毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・重賞初勝利を飾ったローシャムパークの今後
・新馬戦振り返り(ステレンボッシュ、レガレイラ)
重賞初勝利を飾ったローシャムパークの今後
──函館記念は、ローシャムパークが優勝しました。能力はG1級ですし、育て方という点でも色々と興味深い仔だと思っています。現状は小回りのタフな馬場がいいというイメージが先行しているようなのですが、どうでしょうか?
木實谷: 現状は走りやすいというか、折り合いをつけやすいというところですね。道悪はもともと得意なので心配していなかったです。
──距離的にはどうでしょうか?
木實谷: 長すぎてもどうかとは思いますけど、1800mで強い競馬を見せていますし、2500mでも折り合いさえつけばまったく問題ないと思っています。
──ここ2走は期待通りに走れていますが、何か変わったところがあるんですか?
木實谷: 3月のスピカSの時は、調整過程の中で順調さを欠いたというだけで、今は能力通りに走って結果がついてきているということだと思います。
──今後はどうしましょう。香港ですか?
木實谷: 香港もありますし、一応の目標としては有馬記念も考えています。次の競馬の内容次第ですけど、どちらかには行きたいと思っています。
──有馬記念だと中山芝2500mです。似た適性が求められるセントライト記念は3着に負けていますが?
木實谷: セントライト記念の時は変則日程で調整が難しい部分もありましたし、結果として後の重賞勝ち馬も多くいて、メンバーレベルも高かったと思います。
──次走はどこに向かいますか?
木實谷: 馬のほうは天栄に移動して、騎乗運動を開始したところです。今のところは疲れも順調に回復している様子で、まずはオールカマーを第一目標に調整を進めていきたいと思います。
──ここまで勝ち上がってくると、レース選択も難しくなってきますね。すべての馬が、天栄と関東の調教師の連携で結果を出している天皇賞・秋に向かうわけにはいかないでしょうし。
木實谷: まずは次走で結果を出して、G1の舞台に進めるようにできればと思います。どの馬にも言えることですが、最高のメンバーが集まるレースがG1ですから、ローシャムパークにとってパフォーマンスを発揮できる条件を見極め、いい状態で出走させてあげたいですね。
──1つ懸念しているのが馬体重なんですが、もう少し体重は増えそうですよね?