけど、マイル以下の成績は壊滅的ですよね。特に、1200mなんて17回走って3着以内がありませんから。
種付け頭数がある程度多い種牡馬なのに、17回しか1200mを使われていないということが、レイデオロが特殊である証拠です。しかも、牡馬に限っては1200mの出走は0頭ですからね。調教師も1200mを使ってみようと思わないぐらいスタミナに寄っている種牡馬だということです。
──だから、距離を延ばしていく過程で穴をあけやすいというわけですね。
双馬:はい。なので、基本的には短縮ローテで軽視して、1800m以上への延長ローテで評価するというスタンスで良いと思います。これはノーザンファーム生産馬で特に顕著です。
クラシックで走らせるために短縮適性をある程度犠牲にして延長適性を伸ばしているのがノーザンファームの育成なんですけど、ノーザンファームが他の馬と同じようにレイデオロ産駒を育てると、短縮ローテに極端に対応しない馬になってしまうようです。
──複勝率8.7%ってノーザンファーム生産馬ではありえない数字ですね。
双馬:ハービンジャー産駒も初年度はなかなか1200mの勝ち馬が出なくて、その後配合や育成を見直したのか徐々に短距離や短縮ローテにも対応できるようになっていきましたから、レイデオロ産駒もノーザンファームが修正してくる可能性はあります。
★ダート適性