7日、日曜日の早朝、グリーンチャンネルのブリーダーズカップ中継は、当日、司会を担当した私も、決して忘れられないものとなりました。
日本から参戦した矢作厩舎の2頭が成し遂げた歴史的な偉業。ラヴズオンリーユーが日本調教馬として初めてブリーダーズカップ競走を制すると、今度は、同じ矢作厩舎の牝馬マルシュロレーヌがダート競馬の本場アメリカにおける牝馬の最高峰のレースを勝利するという快挙を達成。スタジオも、その瞬間は、それはそれは大騒ぎでした(笑)。
米国競馬の祭典ブリーダーズカップでの日本競馬の歴史的快挙を中継できたのは本当に素晴らしいことでした。ただ一つ心残りは、マルシュロレーヌの快挙をライブではなく、VTRによる速報での紹介だったことです。
中継の中でも、少しだけお話させていただいたのですが、これには諸々の大人の事情がありました。まず、BCディスタフは「農林水産大臣が指定する海外競馬の競走」に入っていなかったため、馬券発売が行われませんでした。
そして、結果的に出走しなかったものの、ラヴズオンリーユーの登録があったBCターフは「農林水産大臣が指定する海外競馬の競走」なので馬券が発売され、その情報提供を優先する必要がありました。
さらに、馬券発売が行われるレースと行われないレースでは放映権の形態が異なるため、BCディスタフをライブで放映することには、それなりのハードルもありました。ただ、出来る事ならBCディスタフもライブでお送りするべきでしたし、馬券発売もあればよかったと私も思います。
また今回は、補欠馬繰り上がりというアメリカ競馬のルールにより、馬券の発売開始が深夜になってしまったことや、直前の騎手変更など、海外馬券発売の難しさを改めて感じました。実際、オーストラリアのメルボルンカップなどは、繰り上がりルールとフルゲート頭数の理由から「農林水産大臣が指定する海外競馬の競走」から外されています。
こうした課題を改善しつつ、馬券を購入しながらライブ観戦することが出来、海外のビッグレースを、身近に感じられるようになったのは本当に素晴らしいことだと思います。そして何より、日本の競走馬の快挙の瞬間を共有できて、こんなに幸せなことはありません。矢作厩舎と2頭の関係者の皆様、本当におめでとうございました!
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。