競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回取り上げるのは「J.モレイラ騎手」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
先週の札幌記念は川田騎手騎乗のプログノーシスが勝利。プログノーシスは手先が軽く操縦性の高い馬で、こういったタイプは総じてタフな馬場、荒れた馬場はこなしますね。外から内に入れて馬群をスルスルと押し上げて行った時点で勝負ありでした。
直線は外に持ち出す川田騎手のコース取りも文句のつけようがないものでしたね。ちょっと今の川田騎手の集中力と判断力はモレイラ騎手やルメール騎手、武豊騎手を相手にしても、一枚上回っているなと感じます。
もう一頭、ジョッキー視点で注目は、9番人気の低評価を覆し2着に好走したトップナイフでしょうか。先週の展望では、
「横山典騎手が騎乗していた馬は総じて操縦性が高く、乗りやすくなっているというプラス面もあります。早仕掛け、かつインへのこだわり傾向が強い横山和騎手ですから、内に寄せて行きそうです」
と書いた通り、「アフター典弘」は改めて買いなんだなと実感しました。
出遅れた後は馬場が良くない(と思われた)内に突っ込んでいき、スルスルと位置を押し上げ、直線も粘り込み。横山和騎手の、
・インにこだわる
・芝中距離以上では強気に仕掛ける
という特徴がそのまま出た騎乗だったと思います。
~久々に短期免許で来日、モレイラ騎手の狙い方~
さて、今回はその札幌記念ではダノンベルーガに騎乗し、残念ながら4着だったモレイラ騎手についてです。
モレイラ騎手は2014年の安田記念の週に初来日。存在感を示したのは、2015年のワールドオールスタージョッキーズでの2度目の来日時で、なんとその週末だけで7勝の固め打ち。一目見てわかる腕の長さ、そして手先の柔らかさで巧みに馬を操る姿は今でもよく覚えています。
そして初の短期免許での来日となった2016年は、わずか3週間の間に17勝の固め打ち、騎乗機会7連勝という離れ業をやってのけ話題を独占しました。今回の来日を迎えるまでの単勝回収率は100%を超えており、
「モレイラ人気を加味しても、もっと走らせている」
という、ある意味「人気するけど、それ以上に儲かる」、直線コースの外枠のような存在でした。
~間違いなく上手いが、圧倒したかつての姿と比べると…?~
というわけで、今回も注目していたのですが、来日最初の週は2勝止まり。もちろん2勝も立派ではあるのですが、どうしても以前の姿と比べるとやや物足りなさを感じました。
その物足りなさの正体は何かと言われると明確には答えられないのですが、モレイラ騎手が騎乗すると魔法のように伸びて来る=マジックマン、という感じには少し欠けた印象です。
そもそも上手い騎手とそうでない騎手は何が違うのでしょう?