凱旋門賞から4日が経ちました。歴代最多の4頭が出走した日本馬の結果は残念なものとなりましたが、各陣営のトライとレースに向けての努力は本当に尊いものだと思います。レース直後、日本馬に騎乗した4人の騎手が口を揃えて「馬の状態は最高だった」おっしゃっていたのを見ながら、心から拍手を送りたい気持ちでした。
重馬場のパリロンシャンに降ったレース直前からの大雨を恨めしく思った方が多いでしょう。しかしながら「勝った馬はその中で勝っている。言い訳にはできない。」(ドウデュースの武豊騎手)、「馬場はわかっていたことだし、言い訳にはしたくない。また挑戦したい気持ちが強くなった。」(ステイフーリッシュの矢作調教師)というコメントはとても頼もしく思えました。
グランドグローリーはジャパンカップも凱旋門賞も5着でした。凱旋門賞と同じ日のパリロンシャンで、国内では重賞勝ちのないエントシャイデンがGIフォレ賞を2年連続で3着と好走しました。何かヒントがあるかもしれません。「競走馬の能力は一定ではない」ことを誰よりも知る当サロンのメンバーの皆さんも、きっと私と同じ思いなのではないでしょうか。
幸い4頭とも心配された大きなダメージはなかったとのこと。まずは人馬ともしっかりと心身のケアをして無事に帰国してほしいと思います。
ところで、レース直前から降った大雨で苦しめられたのは、日本馬だけではありませんでした。レースの実況を担当したアナウンサーもそのひとりです。
海外のレースは枠帽がありませんので勝負服のみで判別することになりますが、ずぶ濡れの勝負服はすっかり色が変わり、例えばスミヨン騎手が着ていたヴァデニ(アガ・カーン殿下)の勝負服は緑が黒に変色。レース中も、全体像が見えづらいカメラアングルの上に、レンズには水滴がつき、ドウデュースの勝負服は雨でけむって溶け込んでいました。その悪条件下、今年も的確な実況をされた小塚歩アナウンサーにも拍手を送りたいです。
今年の凱旋門賞の海外馬券の売り上げは64億9599万2800円となり、去年の凱旋門賞で記録した53億8803万5100円を更新して過去最高となりました。凱旋門賞が「世界最高峰」なのかどうかはさておき、凱旋門賞が私たち日本の競馬ファンにとって不思議なほど魅力的なものであるのは間違いありません。
グリーンチャンネルの中継をご覧いただいた皆さん、ありがとうございました!(襟元のピンバッジ、凱旋門だと気づいた方、いらっしゃいますか? メル○リで見つけました(笑)。
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。