競馬予想TV!などのメディアで活躍中のキムラヨウヘイ氏と、競馬雑誌・サラブレの人気長寿企画「金満血統王国」でお馴染みの大臣によるクロストークコラム『競馬“真”格言』。
今回のトークテーマはフェアリーS。果たしてどのような格言が提唱されるのか、ぜひお楽しみください!
大臣: 有馬記念は個人的に忸怩たる思いが強かった。でも、これまでキムラ君が言ってきたことが当てはまったこともあったので、有馬記念の真格言、「余力」「コース適性」「馬場バイアス」を検証しながら回顧していこう。
まずは「余力」。これはローテの話だけど、1着馬の前走が天皇賞秋、2着馬の前走が菊花賞、3着馬と4着馬の前走がエリザベス女王杯。いまの有馬記念は、前走がこの3レースだった馬が買い。そして、間隔が詰まったジャパンC組が危ない。ローテだけが敗因だとは思わないけど、ジャパンC組が10着、11着と凡走した。本当ならこれに凱旋門賞組も買いに加えたいところだけど、タイトルホルダーとディープボンドはどうしたんだろう?
キムラ: タイトルホルダーに関しては、結果的にはですが、仕上がりが万全ではなかったんだと思いますね。調教時計は好調時のものではなかったですし。あとこの馬、休み明けは得意じゃないと思うんですよ。春の日経賞も完調にはほど遠く、勝ったとはいえかなり苦戦しましたし、一昨年、秋のセントライト記念も不利があったとはいえども凡走でした。
大臣: 4角でさっと後続を突き放せなかったのを見て、僕も本調子じゃなかったなと思ったけど、前に行った他の馬もみんな潰れた。これは前に行った馬には展開が厳しかったということはないよね? ペースもそんなに速くなかったし。
キムラ: これは「馬場バイアス」の話にも関わってくると思いますが、今回の有馬記念は内有利な馬場ではなかったですね。超外差し決着になった有馬記念後のキャンドルライト賞を見ても明らかでした。
大臣: 後ろから行って大外をぶん回した馬のワンツーだったよね。
キムラ: ええ。明らかに外を回したほうが伸びる馬場でしたよね。逃げたタイトルホルダー、その後ろにいたジャスティンパレス、番手のディープボンドは、スタートからゴールまでずっと馬場の悪い内目を前前で立ち回っていました。ペースは厳しくなくても地味にスタミナを削られたんじゃないかと思います。
大臣: なるほど。それから「コース適性」に関して。イクイノックスが東京向きと言ったけど、これははっきり大間違い。皐月賞もそうだったけど、持ったままあれだけ楽に勝負所でさっと上がって来れる馬が、中山が合ってないわけがない。
キムラ: 以前は違ったと思いますが、成長に伴って今ならば中山が不向きではないというところだと思います。
大臣: 東京での末脚爆発の印象に引っ張られ過ぎた。で、イクイノックスが勝った瞬間に「ああ、これで2年連続、3歳馬が天皇賞秋→有馬記念と連勝か」と思って気づいたんだけど、エフフォーリアとイクイノックスの成績ってほぼ一緒なんだよね。初重賞制覇が共に東京の1800m。その後、エフフォーリアは皐月賞1着→ダービー2着→天皇賞秋1着→有馬記念1着。イクイノックスは皐月賞2着→ダービー2着→天皇賞秋1着→有馬記念1着。
キムラ: ああ、そうてすね。
大臣: 実は、一昨年も「エフフォーリアは中山向きじゃない」と言って軽視してひどい目にあっていたのに、その失敗が今回にまったく活かされてなかった(笑)。皐月賞とダービーで好走して、秋初戦に初の古馬相手の秋天を勝つぐらいの馬は、有馬記念でも余裕で来るんだろうね。
あと今回の有馬記念は3歳馬のワンツーだった。これは94年の1着ナリタブライアン、2着ヒシアマゾン以来らしいけど、キムラ君は「今年の3歳馬はレベルが高い」という話をここでずっとしてきたよね。そのことが有馬記念でも証明された。
キムラ: まあ、有馬記念は斤量的に3歳馬が有利なレースではあるんですよね。3歳12月というタイミングで古馬と2キロ差ありますから。これがたった3か月後の大阪杯では同斤になるのに。とはいえ、今回のイクイノックスの強さはちょっと抜けていたと思います。
大臣: そうだけど、重賞勝ちのないボルドグフーシュが2着に来てるところが、3歳馬のレベルの高さ、層の厚さを感じるよね。それから今回の有馬記念は、1着がルメール騎手で3着がC.デムーロ騎手。これも「グランプリレース×外国人騎手」という話をしてきた通り。有馬記念は、ルメール騎手を含めて3着以内に外国人騎手が2人というのが、もうデフォルトだよね。
キムラ: そうですね。20、21年はコロナで短期免許の外国人騎手が不在でしたが、17~19年、そして去年と、有馬記念ではずっと外国人騎手2人パターンが継続してますから。
大臣: それではフェアリーSの真格言にいきましょう。