『俺がこの馬と一緒に競馬に行けるのは、今回と、あともう一戦くらいかな。なんとか結果を出せたらいいな』
清水久詞厩舎の山口厩務員は、あとひと月ほどで定年を迎えられます。私は同厩舎のビップウインクという馬がとても好きで、初めてお話ししたのは彼女の取材のためでした。物腰が穏やかで、いつも丁寧に仕事をされていて、時折、厩舎に伺った際には必ず優しく対応してくださるのが嬉しかったです。担当厩舎ではないのですが、限られた時間でまた取材ができたらいいなと思います。
さて、冒頭のかぎかっこはそんな山口厩務員の台詞。厩舎の馬の入れ替えなど、さまざまな巡り合わせがあり、今回からご担当になったコナブラックのことをおっしゃっています。
キタサンブラックの初年度産駒で、1番星を挙げたのは彼でした。やっぱりこの父の子で誰よりも早く勝つのは清水久詞厩舎でなくちゃと思っていましたし、それを実現してくれて勝手に嬉しい気持ちになったのを覚えています。勝ち方もすごく強かった。直線の伸びがダイナミックで、他馬とは雰囲気が違いました。
▲清水久詞厩舎のコナブラック
ただ、成長がゆっくりな印象で、タフながらレースに行って瞬時には動けないような感じがありました。攻めは抜群に動くのにレースで結果が出せない時期が続き、成長を促す意味もあってか、今年1月のレース後に放牧へ。
帰ってきたコナブラックは背が伸びて、グッと大人になった印象です。山口厩務員も『能力は絶対、1勝クラスにいるような馬じゃないで』と確信されていました。
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赤城真理子
鹿児島県出身、大阪府在住。全く別の業種でライター業をしていたが、2018年11月「競馬知識ゼロ」のまま大阪スポーツの競馬記者に転身。毎週栗東に泊まり込んで取材をするうち、馬の魅力にどっぷりはまり現在に至る。東スポ紙面にてG1コラム【転生したらトレセン記者だった件】、Web限定で不定期コラム【赤城真理子の「だから、競馬が好きなんです!!!】を連載中。