競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。今回のテーマは「第245回ダービーステークスの有力馬」です。
先日、日本ではダノンデサイルが第91代ダービー馬の栄誉に耀きましたが、本家英国のダービーステークスは、現地時間の6月1日、日本時間の日曜未明にエプソム競馬場の芝12F(左)を舞台に行われます。
ダービー卿とバンベリー卿の間で、レース名を「ダービー」にするか「バンベリー」にするかをコイントスで決めた結果「ダービー」となったレースは、第1回オークスステークスの翌年1880年に第1回のレースが行われ、ダイオメド(Diomed)が優勝しました。
第1回オークスの優勝馬ブリジッド(Bridget)はダービー卿の所有馬でしたが、初代ダービー馬のオーナーはバンベリー卿でした。(5/16公開「“オークス”のハナシ」参照)
その始まりから今年で実に245回目を数える“The Derby”。今回は、出走予定馬の中から大手ブックメーカー・ウィリアムヒルが上位に評価している有力馬をご紹介します。
1番人気はシティオブトロイ(City Of Troy)で3.25倍のオッズです。クールモアが所有する愛国A・オブライエン厩舎の管理馬で、父は2018年の米国三冠馬ジャスティファイ。母トゥゲザーフォーエヴァー(Together Forever)は2014年の英G1フィリーズマイルを勝ったガリレオ産駒で、その全妹フォーエヴァートゥゲザー(Forever Together)は2018年の英オークス馬という血統です。
そんなシティオブトロイは、2歳時、英国クラシック路線の登竜門であるG1デューハーストS(ニューマーケット芝7F)を2着馬に3馬身半差をつけての圧勝。無傷の3連勝でカルティエ賞の最優秀2歳牡馬にも選ばれ、欧州2歳王者となりました。
ところが、単勝1.6倍の1番人気に支持された今年初戦の英2000ギニー(5/4ニューマーケット芝8F)では、勝負所からズルズルと後退し9着と惨敗。A・オブライエン調教師は休み明けと馬場が合わなかったことが敗因とし、予定通りダービーへ直行することになりました。
思えば去年は、同じ陣営が携わった日本の三冠馬ディープインパクトの最終産駒オーギュストロダンが、英2000ギニー12着大敗からの巻き返しで英国ダービーを制しました。今度は米国三冠馬の産駒がそれを再現できるのか見ものです。
つづく2番人気は、同じA・オブライエン厩舎のロサンゼルス(Los Angeles)で5.0倍です。2歳時に仏G1クリテリウムドサンクルー(サンクルー芝2000m)をデビュー2連勝で制したロサンゼルスは、3歳初戦となった前走のG3愛ダービートライアルS(5/12レパーズタウン芝10F)も好位抜け出しの競馬で快勝。無傷の3連勝中です。
父は2012年の英愛ダービーを制したキャメロットという血統でもあり(母の父はダンシリ)、距離が12Fに伸びるダービーでも有力視されています。
3番人気には6.5倍のオッズで、アンビエントフレンドリー(Ambiente Friendly)とアンシエントウィズダム(Anciento Wisdom)の2頭が並んでいます。
アンビエントフレンドリー(英J・ファンショー厩舎)は、前走リステッドの英ダービートライアルS(リングフィールド芝11.5F)を4馬身半差で圧勝。父は2015年の英愛2000ギニーやSt.ジェームズパレスSを勝ったグレンイーグルス(父ガリレオ)です。
一方、アンシエントウィズダム(C・アップルビー厩舎)はゴドルフィンのドバウィ産駒。2歳時、1番人気に支持された英国の最重要2歳戦G1フューチュリティT(ドンカスター芝8F)では、一旦遅れを取りながら巻き返して逆転勝ちした勝負根性の持ち主です。今年初戦となった前走のG2ダンテS(5/16ヨーク芝10F)では、勝ち馬から6馬身差の2着という結果でした。
なお、そのダンテSでアンシエントウィズダムらを相手に圧勝したエコノミクス(W・ハガス厩舎)は、成長度から将来を考慮してダービーには登録しませんでした。
そのほか、仏2000ギニー2着のダンシングジェミニ(英R・ティール厩舎、父キャメロット)が13.0倍、英G3クラシックトライアル2着のマクダフ(ジャドモンド所有、英R・ベケット厩舎、父シーザスターズ)が17.0倍、シティオブトロイやロサンゼルス以外にも合わせて7頭がエントリーしているA・オブライエン厩舎の仏2000ギニー4着馬ディエゴヴェラスケスが21.0倍などとなっています。
日本時間では日付が変わって日曜日の午前0:30発走予定の第245回ダービーステークス。グリーンチャンネルの「ALL IN LINE」で中継されるということですので、ぜひ注目してみてください。