プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは「馬券特化型の3歳戦診断 クラシックに繋がる前哨戦と繋がらない前哨戦」です。
なお、『競馬放送局』では双馬氏の推奨レース(予想)、特選リストを公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
双馬:今回はきさらぎ賞、クイーンC、共同通信杯に加えて、気になったオープン、1勝クラスについて回顧していきたいと思います。中身の濃いレースが多かったので、このレース分析がこの先の馬券の鍵を握りそうです。
──それは気になりますね。では、重賞、オープン、1勝クラスの順でお願いします。
▼ピックアップレース(1)
2/9 京都11R きさらぎ賞 芝1800m 稍重
勝ち馬:サトノシャイニング
双馬:少頭数なのでスローペースの瞬発力勝負で終わるんだろうなと思っていたんですが、蓋を開けたらテン3F34秒4、1000m通過58秒7のハイペースになりました。ただ、そこから中盤が緩むんです。そういう流れになると、先行した馬にはかなり不利になります。後方の馬はペースが落ちたときに先団に取りつけばいいわけですから。なので、先行不利、差し有利のレースになりました。
勝ったサトノシャイニングは短縮好走後でローテは良くありませんでしたけど、乗り方が非常に良かったですよね。6番手に控えたのも正解でした。サトノシャイニングにとっては収穫が多いレースになりました。差す競馬もできることが分かりましたし、高速馬場向きの血統ですけど、このくらいの馬場なら対応できることも分かりました。
そして、一番の収穫はこのハイペースを経験できたことでしょう。皐月賞が昨年のような高速馬場のハイペースになったら、ハイペースを経験しているサトノシャイニングはかなり有利になります。多頭数を経験していないのは嫌ですけど、それ以外は良い条件になりそうです。
──クロワデュノールとの再戦が楽しみですね。
双馬:クロワデュノールは母方が完全にヨーロッピアンで、タフな馬場向きなので、高速馬場になればつけ入る隙があります。ただ、イクイノックスみたいにどっちでも強いスーパーホースの可能性はあるんですけどね。
2着のリンクスティップは前に行って残していますから、これはかなり良い内容です。母父のKitten's Joyはペースが速くなって頑張るような血統じゃないので、この2着は価値が高いですね。このまま桜花賞に出れば今回より追走が遅くなる可能性があります。そういう意味で、桜花賞に向けても良い前哨戦になりました。
4着のショウヘイは残念でしたけど、能力で負けたというよりサートゥルナーリア産駒の特徴が出たと思っています。サートゥルナーリア産駒は瞬発力勝負の方が得意で、ペースが上がると走りに余裕がなくなる馬が多いんです。なかなか2勝目を挙げられないというのは、そういうことだと思っています。ただ、スローペースになると強いので、見限ってはいけません。
他だと、前に行ったヒルノハンブルク、ジェットマグナム、ウォーターガーベラは展開不利です。次走はどんなレースでもペースが緩むでしょうから狙えると思います(※取材後、ウォーターガーベラがチューリップ賞で7番人気2着)。
▼ピックアップレース(2)
2/15 東京11R クイーンC 芝1600m良
勝ち馬:エンブロイダリー
双馬:驚きのレースでした。この馬場で1分32秒2は普通出せません。前週の東京新聞杯が1分32秒6ですから、この時期の3歳牝馬が古馬よりも速く走っているんです。テン3F34秒2、1000m通過57秒2、1200m通過1分8秒7ですから、超ハイペースですよね。