競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回取り上げるのは「西村淳也騎手」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
安田記念はソングラインが勝利。見事ヴィクトリアマイル→安田記念の連覇を達成しました。
個人的に印象に残ったのは3着のルメール騎手=シュネルマイスター。このコンビで唯一のG1勝ちを達成していますし、手が合わない訳はないですが、レースぶりを見ていても、本当に今の溜めて差す形がベストなのだろうか…という疑問も湧いてきます。どちらかといえばもっとパワーを活かして先行するのがシュネルマイスターにとってベストなのでは…。そう考えるとルメール騎手とのコンビって、実はそこまで合っていないのではと思ったり。
秋はどの路線に行くかわかりませんが、天皇賞(秋)を目指すならルメール騎手がベストだと思いますが、マイル路線に行くならば、よりパワーを活かせるジョッキーで見てみたい気もしました。
~スカーフェイスで見せた進化~
さて、今週は西村淳也騎手を取り上げようと思います。西村淳騎手は2018年デビューの23歳。デビュー2年目に55勝を挙げ、その後は一進一退が続いていましたが、昨年は72勝と一気に飛躍。今年はココまで34勝とキャリアハイを狙えるペースで勝利を積み重ねています。
フランスに武者修行に行くなどモチベーションも高く、重賞戦線での活躍も目立つようになっており、先日はガイアフォースで安田記念4着。今後は大舞台で名前を見かける機会も増えていきそうです。
実は、個人的に西村淳騎手が腕を上げたなと明確に感じた一戦がありました。スカーフェイスで制した今年の大阪城Sです。16頭立ての大外枠に入ったことで8番人気と評価を下げていた同馬ですが、スタートで位置を下げるとすかさず進路を切り替え、3コーナーではロスのない内へ見事に潜り込みます。そこからも終始ロスなく運び、直線の進路取りも完璧。半馬身差での勝利は間違いなくジョッキーの腕で持ってきたものでした。
先日の鳴尾記念でも大外枠のスカーフェイスで道中は内に潜り込んでいました。残念ながらラストで詰まってしまいましたが、開幕週の馬場を考えて一発狙う騎乗の意図はよく伝わってきました。
昨年のアイビスサマーダッシュでは、5番枠に入り14番人気と低評価だったロードベイリーフを巧みなコース取りで3着に持ってきたように、芝レースで随所に見られる頭脳プレーが西村淳騎手の成績向上を支えているように思います。参戦レース数は少ないですが、直線コースの西村淳騎手は今後も注目に値します。
~ダートより芝で狙える頭脳派~
頭脳派を裏付けるのが芝とダートの成績の違いです。もともと芝のほうが好成績のジョッキーでしたが、近年はその差がより顕著に。先週終了時点での今年の芝・ダート別の成績は以下のとおりです。