競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回取り上げるのは「北村宏司騎手」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
最近は主に若手騎手について触れることが多かったですが、今回は、密かに“プチ復活”を遂げている関東のベテラン騎手を取り上げます。勘のいい方はすぐにおわかりかもしれません。
北村宏司騎手です。2014年にはキャリアハイの117勝を挙げましたが、近年は落馬や肩の負傷などで休養することも多く、昨年は年間9勝まで落ち込みました。しかし、今年はV字回復。秋競馬2週目終了時点で29勝、夏には5年ぶりの重賞制覇も成し遂げるなど活躍が目立っています。
というわけで、今週と来週は2回に渡り、北村宏司騎手を解析していきたいと思います。
~藤沢和厩舎で培った好位差しスタイルは今も健在!~
もはや大ベテランの域に達しつつある北村宏騎手ですが、もともとデビュー当時は押しも押されぬエリート騎手でした。なんといってもデビュー時は藤沢和厩舎所属。乗り馬にも恵まれ、1年目から37勝を挙げ最多勝利新人騎手を当然のように受賞しています。
同厩舎所属の素質馬の手綱が回ってくることも多く、デビュー直後の4月にはタイキトレジャーに騎乗し、NZTで3着と早々に重賞好走を果たしています。翌年には重賞初制覇を含む重賞4勝、まさに順風満帆のスタートでした。
騎乗スタイルも藤沢和厩舎の主戦だった岡部騎手の流れを汲む正攻法タイプ。岡部騎手といえば好位で息を潜めてサッと抜け出すスタイルが定番でしたが、北村宏騎手も正攻法型。今も昔も、得意パターンは好位差し。G1初制覇を成し遂げた2006年のヴィクトリアマイルでも、ダンスインザムードに騎乗し好位で脚を溜めると、直線スッと抜け出し後続を完封しました。
そのスタイルは今も健在です。5年ぶりの重賞制覇となった新潟2歳Sでも、アスコリピチェーノで好位につけると直線抜け出し。デビュー戦は追い込みでしたが、2戦目でキッチリ好位戦を教え込みました。
翌週の新潟記念でも、ノッキングポイントに騎乗すると好位のインにつけ、直線抜け出し。派手さはないものの、ベテランらしい堅実な立ち回りが光りました。
~好位差しを生かすには枠順が重要~
正攻法の好位差しスタイルなので、まずカギになるのは枠順です。特に芝では枠の影響が大きく、内枠と外枠では成績が大きく異なります。2023年の芝の馬番別成績をご覧ください。