競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは7日に行われる「英国ダービー」について。
1日に行われた日本ダービーはクロワデュノールの優勝で幕を閉じました。人馬一体の信頼関係で皐月賞の悔しさを晴らし、大きな怪我を乗り越えた北村友一騎手がダービージョッキーになった瞬間は胸が熱くなりました。
同じ日、フランスではシャンティイ競馬場の芝2100mを舞台に仏ダービー(ジョッケクルブ賞)が行われ、R・ムーア騎手が騎乗したカミーユピサロがレースを制しました。
A・オブライエン厩舎のカミーユピサロはウートンバセット産駒で、去年、凱旋門賞と同じ日に行われた2歳G1ジャンリュックラガルデール賞を勝利。前走、芝1600mの仏2000ギニー(プールデッセデプーラン)では3着でしたが、距離が延びて有力視された今回、見事1番人気に応えて勝利しました。
騎乗したR・ムーア騎手は2014年のザグレイギャッツビー以来11年ぶり2度目の仏ダービー優勝。A・オブライエンとクールモアのタッグは2021年のセントマークスバシリカ以来4年ぶりの仏ダービー制覇となりました。
この「クールモア×A・オブライエン」は今週7日に行われる英国ダービーでも複数の有力馬を送り込みます。
このうち大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」が4.0倍の1番人気に評価しているのがドラクロワ。2走前、勝ち馬のガリレオやハーザンドらがダービー馬になっている出世レースG3バリーサックスS(芝10F)を快勝すると、前走5/11のG3愛ダービートライアルS(芝10F)も完勝し、重賞3勝目を挙げたドバウィ産駒です。
ドラクロワの母は2015年のBCマイルや2016年のクイーンアンSなどG1を6勝した名牝テピン。母はマイル女王でしたが、半姉グレイトフル(父ガリレオ)は2024年にパリロンシャン芝2800mのG1ロワイヤリュー賞を重馬場で勝利しています。
去年8月のG3エイコムS(芝7F)をデビューから2連勝で制覇したザライオンインウィンターは、父が2009年の英ダービー馬で産駒のハーザンドも2016年に英ダービーを制しているシーザスターズということもあり、早くから英ダービー最有力候補と目されていましたが、その後、順調さを欠きました。
英2000ギニーを回避し今季初戦となった前走5/15のG2ダンテS(芝10.5F)では圧倒的な1番人気に支持されたものの6着。前売り1番人気から後退しウィリアムヒルのオッズは7.0倍の4番人気になっています。
一昨年は英2000ギニー12着のオーギュストロダンを、去年は英2000ギニー9着のシティオブトロイを、見事な巻き返しでダービー制覇に導いたA・オブライエンが、今年もザライオンインウィンターを立て直せるでしょうか。
その他、前走5/7のG3チェスターヴァーズS(芝12.5F)を勝利したランボーンも「クールモア×A・オブライエン」の1頭。父は2014年の英ダービーを勝利しガリレオとの父子制覇を果たしたオーストラリアで、ウィリアムヒルは17.0倍の6番人気となっています。
なお、R・ムーアがどの馬に乗るかを含め、鞍上は入稿時点では未発表です。
英ダービーで過去最多の10勝を挙げ、目下2連覇中というバリードイル軍団。これに「待った」をかけたい1番手は、英クラシック1冠目の英2000ギニーを勝ったルーリングコートです。
こちらは2018年のマサーと2021年のアダイヤーで英ダービーを2勝している「ゴドルフィン×C・アップルビー」のタッグ。鞍上はマサーで英ダービーを勝っているW・ビュイックです。父は産駒シティオブトロイが英ダービーを制したばかりの米三冠馬ジャスティファイ。一気の距離延長を克服し2012年のキャメロット以来の英クラシック二冠制覇なるでしょうか。ウィリアムヒルのオッズは4.5倍の2番人気です。
ザライオンインウィンターが敗れたダンテSで勝利したのがプライドオブアラス。2015年の仏ダービー馬ニューベイ(その父ドバウィ)の産駒で、ラルフ・ベケット調教師が管理しています。鞍上はブルーストッキングの主戦でもあるロッサ・ライアン。デビュー2連勝で重要前哨戦ダンテSを勝利しての臨戦過程は2022年に英ダービーを制したデザートクラウンと同じで、ウィリアムヒルは6.0倍で3番人気に評価しています。
ダンテSで勝ち馬プライドオブアラスから1馬身1/4差の2着だったのがJ&T・ゴスデンが手がけるダミサス。父は産駒のアダイヤーが2021年の英ダービーを制しているフランケル。J・ゴスデン調教師は2015年にゴールデンホーンで英ダービーを優勝しています。鞍上はダービーは未勝利のジェームズ・ドイル。ウィリアムヒルのオッズは15.0倍の5番人気です。
第246回の“ザ・ダービー”。グリーンチャンネルの「ALL IN LINE~世界の競馬~」で中継されるということですので、ぜひ注目してみてください。