競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回取り上げるのは「北村友一騎手」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
先週のジョッキートピックは古川奈穂騎手の活躍でしょうか。先月2度に渡って取り上げた古川奈騎手ですが、先週末は函館で顕著な活躍を見せてくれました。
▼7月8~9日の函館×古川奈騎手
→【2-3-0-6】
特に目立ったのが、ダート1000mでの活躍です。
▼函館ダート1000m
→【2-2-0-0】
なんと、パーフェクト! 芝よりダートという同騎手の特徴通りの活躍でした。
ダート短距離は特に減量が効きやすい舞台。そういう意味でも狙いとなります。今週末の函館ダート1000m、さらには札幌開催でも同じダート1000m戦がありますから、引き続きご注目ください。
▼参考記事
【第89回】古川奈穂騎手・前編~第三の女の逆襲が始まった~&宝塚記念のジョッキー展望/TAROのジョッキーズファイル
【第90回】古川奈穂騎手・後編~覚えておきたい買い・危険パターン~&ラジオNIKKEI賞の注目馬/TAROのジョッキーズファイル
さて、今回は夏競馬で注目すべき騎手として、2人目を取り上げます。北村友一騎手です。
北村友騎手は一昨年春に大きなケガをして約13か月の休養を挟み復帰。しかし、やはりけがの影響が大きかったのか、なかなか本来の調子を取り戻せていないように見えました。勝ち星もかつて100勝近くを挙げた騎手とは思えないほど減ってしまっており、昨年は半年余りの騎乗で14勝と振るいませんでした。しかし、そこは実力者。ココに来てようやく復調の気配を見せています。
~あの名手に同タイプと言わしめた末脚を引き出す北村友一スタイル~
もともと北村友騎手は、JRA出身騎手の王道ともいうべき、脚を溜める能力が非常に高いジョッキーでした。
クロノジェネシスとのコンビが有名ですが、同馬でも道中はゆったりと脚を溜めて、直線末脚を活かすのが好走パターン。レシステンシアとのコンビでも、脚質こそ違えど道中、上手くリラックスさせて走らせており、同馬では【3-0-1-1】。常に安定していました。
リラックスをさせるのが上手なので、短距離で鋭い末脚を引き出すのも十八番。トウカイミステリー~スギノエンデバーで北九州記念を連覇したほか、2017年のCBC賞ではシャイニングレイに騎乗し、目の覚めるような末脚を引き出したのも、北村友騎手の騎乗スタイルがあってこそのものだったと思います。
そのスタイルについては、福永祐一元騎手も、
『切れ味のあるディープインパクト産駒の末脚を引き出すのがうまい。僕も友一と同じタイプ』
と評するほど。この福永元騎手の評は、外から騎手を見ている立場としても、とても納得いくものです。
ある意味、繊細な騎乗だったからこそ、落馬による影響や感覚の狂いは大きかったのかもしれません。とはいえ、復帰から1年、ようやく光が見えてきているように思えるのです。
~復調を示す「上がり最速率」の向上~