競馬評論家・TAROによる、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラムです。なお、『競馬放送局』ではTAROの厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
先週のスプリンターズSは、圧倒的に内枠有利の決着。外枠の馬、外を回した馬はノーチャンスとなりました。
これは馬場状態がイン有利だったこともあるのですが、それだけではありません。今回に関していえば、テンのスピードがあるテイエムスパーダが最内に入ったことが内有利をアシストしました。
隊列を形成するのは逃げ馬。その逃げ馬が外から切れ込んで先手を取るか、内からスンナリ先手を取るかによってレースの流れは大きく変わります。今回は内枠から先手を取ったので、隊列は崩れることなく、
内枠→先行
外枠→差し
という「枠なり隊列」が出来上がりました。こうなると、もう外の馬はどうにもならない。控えてインに入れるか、あるいは上手くポケットに入れるか…。
ただそれには騎手の工夫が必要で、苦心しながらもインを意識していたのは、神戸新聞杯でも抜群のイン捌きを見せた鮫島駿騎手でした。パトロールビデオを見ていただければわかりますが、スタートしてすぐに内を見て、どんどんと寄せて行っています。それでもラチ沿いを取れたのは4コーナーの入り口くらい。真ん中より外の馬は相当厳しい競馬を強いられました。
「枠並びも内有利をアシストしそうだ。というのも逃げのテイエムスパーダが最内枠。他で速いイメージがあるファストフォースは実はテンにズブく、ナムラクレアやメイケイエールもスピードはあるが逃げたいタイプではない。スンナリ最内枠からの逃げが決まれば、隊列はそうそう動かない。今年もイン有利の結論」
として本命にした◎ジャンダルムは、以上のような隊列になったため、もはや流れに乗せて行って抜け出すだけ…というこれ以上ない形に。まさに、最高の舞台で最高の強運を掴んだ勝利でした。
ナムラクレアの浜中騎手はメイケイエールを意識したのか、やや強引に外を回す形。ワンテンポ待てば好勝負になったと思いますが、先週以下のように指摘した通り、
浜中騎手の2022年芝重賞成績(スプリンターズS前週まで)
1~4枠 【3-2-1-3】
5~8枠 【1-0-2-8】
浜中騎手は内枠ジョッキー。内伸び馬場の微妙な枠で、上手く溜める…というところまでは行きませんでした。前走の失敗も頭にあったのかもしれません。
ダイアトニックは岩田康誠騎手らしくインを意識した競馬でしたが、スタートを出過ぎたことがアダになりました。
メンバーレベルは高くなかったかもしれませんが、隊列、騎手の攻防など見どころのある1200mでした。
~毎日王冠の騎手展望~
さて、今週は毎日王冠の展望を騎手視点からしてみたいと思います。
今回はサリオス、ジャスティンカフェ、ノースブリッジの3頭について、「前走の騎手」という視点で考えてみましょう。