プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは新種牡馬解説の第4弾「フィエールマンの凄いクセ」です。
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双馬:今回は新種牡馬のクセについて解説したいと思います。
──新種牡馬解説の第4弾ですね。ここまでナダル、ルヴァンスレーヴ、アドマイヤマーズは解説していただいていますから、いよいよサートゥルナーリアですか?
双馬:いえ、フィエールマンです。なぜフィエールマンを早めに取り上げたいか、その理由についても話したいと思います。
まず、僕は産駒デビュー前からフィエールマンに期待していたんですよ。母系が欧州血統で固められているというのは、ディープインパクトの後継種牡馬のなかではかなり珍しいタイプですからね。
──ディープ×欧州血統の種牡馬については、「グレーターロンドンの凄いクセ」(第111回)の時にも話されていましたね。
双馬:ディープインパクトは米国血統との配合がニックスだったので、種牡馬になっている馬はだいたい母系が北米・南米血統なんです。ディープ産駒をクラシックまでに完成させるためには、北米・南米の硬めの血を入れるしかありませんでしたからね。実際、キズナもコントレイルもサトノダイヤモンドもそういう血統構成です。
ただ、ディープ×米国血統は競走馬としては完成系に近かったんですけど、種牡馬としては課題があります。米国血統の繁殖牝馬につけると米国色が強く出過ぎてしまうんです。だから、キズナ産駒の活躍馬も、ジャスティンミラノのように母方が欧州血統の馬が多いですよね。
──その仕組みに関しては、『POG直球勝負 2025-2026』に掲載される亀谷さんとの対談でも話題になりましたね。
双馬:過去の例を見ても、ディープインパクトの後継種牡馬で前評判以上に活躍馬を出しているのは、シルバーステート(母父ロベルト系)やグレーターロンドン(母父ヘロド系)のように、母系が北米・南米血統じゃない馬なんですよ。
フィエールマンは母系が完全に欧州血統なので3歳春のクラシックには間に合いませんでしたけど、種牡馬としては柔らかさを伝える貴重な存在になると思っています。母方が欧州血統のディープ産駒のなかでは最上位の賞金を稼いでいますから、種牡馬としてのポテンシャルもシルバーステートやグレーターロンドンより高い可能性だってあります。
──なるほど。で、産駒がデビューして半年以上経ちましたけど、成績はどうなんですか?
双馬:3月9日時点で11勝していて、複勝率33.5%、複勝回収率115%なので優秀です。ただ、よくあるパターンでノーザンファーム生産馬だけ活躍している可能性もあるなと思って、生産者別でも調べてみたんです。