競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは今週末に行われる「ムーランドロンシャン賞&凱旋門賞前哨戦」について。
日本時間の日曜夜、フランスのパリロンシャン競馬場ではマイルG1ムーランドロンシャン賞が行われます。日本からは前走のジャックルマロワ賞で5着と健闘したゴートゥファースト(牡5/栗東・新谷功一)が参戦。同レースの日本調教馬の参戦は2003年(ローエングリン2着、テレグノシス13着)以来22年ぶりで、今回はレース史上初めて日本での海外馬券発売も行われます。
大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」の前売り1番人気は、ロザリオン(牡4/英国 R・ハノン)で3.5倍です。
3歳時の昨年、愛2000ギニー、セントジェームズパレスSを優勝。気道の感染症による長期休養から復帰後は英G1ロッキンジSが3着、英G1クイーンアンSはハナ差2着、英G1サセックスSはクビ差の2着で、8月のジャックルマロワ賞では前売り1番人気に評価されました。しかし、レース当週の調教で脚を打撲して取り消し。今年からG1に昇格した8/23のシティオブヨークS(ヨーク競馬場 芝7F)に出走しましたが4着に敗れ、キャリアで初めて複勝圏を外しました。距離をマイルに戻しての今回は中1週でのレースです。
3.75倍の2番人気は、アンリマティス(牡3/愛国 A・オブライエン)です。5月にムーランドロンシャン賞と同舞台の仏2000ギニーを優勝。2歳時にはアメリカに遠征してBCジュベナイルターフも制しています。2走前セントジェームズパレスSが2着、前走サセックスSは3着でした。
オッズ6.0倍の3番人気は、ダンシングジェミナイ(牡4/英国 R・ティール)。G1勝ちはないものの、3歳時に仏2000ギニーで2着の実績があるほか、3走前のロッキンジSも休み明けのロザリオンに先着しての2着。前走ジャックルマロワ賞は先行して3着に入り、8着に終わった2走前クイーンアンSから立て直してみせました。
4番人気は、リードアーティスト(牡4/英国 J&T・ゴスデン)で7.0倍です。ジャドモント自家製産のドバウィ産駒で、2走前のロッキンジSでは、O・マーフィー騎手を背に、2着ダンシングジェミナイ、3着ロザリオン、4着ノータブルスピーチらを抑えてG1初勝利。前走クイーンアンSは7着に終わっています。
前走、重馬場で行われたG3メシドール賞(シャンティイ芝1600m)を勝利するなど、渋った馬場が得意のクドワー(牡5/英国 S&E.クリスフォード)が9.0倍の5番人気。ジャックルマロワ賞では最下位に終わったザライオンインウィンター(牡3/愛国 A・オブライエン)が11.0倍の6番人気。今回はマキシム・ギュイヨン騎手とコンビを組むゴートゥファーストは13頭中9番人気の17.0倍というオッズとなっています。
ところで、凱旋門賞の3週前に行なわれていたヴェルメイユ賞、ニエル賞、フォワ賞といった凱旋門賞の前哨戦が今年は1週前倒しとなり、ムーランドロンシャン賞と同日に組まれることとなりました。
去年のブルーストッキングをはじめ優勝馬から9頭の凱旋門賞馬を輩出している牝馬限定のG1ヴェルメイユ賞。今年は少頭数ながら豪華メンバーとなりそうです。ウィリアムヒル1.9倍の1番人気は、ワール(牝3/愛国 A・オブライエン)。英オークス2着の後、プリティポリーS、ナッソーSと牝馬G1を連勝中です。
4.0倍の2番人気は去年、ヴェルメイユ賞、凱旋門賞ともブルーストッキングの2着だったアバンチュール(牝4/仏国 C・フェルラン)。前走サンクルー大賞はカランダガンの2着でした。さらに今年の仏オークス馬ゲゾラ(牝3/仏国 F・グラファール)が4.3倍の3番人気となっています。
3歳馬限定の凱旋門賞前哨戦G2ニエル賞は混戦模様です。1番人気は、Cygamesがメインスポンサーとなって行われた7月のパリ大賞でブービー人気の低評価ながらC・デムーロ騎手を背に金星をあげたルファール(牡3/仏国 JC・ルジェ)で3.5倍。
仏ダービー2着、前走G2ギョームドルナノ賞がアロヒアリイから4馬身近く離された3着だったクアリフィカー(牡3/仏国 A・ファーブル)が4.5倍の2番人気。
その他、ここまで5戦して3勝2着2回のザーラン(牡3/愛国 J・ムルタ)が6.0倍。英ダービー3着、愛ダービー4着のテネシースタッド(牡3/愛国 J・オブライエン)が8.0倍。A・ファーブル厩舎のニトイや、独ダービー2着馬コンバージェントが9.0倍というオッズとなっています。
そして、ビザンチンドリーム(牡4/栗東・坂口智康)が出走するG2フォワ賞も好メンバーが揃いました。ウィリアムヒル1番人気は、去年の凱旋門賞4着馬で、去年のパリ大賞、今年のガネー賞、イスパーン賞とG1を3勝しているソジー(牡4/仏国 A・ファーブル)で3.5倍。
去年の凱旋門賞で3着だったロスアンゼルス(牡4/愛国 A・オブライエン)が4.0倍の2番人気。重賞初制覇となった5月のG3ブリガディアジェラートSでは、のちのプリンスオブウェールズS、英インターナショナルS覇者オンブズマンに初黒星(2着)をつけたアルマカーム(牡4/英国 E・ウォーカー)と、3走前のガネー賞がソジーの2着だったマップオブスターズ(牡4/仏国 F・グラファール)が6.0倍の3番人気タイで並んでいます。
一方、天皇賞(春)2着以来のレースとなるビザンチンドリームは8.0倍の5番人気。フォワ賞と本番・凱旋門賞の2戦はレッドシーターフH勝利時の鞍上O・マーフィー騎手を背に挑みます。
また、9.0倍の6番人気に凱旋門賞馬エースインパクトの半弟で、前走G2シャンティイ大賞まで3連勝中のアローイーグル(牡4/仏国 JC・ルジェ)がつづいていて、前哨戦ながらハイレベルな一戦となりそうです。
同じ日の日中には、コリアカップとコリアスプリントが行われ、コリアカップにはドゥラエレーデ、ラムジェット、大井のディクテオン、コリアスプリントにはサンライズホーク、タガノビューティー、チカッパの中央・地方合わせて日本調教馬6頭が参戦します。
さらに来週土曜日はシンエンペラーが出走する愛チャンピオンSの馬券発売がすでに決まっているほか、翌日に行われクロワデュノールが凱旋門賞のステップとする予定のG3プランスドランジュ賞(パリロンシャン芝2000m)も見逃せません。
国内だけでなく、海外の競馬からも目が離せないシーズンとなりました。まずは日曜日のムーランドロンシャン賞&凱旋門賞前哨戦。日曜日22時からのグリーンチャンネルの中継でお目にかかりましょう。