プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは「今後の馬券方針を考えるNHKマイルC、オークス、日本ダービーの振り返り」です。
なお、『競馬放送局』では双馬氏の推奨レース(予想)、特選リストを公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
双馬:今回はNHKマイルC、オークス、日本ダービーがどのようなレースになって、どのようなレベルだったか解説したいと思います。世代レベルを把握することで、今後の馬券方針も決まるはずです。
──分かりました。よろしくお願いします。
【NHKマイルC】
双馬:戦前はメンバー的にスローペースになるんじゃないかと言われていましたけど、蓋を開けてみたらテン3Fが33秒4、1000m通過が56秒4というハイペースでした。これがまだ脚質が決まっていない3歳戦の恐いところですね。行けるなら行ってみようかみたいな馬が数頭いるだけでこうなってしまいます。
1~3着が3角10番手以降の馬だったように、差し有利になったので、前に行ったヴーレヴー、トータルクラリティ、アドマイヤズーム、イミグラントソング、ティラトーレには大きな不利がありました。特に、アドマイヤズームは何度も言っているように今までスローペースに恵まれてきましたから、いきなりこのハイペースはツラいですよね。
意外だったのは、イミグラントソングが前に行ったことです。裏を返せばルメール騎手ですら前に行っておいた方が良いと思うようなメンバーだったということなんでしょう。
勝ったパンジャタワーは展開が向きましたし、外枠から外を回す競馬で馬場の一番良いところを通りました。過去2戦を振り返ると、両方不利があったんですよね。朝日杯FSはスローペースで内前有利だったので枠も展開も向きませんでした。ファルコンSは延長が得意なのに短縮で0.1秒差まで頑張りました。僕の失敗はファルコンSの内容を評価できなかったことです。これからも狙うなら延長ローテの方が良いはずです。
2着のマジックサンズは外有利の馬場で内を突いているので、かなり損をしていると思います。世間的には武豊騎手の乗り方が上手いと言われているようなんですけど、僕は最内が一番不利だったと思っているので、「枠不利」をつけています。
3着のチェルビアットと4着のモンドデラモーレは内枠ですけど外に出しています。
他にも内を通ったランスオブカオス、ヤンキーバローズ、コートアリシアンは枠不利です。先行して5着に来たランスオブカオスはかなり頑張っているので、古馬になってもう少し強くなる可能性を秘めています。
──レースのレベルはどう見ていますか?
双馬:タイムは1分31秒7で速いんですけど、このタイムに騙されてはいけません。昨年のジャンタルマンタルやアスコリピチェーノと比べるとかなりレベルは下がると思います。昨年の3着争いが今年の1着みたいな印象です。馬の能力はタイムで決まりませんからね。なので、古馬と走るときにこの路線で好走したことを評価しすぎてはいけません。
【オークス】