プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは「マイルCSの展望」です。
なお、『競馬放送局』では双馬氏の推奨レース(予想)、特選リストを公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
双馬:今年のマイルCSは大混戦ですね。外国馬を含めて有力と言える馬が6頭ほどいます。ただ、馬場状態の得意不得意がはっきりしている馬が多いので、良馬場か道悪かで狙いを絞ることができそうです。そういう意味で、今年は例年以上に雨が降るか降らないかが大事になると思っています。
──わかりました。では、良馬場向きの馬から教えてください。
双馬:まずはチャリンです。ヨーロッパのトップマイラーなんですけど、明らかに良馬場の方が得意です。それがいつもの欧州馬と違うところですね。
父のダークエンジェルはマッドクールを出しているように、日本のスプリントGIを勝てるくらいのスピードがあります。さらに、チャリンの母父はデインヒル系、母母父はストームバード系ですから、日本の高速馬場をこなせる要素が強いです。
実際にジャック・ル・マロワ賞は1分33秒台の高速馬場でした。日本の馬場なら稍重までなら守備範囲で、重だったら割り引きです。
──ヨーロッパの馬ということで「時計が掛かる方が良いだろう」と思われたら、逆にチャンスということですね。
双馬:1分31秒台後半から1分32秒台だったら全然走れると思いますし、むしろそっちの方が良い。実力という観点で見ても最上位だと思いますし、今年は先行馬が少ないので脚質的に前に行けるというのも好都合ですね。不安要素は雨と多頭数で揉まれたときぐらいでしょう。
──円安なのに、そんなすごい馬がよく来てくれましたよね。
双馬:ヴェリアン調教師の奥さんと中内田調教師の奥さんが姉妹ということですから、そういう縁もあったんだと思います。繋がりがあるということは、過去に参戦した外国馬に比べてバックアップ体制も万全なんじゃないでしょうか。
あと、チャリンはローテ的にも良いですね。前走(クイーンエリザベス2世S)と前々走(ムーランドロンシャン賞)が重馬場なんです。本来得意じゃない馬場だと思うので、そこから日本の馬場になったら確実に速くなるので上積みがあります。
──良馬場でチャリンが人気にならないというのが理想ですね。
双馬:そんな奇跡的な状況にはならないと思います(笑)。次はブレイディヴェーグです。こちらも良馬場向きで能力は間違いなく高いんですけど、今回はローテが良くないと思っています。追走で急がせるよりは後方でタメて差す方が合う馬ですから、マイルへの短縮というのは良くありません。
──ロードカナロア産駒ならマイルもこなせると思われそうですよね?
双馬:血統的にマイル自体は悪くないとは思います。東京でのハイペースのマイル戦なら直線だけで差し切れる能力があると思います。将来的にヴィクトリアマイルや安田記念を勝てるだけの能力だってあると思います。ただ、今回僕が想定しているのは速くないペースの京都なので、脚質を考えると物理的に届かない位置になる可能性があるんです。
ましてや短縮ローテですから、ポジションがさらに1列後ろになりますからね。外枠ならまだ良いポジションを取れるかもしれないですけど、内枠に入ったら相当ポジションが悪くなると思います。そう考えると、人気ほどの信頼度はないんです。
あと、反動も恐いですね。前走はそれほど仕上がっていなかったのに圧勝でしたから。これだけ間隔をあけて使う馬が中4週で初めてのマイルというのはあまり良いことではないですよね。
──他に良馬場向きの有力馬はいますか?