競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回取り上げるのは「古川奈穂騎手」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
先週は水道橋@亀谷競馬サロンにて、お話をしつつの競馬観戦。勝負はマーメイドSでしたが、期待した◎ビジンは直線伸び切れず。Bコース3週目で馬場が荒れて来ていたことと、想定以上に先行争いが激化したことで、差しに構えたスタミナ型が上位を占めました。
勝ったビッグリボンは極悪馬場の菊花賞や荒れ馬場の宝塚記念で活躍したキセキの全妹。鞍上は先週取り上げた西村淳也騎手でした。芝の中距離以上が得意という特徴通りの見事な騎乗でしたね。今年は順調ならキャリアハイを更新、もうワンランク上の騎手になれるはずです。
さて、今週からはまだ取り上げていない女性ジョッキーにスポットを当てたいと思います。古川奈穂騎手です。
以前、ちょうど取り上げようとしたタイミングで騎乗停止になってしまったので、仕切り直しの登場になります。先週から復帰したわけですが、早速1勝2着3回と大暴れ。1週間4連対はデビューした2021年の3月以来となる最多タイの記録。長めの騎乗停止明けでしたが、復帰週から全開とみていいでしょう。
というわけで、早速特徴、騎乗スタイルを見て行きましょう。
~東京生まれ、競馬とは関係ない家庭育ち~
古川奈穂騎手は東京都千代田区生まれ。競馬とは関係のない家庭で育ち、テレビの競馬中継をキッカケに騎手を志したようです。頭脳も明晰だったようで、それは言葉の端々からも伝わってきます。
…って騎乗スタイルと関係ないだろとツッコミが入りそうですが、「見た目や性格は騎乗に表れる」ものです。ですから、生い立ちやプロフィール、ちょっとしたエピソードは、特徴を読み解く上でも実は大切です。
デビュー年は7勝、2年目は10勝とやや苦戦気味のスタートでしたが、3年目の今年は既にキャリアハイを更新する11勝。このままの勢いで行けば倍増…いや、個人的には30勝くらいまではいけるのでは…? と見ています。
というのも、今年になってから明らかに数字も、内容も向上しているんです。数字だけ見ても、2022年にはたった一度しかなかった2連対以上の週末が、今年は既に7度。レースぶりを見ていても、以前よりも力強さが増してきました。
~“第三の女”だからこそ妙味アリ!~
一方で、デビュー年から派手な活躍をした今村聖奈騎手、昨年夏あたりから徐々に頭角を現してきた永島まなみ騎手と比べると、古川奈騎手はどうしても地味。いわば「第三の女」という存在で、率直に言ってファンからもまだ信頼されておらず、結果としてかなりオッズが甘い。馬券という意味ではかなりウマみのあるジョッキーです。それは以下のデータを見てもわかります。