プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは「新種牡馬ナダル」です。
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双馬:今回はナダルについて解説したいと思います。
──ナダル産駒は7月7日終了時点で11頭がデビューして、3頭が勝ち上がり、3頭が2着という活躍を見せています。血統登録数も98頭なので、馬券的にも重要な種牡馬になりそうですね。
双馬:はい。前回の2歳戦診断で「ブライアンズタイムに似たところがある」と伝えたのですが、普通の人からすると唐突すぎて理解してもらえているか不安だったので、どこがブライアンズタイムに似ているのか、ちゃんと説明したいと思います。
まず、産駒の馬体を見ていない時点では、ナダルはアメリカンなダート中距離向きの種牡馬だと思っていたんです。でも、当歳馬や1歳馬をたくさん見ている知人から「ナダルの産駒は柔軟だし、アメリカンな感じはしないよ」と言われたんです。
さらに、ナダルは種牡馬展示会のときに体重が670kgぐらいあったような大型馬なんですけど、産駒は意外と小さく出るようで、その点もアメリカンな種牡馬らしくありませんでした。
柔軟性があってサイズも大きく出ないと知ったときに、もしかしてアメリカンな種牡馬とは違うんじゃないかなと思ったんです。そこから血統表をよく見ました。
母父にPulpitがいるからアメリカンに見えるんですけど、その奥がPleasant Colonyなんです。いまどき母母父リボー系なんて珍しいですからね。そして、その奥もセントサイモン系のStage Door Johnnyです。実は、母方の血統はヨーロピアンで、むしろ芝の本格派と言ってもおかしくない血統をしているんです。
──父Pleasant Colony、母父Stage Door Johnnyというのは、タップダンスシチーの父であるPleasant Tapと同じ配合なんですね。
双馬:また、父について調べてビックリしたのは、Blameの3代母がSpecialなんです。ヌレイエフ、サドラーズウェルズなど、本格的な種牡馬をたくさん出している牝系です。こちらもアメリカンに見えて、実はヨーロピアンなんですよ。
つまり、Blameは母父がSeeking the Goldなのでアメリカンな印象がありますけど、その奥を辿ればヌレイエフやサドラーズウェルズの牝系になるわけですから、世間のイメージよりも本格的でヨーロピアンな血統なんです。
Blameの代表産駒のSengaは仏オークスを勝っていますし、日本で一番走っている産駒もランドネ(スイートピーS、紫苑S・3着など)です。
──ナダルの血統は、父方も母方もヨーロッパ色が強いということですね。
双馬:ナダルの生涯成績は4戦4勝なんですけど、アーカンソーダービー(GI)の勝ちタイムは1分48秒34です。日本で言ったら芝の時計ですからね。
──ナダルをアメリカンなダート馬だと思ったらいけないということですね。
双馬:その勘違いをしたら痛い目を見るんじゃないかと思います。