プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは「馬券特化型の3歳戦診断、年明けの重賞&OP編」です。
なお、『競馬放送局』では双馬氏の推奨レース(予想)、特選リストを公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
双馬:今回は年明けの3歳戦の診断をします。内容の濃いレースが多くて、特に牡馬クラシックは混沌としてきましたね。
──近年、出世レースと言われているシンザン記念や京成杯を、双馬さんがどう評価しているのか、非常に気になります。
双馬:まずは重賞から回顧していきます。
▼ピックアップレース(1)
1/12 中山11R フェアリーS 芝1600m 良
勝ち馬:エリカエクスプレス
双馬:フェアリーSはなかなか驚きのレースでした。勝ちタイムは1分32秒8でしたけど、次の日の古馬オープン(ニューイヤーS)が1分32秒3でしたから、明け3歳の牝馬がそれと遜色ないタイムで走ったわけです。しかも、ニューイヤーSの出走馬は重賞でも好走できそうな馬がたくさんいましたから、そう考えるとエリカエクスプレスを評価しないわけにはいきません。
エリカエクスプレスは新馬戦から常識外れで、1000m通過58秒7のハイペースを逃げて勝っているんです。エピファネイア産駒は追走が速くなったら走らない馬が多いんですけど、新馬戦からこのラップタイムで走れている時点でエピファネイア産駒としては異質です。さらに今回はそれよりも1秒近く追走が速くなってこの内容ですから、怪物級の可能性も出てきました。
エリカエクスプレスの怪物感は血統からもうかがえます。近親を見ると、祖母より前は特に活躍馬はいないんですけど、祖母の仔から突然重賞勝ち馬がたくさん出始めているんです。一番有名なところだと愛ダービー、英セントレジャーを勝ってジャパンCにも出走したカプリがいます。突然変異的な強さがある牝系なんですよ。気性の面で先行しているのかもしれませんが、脚をタメても走れる可能性がありますし、まだ底が見えません。
桜花賞では確実に有力な1頭になりますし、オークスも血統や馬体的には問題ありません。ただ、この気性のエピファネイア産駒が延長に耐えられるかどうかは、やってみたいと分かりませんけどね。
──アルマヴェローチェやマディソンガールとの対戦が楽しみですね。このレースで他に注目すべき馬はいますか?
双馬:このレースは前に行ったエリカエクスプレスとティラトーレが1、2着なので、前残りだと思われるかもしれませんけど、前残りではありません。むしろ、3着以降の脚質の方が恵まれていますし、エリカエクスプレスにも不利を付けているぐらいです。ティラトーレも能力が高いですし、前走のひいらぎ賞で超ハイペースを経験しているので、先行しても耐えることができました。
3着のエストゥペンダも良い馬で、例年なら勝てていると思います。今年のフェアリーSはそれぐらいレベルの高いレースでした。
その他だと、1番人気のレイユールは速いペースを全く経験していなかったので、このペースはツラかったでしょうね。416kgの小さい馬ですし。
3番人気のホウオウガイアは延長向きのシルバーステート産駒で、牝系も天皇賞春を勝ったアドマイヤジュピタを出すような牝系です。スローペースの2戦の後に短縮ローテで、しかもこのハイペースだと走れません。能力が低いわけではないので、巻き返しはあると思います。
▼ピックアップレース(2)
1/13 中京11R シンザン記念 芝1600m 良
勝ち馬:リラエンブレム