競馬評論家・TAROによる、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラムです。なお、『競馬放送局』ではTAROの厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
今年は年明けからルメール騎手がイマイチパッとせず、未だにJRAの重賞は未勝利の状態が続いています。そんな中で、今週末から久々に短期免許で来日するのがダミアン・レーン騎手です。
レーン騎手は2019年に初来日すると、いきなりメールドグラースで新潟大賞典を制覇。その後の大活躍は広く知られた通りで、ヴィクトリアマイルではノームコアに騎乗し初のGI制覇。リスグラシューとのコンビでは宝塚記念→コックスプレート→有馬記念と怒涛の3連勝を飾りました。
というわけで、第29回ジョッキーズファイルは、約2年ぶりの来日となるレーン騎手を取り上げます。
~どんな名手でも「相性が大事」なのは変わらない~
前述通り、初来日の際には大暴れしたレーン騎手。しかし、今の競馬ファンは「レーンが上手い」とわかれば即座に反応します。結果的に妙味は一瞬で、2度目の来日の際にも3カ月程度の間に41勝を挙げたものの、最初の来日時ほどの妙味はなくなっていました。以下は初来日の2019年と、翌2020年の戦績&回収率を比べたものです。
・2019年のレーン騎手
38勝、複勝率53.6%、単勝回収率130%、複勝回収率101%
・2020年のレーン騎手
41勝、複勝率50.0%、単勝回収率62%、複勝回収率76%
ご覧の通り一目瞭然。勝利数や3着内率はそこまで変わっていないのに、回収率面では初年度よりも大きく下げています。これが現代の競馬ファンの瞬発力。乗れるとわかればすぐさま飛びつき、妙味がなくなってしまうわけです。ましてそれが注目されやすい外国人ジョッキーであればなおさらです。
~危険なパターンほど美味しい~
とはいえ、どんな名手であれ基本的な考え方は変わりません。騎手を考える上で重要なことは、
「上手いか下手か」
ではなく、
「特徴の有無」
です。
レーン騎手はみんなが上手いと思っている。だからこそ特徴を掴んで、むしろ苦手なパターンを掴めれば、危険な人気馬をホイホイと見つけ出すことができるかもしれない。名手ほど、買う馬より危ない馬を見つけた方がお得ということです。
~血統で見極める「買い」と「危険」~